表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/141

宮郷さんと奇妙な仲間たち

「晴風の部長松下です。改めて本日はよろしくお願いします。予定通り各自三十分のアップをした後に団体戦をして、残った時間は好きなようにダブルス、シングルスをする感じでいいでしょうか?荷物はあちらのベンチに置いてもらって、白間川さんは手前と真ん中の二コートを使ってください。俺たちは端のコートでアップしてるんで、何かあったら気軽に声をかけてくださいね」

「ありがとうございます!部長の宮郷です。うちの連中、見た目は怖いけど悪い奴らじゃないんで。今日は半日ですけど、有意義な時間を過ごせればと思います」


 松下先輩と噂の宮郷さんがガッチリと固い握手をかわす後ろで、いかついお兄さん方は静かに待機している。白間川学園、興味しか湧かない。


 各自が準備をして、コートでアップを始める。ああ、いよいよ本番なんだ。そう思うと、僕は試合に出るわけではないのに背筋が伸びる。慣れない紺色のユニフォームの裾を、思わず握りしめた。

 

 おっと、こんなところに棒立ちでずっと見ているわけにはいかない!たとえ試合に出なくたって、精いっぱいできることをすると決めたのだ。


「相変わらずバドミントン部は人数が少ないね。別に全国区の強豪というわけでもないし、時間とスペースの無駄なのだから早く辞めてしまえと言っているのに。まあ、とりあえず今日は部室を潰せるのだし、廃部も近いだろうね」



 我に返って準備を進める僕の隣に、ぬるっと現れたのは校長先生だった。誰に聞かせるわけでもなく、腕を組んでチクチクとバドミントン部に対する嫌味を並べている。正直気が散るからやめてほしい。何故か僕らが負ける前提で話しているところにもムッとする。


「あの!あちらに椅子があるのでもしよろしければおかけになってください」

「ふんっ。こんなヘッポコ部員たちの試合なんて見る価値もないよ、君。こんなものスポーツとも呼べないからね。顔を出しに来てやっただけでも感謝してほしいくらいだ。それじゃ、私は戻るよ」


 こんな嫌な人でも一応はうちの校長先生なのだ。苦い顔になりそうなのを必死に堪えて(多分結構顔に出ていたと思う。)もしかしたら来るかもしれないと用意していた椅子を勧めるも、嫌な感じで返された。キー!悔しい!!!

 校長の背中にちょっとあっかんべーしたのと、何歩かドスドス足音を立てて歩いたのくらい許してほしい。実はちょっと頭の中でけちょんけちょ…なんでもない。なんでもないったらなんでもないのだ。


「青葉お疲れ。今スコア用紙印刷してきたから、南が来たら渡しておいてもらえるか?私は白間川の顧問の先生が駐車場に着いたみたいだから迎えに行ってくるよ」

「わかりました!ありがとうございます!」


 気合い入れて応援して、とにかく絶対勝つぞ!ぎゃふんと言わせてやる!皆は凄いんだからな!!!

鼻息荒くドリンクのジャグに氷を入れていると、校長と入れ替わりで我らが顧問の長山先生がやってきた。

 眼鏡をかけた穏やかで癒し系な国語の先生で、僕は声を聞くとどうしても眠くなってしまう。だけど、校長や他の部の先生方、生徒の態度もどこ吹く風で疎まれがちなバドミントン部の顧問を飄々と務める様子から、実は芯の強い人なのかもしれないというのがここ数週間での僕の印象だ。


ピッ


 短いタイマーの音が、アップの終了を知らせる。結局みんなの様子、あんまり見られなかったな。でも、校長センセイのお蔭で、ある意味緊張はほぐれたかもしれない。


「晴風集合!」

『はい!』


 松下先輩のいつも通りの号令。こういう時にどっしり構えていてくれる人がいるチームって、やっぱりいいな。皆も、なんかいい顔してる。


「集合!」

「……っす」


 一方白間川は、張りのある宮郷さんの声に対して、本当にうちの倍の人数いるのかと疑ってしまいそうな小さなお返事だ。ただし、いかついお兄さん方が揃いも揃っててきぱきと集合していた。あんな怖そうな人たちを従える宮郷さん、只者ではない。いったい何者なんだろう?



宮郷さんの謎は深まるばかり。そして元々低かった校長センセイへの好感度は今日だけで低空飛行を通り越して地中深くへGOするばかりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ