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反省会から新展開

晴風高校バドミントン部に、新たなる展開?

 怒涛の――部室を賭けた戦いVS白間川――の翌日。今日も無事に練習を終えた僕たちは、守り切った(ぶしつ)で反省会をしていた。


 「いやー!それにしても、今朝見た校長の顔は最高だったなぁー!」

 「んね!目じりピクピクさせながら、何度もスコアシート見返してたのは傑作だった!」

 「昨日もアップ中に来て、僕に「廃部になるのが楽しみだー」とか言って試合も見ずに帰って行ったんですよ!今日はすっごくすっきりしました!」

 「アハハ……仮にもうちの学校の一番偉い人なんだから、あんまり言い過ぎないようにね……」


そう、僕たちは校長先生の鼻を明かすことに成功したのだ!校長トークに花を咲かせる松下先輩と天野先輩、それから青葉君を、南先輩が苦笑いで窘める。しかし、廃部にしようとしたり部室を取り上げようとしたりと、バドミントン部になかなか理不尽な試練を課してくることを良く思っていないのはみんな同じ。ちょっと愚痴るくらいは許してほしい。今頃校長先生は、くしゃみを連発しているかもしれない。


 「そーいえばさ!昨日忘れ物届けに追いかけていったとき、宮郷サンと連絡先交換したんだよね」

 「えっ!いつの間にそんな仲良くなったんですか?」

「実は白間川、コーチとかもいなくて顧問の先生もほとんど練習には顔出さないから、俺たちが普段どんな風に練習してるか教えてほしいってお願いされたんさ!俺もあんな個性的な奴らをどうやってまとめてるのか聞いてみたくて、オッケーした!」


青葉君が驚くのも無理はない。その日初めて会った他校の人(それも先輩)と仲良くなるなんて、僕だって考えられない。松下先輩はコミュニケーション能力が思っている以上に高いのかもしれないな。


 「それでびっくりしたんだけどさ、元々バドミントン部は小夜川が言ってたみたいに自由参加なゆる~い感じだったんだって!だから宮郷サン以外に毎日練習してる人なんて全くいなかったらしいんさー!他の部員は体育館に来たとしても溜まり場にしてるだけで、練習の邪魔をしないのならまだ良いって放っておいたらしいんだけど、ある時体育館で喧嘩を始めたらしい。そんで怒った宮郷サンがそいつらをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。その強さに惚れた元々部員だった奴と憧れて入部を決めた奴らとで今の白間川学園バドミントン部ができあがったみたいだぞ」

 「へ、へぇ……そんな経緯が……。あの中で宮郷さんが一番強いなんて……人って見かけによらないんですね……」

 「いや、多分殴り合いとかイメージしてるのかもしれないけど、どうやら相撲で決着つけたらしい」

 「す、相撲?!」


 てっきりテッペン取るための血で血を洗う争いが…と思っていたが、どうやら違ったらしい。それにしても相撲とは?松下先輩曰く、一対一の勝ち抜き戦だったらしいけど、全員で取り囲まず律儀に順番待ちをする白間川生、意外に真面目なのでは……?

 というか、毎日一人でも欠かさず練習をしている真面目な宮郷さんが、こんなことを言っては悪いとは思うがどうして白間川に行ったんだ?しかも小夜川君情報によれば、入学してからしばらくは大会にも出ていなかったみたいだし……。宮郷さんに関しては今回の相撲の件も含めてまだまだ気になる事ばかりだな。


 「そういえば松下、話変わっちゃうんだけど今年の春風杯はどうする?今日長山先生から募集がそろそろだって聞いたんだけど。これチラシね」

 「あー!もうそんな時期なんですね!シングルスの大会だから俺は勿論出たいし、後は青葉とかは特に出ておいた方が良いんじゃないか?」

 「あの……春風杯って……?」


 南先輩が突然発した単語に、青葉君が首をかしげる。僕にとっても随分懐かしい響きだ。


 「ああ、青葉は初めて聞くよね。この時期に毎年開かれている大会で、小学生・中学生・高校生・一般でそれぞれ部門が別れた大会があるんだ。それで面白いのが、それぞれの年代の中でも二つの部門があって、バドミントンを始めて1年未満の人だけが出られるビギナー部門と、それ以外の人が参加できる上級者部門に分かれてるところ」

 「つまり高校生のビギナー部門なら、僕と同じくらいの時期から始めた人たちと試合ができるってことですか?」

 「正解!他の大会だといきなり経験者と当たる可能性も高いし、そうなると正直かなりキツイ思いすることになるから、初めての大会で確実に同じくらいのレベルの人と試合できるのはまたとない機会だと思う」

 「それなら是非出たいです!」


 僕も小学生でバドミントンを習い始めたころ、初めて出た大会が春風杯だったっけ。南先輩が置いてくれたチラシを見ると、今年の高校生部門は五月の連休終わりのあたりに開催予定。うん、一ヶ月あれば、最低限の動きを覚えて試合をすることは十分できるはず。それに青葉君は今までも、部活の休憩時間なんかを使って先輩方や僕に質問してはフットワークや素振りの練習をしているから、最初と比べてこの短い期間でも明らかに動けるようになっている。初勝利できるように、僕もできる限り協力しなくっちゃ。


 「うーん、俺とひなたは、勿論メインはダブルスだけど、やっぱり出ておこうかな。団体戦で全国を目指すなら、やっぱ松下以外もシングルスでコンスタントに勝てる人が必要になってくるとは思ってたし。羽代くんにシングルスとダブルスどっちも頑張ってもらいたいとは考えてるけど、まかせっきりになんてしたくないしね」

 「僕も、かなり試合から遠ざかってしまっていたので、是非感覚を掴むためにも出たいです!」

 「俺は……情報収集に徹しようかと……」


 小夜川君以外は全員春風杯出場に前向きだ。


 「小夜川―!確かにお前の情報は凄く頼りにしてるけど、せっかくの機会なんだから、遠慮せず参加しろよ!」

 「は、はぁ……それならせっかくなので参加を希望させて頂きます」


 なんだかちょっと元気のない小夜川君を見て遠慮していると思ったのか、松下先輩はバチンと肩を叩いた。結局その勢いに押されたのか参加を表明したものの、小夜川君はやっぱりどこか様子がおかしい気がする。


 「それじゃあ、次は春風杯目指して練習だー!」


 そんな僕の思考を吹き飛ばすように夕方の部室に松下先輩のビッグボイスが響き渡り、各所からおしかりを受けたのはここだけの話である。







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