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変化2

 今日ももう少しで終わりだねー」

「そうですね」

「明日はどうするの?かなくん休みでしょ?」

「とくにすることないですよ」


 休みの日はどこに出かけるわけもなく。ただ家に居て優恵と透の世話をするだけだ。


「彼女とかいないの?高校生なんだからさー」

「いませんし、興味もありません。家族のほうが大事です」

「神門君は大人だな。だが少しくらい休日に遊びに行ったりしないのかい?」

「行く場所もありませんよ。彼女云々いうなら、名詩さんはどうなんですか」


 聞かれたなら聞き返す。これ以上この話をするのも困る。


「私?モテるよもちろん」

「そうですか」

「話ふってきたのに、すごく興味なさそうな返事ー」

「実際興味ないですし。それにモテるだけでいないんじゃないですか?」

「確かにいないけど。告白は何回もされたよー。でも私はほら追いかけたいから!」

「肉食系ですか、見た目とは大違いですね」

「おとなしそうな子ほど、心のうちに秘めた闇は深いのさ」

「闇が深いって何ですかー!?私は安い女じゃないですからね!」


 ぼそっと言った小さな喜瀬里さんの一言に、噛みつくように名詩さんは反論した。そして話が俺に戻ってきた。


「それよりかなくんですよ。気になることか好きな子いないの?」

「いません、学校じゃ人付き合いは多くないですし」

「かなくんは見た目そのままの、奥手な草食系かー」

「いたとしても、家族優先です。遊びに行く暇はありません」

「家庭の事情てこと?」

「そんなところです」

「鎖、いや呪縛。呪いか」


 喜瀬里さんが何かを言ったような気がしたが、名詩さんが被せてきて聞き取れなかった。


「どうしたどうしたーかなくん?なんか元気ないよ?」

「別にそんなことは――」


 そういって立ち上がろうとして、視界がぐらついた。


「ちょっとかなくん大丈夫?!」

「大丈夫です、何とも――」


 気づけば手に持っていた本が床に落ちていた。手に力が入らない?


「大丈夫じゃないじゃないか。ちょとおでこを触るよ」


 そう言って喜瀬里さんは顔を近づけておでことおでこをくっつけた。喜瀬里さんの顔がすごく近い、鼓動が早くなっている気がする。そうぼんやりと思っていると、喜瀬里さんの顔は離れていった。


「これは熱があるね」

「ちょっと、すごく冷たいよ手!」

「名詩ちゃん神門君を休憩室に寝かしてきてくれるかい?私は店を閉めるから」

「わかりました!」

「まだ時間が……」

「そんなことは気にしないで横になりなさい。どうせそろそろ閉める時間だ、少し早く閉めても問題ない」

「店長もそういってるし、早く休憩室行くよ。ほらつかまって」


 名詩さんの肩を借りて休憩室まで歩く。意外に名詩さんは力があるらしい。力が入らなくて、体を預けているのに支えれている」


「にーにどうしたの?」


 優恵は椅子に座って絵本を読んでいた。


「優恵ちゃんのお兄ちゃんは風邪ひいてるの」

「にーにかぜひいたの?いたいいたい?」

「大丈夫だ……心配するな」

「やせ我慢は良くないよ。ほら熱を測るんだ」


 手渡された体温計で熱を測って、喜瀬里さんに手渡す。

「38.5度か。自分で気づかなかったのかい?」

「立ち上がるまでなにも……」

「今の時間じゃ、病院もやってないだろうし。自力で帰れないだろう?」

「《《大丈夫》》です……帰れま――」


 立ち上がろうとして、そのまま喜瀬里さんのほうに倒れこんだ。やわらかいクッションにあったったみたいに、衝撃はなかった。俺は喜瀬里さんの胸に――


「これのどこが《《大丈夫》》何だい?一人じゃまともに立つこともできないじゃないか。家まで送るからおとなしくしてることいいね?」

「はい……」

「私も一緒に行きます。優恵ちゃんのことは私が面倒見ますね」

「いいのかい?私一人でやるつもりだったのだけど」

「どうせ一人暮らしで、私の帰りを待つ人はいませんし。問題ないですよ」

「そうかじゃあ頼むよ」


 俺は喜瀬里さんにおぶられて、家へと帰った。喜瀬里さんからは何か落ち着く、いい香りがして。だんだん眠くなってきた。家に帰るまでの間ずっと優恵は不安そうな顔をしていた。

誤字脱字は下に専用のがあるのでそちらからお願いします。


感想は私のモチベーションに直結してるので頂けると泣いて喜びます。面白いの一言でも大変うれしいです。

次話から物語は動きます

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