0話「まぁ、なんとなく予想はしてた」
初めましておはこんにちばんは。26モチモチです。ついにいつか書こうと思っていた乙女ゲーっぽい小説を書き始めました。
亀もビックリの更新速度かもですが、どうかゆるりとお付き合い頂けましたら嬉しい限りでございます。
ずっと、ずっと、夢だった。
『そこまでだ! 逮捕する!』
『ち、ちくしょう!』
テレビに映し出されるのは、煌めき☆愛と正義の警察官の物語。
通称:きら☆ポリス
幼い頃から何度も何度も一話から最終話までを見直し続けた、かなり昔のドラマ。当時の視聴率は低迷気味で打ち切りにあったと囁かれているが、世間の評価など関係ない。
例え周りの人から、やれ二番煎じだの、展開が読めすぎなどと酷評されようが、私はこのドラマが大好きだった。
被害者の心に寄り添う人情味、時に事件の謎を解き明かす優れた頭脳、そして事件を解決していく事で多くの人に慕われる。
そんな警察官という職業に憧れを抱いたのはその頃だった。将来は必ず警察官になりたい。
必死に実技、勉強に取り組みついにこの日がやってきた。
無事に公務員の試験に合格をして、念願の警察官として働く事が出来る勤務初日。
(私もきらポリみたいに今日から頑張るんだ!)
油断すると緩みそうになる頬を引き締めて、配属された警察署へ足を進めたのが数分前の事。
その期待に満ちた顔はすぐに硬直する事態になるとも知らずにーー。
* * *
「い、今……なんと、おっしゃいました?」
私こと正野 ノノは、先ほどまでのウキウキ気分を完全に失いかけていた。否、失った。
というのもこの向かいの椅子に座っている頭頂部を太陽の如く、ぴかりと輝かせている男性(人事の人らしい)の言葉によって。
「いや、だからねぇ、今のご時世に警察なんて必要ないのよねぇ。今じゃ大きな行事とかの警備くらいしか仕事もないからねぇ」
なんということだ。なんたる現実。
いや、確かにその可能性がなくもないとは分かっていた。けれど、憧れから知らずのうちに現実から、目を背けてしまったのだ。
幼い頃、きらポリに憧れてこんな立派な警察官になるのだと決意して、運動も勉強も人並み以上にたくさん頑張ってきた。
それもこれも、ただただきらポリの主人公のような正義を貫く警察官になりたかったからだ。
しかし、現実とは何とも世知辛いものである。あの輝かしい物語は遠い遠い夢物語だったようだ。
「ーーというわけだから、続きは所属部署の部長に聞いてちょうだいねぇ」
「……はい」
何やら色々と説明されていた気がするが、もはや虚無となった私は力なく返事だけするのが精一杯だった。
「あぁ、そうそう。この書類に説明聞いたのと、了承したって意味で押印だけお願いねぇ」
「……はい」
もう、どうでもよかった。
どうせ子供の頃の夢はもう叶う筈がないのだから。あの輝かしい物語のような主人公にはなれない。
……ところで、了承の押印とは何のことだろう?
ぼんやりとした頭で何気なく、書類へ意識を向ける。そこに書かれていた部署名は聞いたことがなかった。
「……市民馴染み課?」
ここからが私の、そして彼達との輝かしい物語の始まりだった。
* * *
前書きで全て書き尽くしたうっかり八兵衛でございます。良ければ、これからも読んで貰えたら嬉しいです。ここまでのご拝読ありがとうございました。




