絶望
「おい、早く来いよ――!」
向こうに俺の友達であるラルクが立っている。
髪は赤色で、瞳は青く光っている。
髪を短く切っており、顔はイケメン。
「あぁ、すぐ行くよ」
そう言って、少し小走りで追いかける。
俺の名前はジーク。
髪は黒色、瞳も黒。顔は普通。
俺って平凡だな。
俺たちは小さい頃からの親友だ。かれこれ10年ほど一緒にいる。
俺たちが住むのは〃アーカイル〃という王国の、〃カイル〃という町である。
この世界には魔王が存在する。
魔王は魔物や魔獣を生み出し、世界を滅ぼそうとしている。
ただ、魔王もまだ生まれたばかりのようで、まだ手は出してこない。
一度、人類は滅ぼされようとしていた。ほかならぬ魔王に。
そんな人類を神は憐み、スキルとステータスを与えた。
この二つは、10年に一度行われる儀式にて得ることができる。
ただし、15歳以上じゃなければうけられないが。
「どんなスキルが欲しい?」
「魔物を倒せるスキルが欲しい。」
「きっとジークならそれぐらい簡単さ!」
「だといいなぁ………………」
―――――――授与の神殿にて。
「き、緊張する~~~~~」
「だ、だだだ大丈夫だよ!きっといいスキルが手に入るから!」
ラルクに励まされながらも緊張を抑えられない。
スキルとは人生。スキルも一応ステータスのようにLvを上げることができるが、スキルの強さによってLvの差など関係無い。
「では、ジークよ前に」
神官様は、やさしい声で呼んでくれる。俺たちのような緊張している子どもを少しでも落ち着けようとしているのかもしれない。
だが、神官様の苦労むなしく、俺はガチごちに固まったまま。
それを悟った神官様は、すぐに授与の議を執り行ってくれた。
スキルにはランクがある。一番下がノーマルで、次にレア、スーパーレア、エクストラ、ユニークと続いていく。スキルは補正値というのがあって、そのスキルに応じて何に補正されるかは分からない。
などと考えているうちに、時が来てしまったようだ。
「ジーク、おぬしに与えられしスキルは……………『修練』である!!」
修練?聞いたことのないスキルだな。どんな補正があるのだろう?
「ステータスオープン」
こう唱えることによって、自身の力量とスキルの詳細を見ることができる。
名称:ジーク 年齢:15 種族:人間 位階:Lv1
HP:100/100 MP0/0
物理攻撃50 魔法攻撃0
物理防御36 魔法防御23
素早さ100 幸運100
スキル:『修練』Lv1ランク:スーパーユニーク(補正:なし)
「は?」
訳が分からない。力量は、両親が冒険者でそれの筋トレに付き合わされていたのでそれなりに高いことは認めるが、問題はスキルだ。
本来、スキルはこうやって示される。
スキル:『剣士』Lv1ランク:レア(補正:剣装備時ステータス15%アップ)
「おい、ジーク君。次の人が来るのでな、そこをどいてくれぬか?」
「あ、す、すいません」
そのあとのことは覚えていない。なんだかどうでもよかった。
俺の、冒険者になって有名になるという夢が、一瞬で崩れ去ったのだから。