花の月の戦闘
今回のポエムは自信作。というよりこの月はうまくやらなくては。
ちなみに本来忙しいけどそちらをさぼってこれを投稿しています。ばかですね。
◎視点 アルマ・ブルーム
世界樹の森 卯の水源地
卯の神殿近隣 渓谷下
この断崖絶壁、向かいとこちらに壁があって、通路みたいになっている。
中央には川が流れていてそこの水はとてもきれいだから、飲み水には困らないかも。
それより夜なので、月明かり以外の照明と寝る場所を確保したいところ。
「飲めそう?」
「ここまでくると、とりあえず口に入れてみないことには。失礼」
………はい?
「大丈夫です。おいしいなこれ」
「まじか、いただきまーす」
本当においしい。飲みやすい水だね。
「ほんとだおいしい」
「ですねぇ…っ!?」
「今のは!?」
一瞬だが見えた。何か大きな力が動いていた。
「強力な魔物でしょう…大群で魔物がいるときの気配に似ています」
やっぱ安心はできないなぁ…。
「ムカデがどこにいるのか…」
「そういえばですが、ムカデは大した魔力はありませんでしたねぇ…」
「あー、そうかも」
なんか致命的に引っかかる。
「結界などは妖術が基本ですし、まぁあまりおかしなことでもないでしょう」
「妖気は…あったかなぁ?」
「巨体なせいで生命力に隠れやすいですね。あなたの父親やトロワ君のように膨大な生命力を持ってても隠れたりしますが」
え、何それすごい。
「あなたは…隠れるとか以前にない、ですよね」
「そうだね、あんまりない」
しかし…私は何に引っかかっているんだろう。
「矛盾した事実…どう…っは!」
「独り言は珍しいような?」
「うん、確かに。私もびっくりだ」
それよりもう来そうかな。
「使うかなぁ…bloodmagic!」
そしていつもの!
「laevateinn!!よし、多分あいつだ!」
その言葉を放った直後にやはりあのムカデが現れた。ミミズみたいに壁からにょきっと。
「斬り捨ててやるよ、さすがに怒った!!」
よっしゃやるぜぇ!
「いっけぇ!」
一発だけでは足りないでしょうし、まったりと血統魔法つきのラーブァを追加しながら観戦。
とはいえ先ほどとは違い攻撃を食らえば普通に死ぬ。…正直、もう一度使うのは暴走のリスクがあるから、頼りたくない。少なくとも今発動するとすぐ暴走するらしいので今は無理。
相変わらずぴょんぴょんと跳ね回りながら隙を見ている。
「これは時間がかかるなぁ…」
「そこぉ!」
その瞬間だった。フォリックが鈍く金属の光を発する木の枝上に立ち、刀をしまった。
「うぇ!?」
ムカデの頭だけ私の前にあった。
「危なっ!?」
こわっ!
「あ、ごめん!?」
慌ててこっちに来た。
「いやー、びびった」
「すみません…」
「大丈夫だよ。さて、上に行こうか?」
「どうやって行きます?」
「こいつの掘った穴のぼれそうじゃない?」
本当に出来るかはともかく。
「うーん、まぁ、どうにかなるか。じゃあ行こうか」
「うん」
上はどこへつながっているかな。
無意識に跳ねたらしくちょっと驚いたりしながら、歩き始めた。
◎視点 ミェラ・オド
メタい話だけど、皆が分かれてるとアルマ視点以外が増えるしかないのどうにかならなかったのかにゃあ…。
記録。
「ふぅむ…これはあのムカデで良さそうだ。先ほど音で調べてみたが、どこかにつながってはいるようだ」
記録。追記:大穴を発見。痕跡より直近の生成と判明済み。
「行くか?」
「私が行くよ。そこに刺すか。後こっち」
記録。特記:今回のアンカーは比較的新品の様子。先程作ったものと推測。
「後この二つ…撃てる?」
「まぁ、できそうかな」
記録。特記:特別製アンカー。これは先程作ったもので間違いない。
「敵襲です!」
緊急:トロワ・Sの警告!
「承知!」
「あいあいさー、っと、ドラゴンかぁ…虫系はなぁ…」
記憶。記録。
「ドラゴンは虫なのか?」
「ドラゴンはトカゲ、よっては虫類。従って虫にござる」
記録。
「エニカ、それなんか違」
「ってかトロワは下がってろよ!」
「……はぁーい」
余談:いちゃついてるように見えて少し嫉妬。婚活しようかなぁ?
「さて…拘束するよ、この穴を壊される前にね。下手はできない」
記録。緊急:主の危険もあるのため、すべての手段を使用せよ。追記:ここにいる人物のうち符の知識に欠けるのはトロワ・Sのみ。そのため「符の使用による」情報漏洩の可能性は皆無。
「在天上飞,进入笼子(空を飛び、檻に入る)」
特殊解説:戦闘。拘束する。先人の奥義に値するこの対飛行生物特攻の妖術なら容易だ。
「種族がわからないけど…吸血弾装填」
記憶。追記:アインス・……(忘れた)はドラゴン種の血を収集していた。
「誘雷弾装填、発射。ふむ、十分だろう……やってくれたまえ」
記憶。緊きゅ……訂正、特記:パイン・Bの干渉を確認。恐らくインスタグ・P・Lの指パッチンが合図。
記録。追記:相当遠くからの魔術。パイン・Bの魔法は召喚術に近しく高射程かつ追尾性能の高いものである。
「ふむ、やはり雷とはいいものだな」
「やったー!かったー!わたしのドラゴンのほうがつよいよー!」
記録。
「つかれちゃった」
「そういえばもうすぐ夜だね、夕食の準備に取りかかろう。クアーロちゃんとミェラさんは、先に水を浴びるといい。特にクアーロちゃんはね」
「……うん」
緊急:クアーロ様が返り血を浴びていた。
「い、いいい急ぎましょう!?」
「そうするといい」
「ありがと…」
「おふろー!いくぞー!いえまできょうそうだー!」
余談:あれを家と見ていいのかな?
「それでは」
「ふむ、交戦中かな。フォリック君かな?それとも例の熊かな?それ以外だと突入させたくはないなぁ…」
記録。余談:水浴びできるぞー。わーい!
◎視点 ゼクス・アローラ
世界樹の森 大木の本陣森
隠れ里近隣 臭気の枯れ地
ずいぶんと強そうなのがいるなぁと思ったが、よりにもよってお前かよ。
「なんでツェーンが魔物連れてんだぁごらぁ!?」
「ちゃんと柊也って呼んでほしいよねぇ!?」
ん?
「………なぁ、おい!」
「んぁー?そも名前を呼ばないんですかそうですかぁー?」
「まず、あいつらはどうだった?」
「無事。何なら二人目を計画してたくらい…まず?」
「次は俺が言う。お前狂国に見つかったか?」
「否。ってか珍しいな外いるのは?あとそこの何でキレてる?」
「ばーっか!!ろっくんがキレるのは当然でしょーがこのばーか!!」
いや、俺はキレてないぞフンフ。ツェーンが言ってんのがノインのことだって気づいてないなこれ。
「語彙足りてねぇぞふーちゃん…」
「一応キレてねぇ。まぁでも確かにそこで見つかったとかぬかしたらさすがに今度こそぶち殺してた」
そういえば、前に殺そうとしてたっけ。お茶を濁してしまおう。
「こわぁ~っ!?ほんとにガチギレしてるぅ~!?」
「もー!!!根本君ほんとに嫌い!」
「俺ふーちゃんにそんな嫌われてたかなぁ…ってかそこの子供は?」
俺も知らなかった。フンフそんなに嫌ってたのか…。
「俺の娘だ」
「……っ。やっぱ直で聞くと破壊力高いな」
「……三女だよ」
……まずった。顔色がみるみるうちに悪化していく。
ってかそこまで知ってて聞いたんかい!!ふざけて地雷踏ませやがって何なんだよ……。
「ああ、あ、そ、そうか。そうか。そうなのか。ぉえ、あ、ぐっ……無理だ悪い、ってくっさぁ…」
「あ~……………あ……うん」
ノインも怒りが解けた様子。さすがにこれはな。
「すまん。あ、後これ幻影」
「それは知っていた」
ま、まぁ、ドライならわかるか。ツェーン、お前は当たり前のごとく魔物の幻影を作るな。びびる。
「お父、さん…?」
「ついたら話すよ。そういうことにしたんだ」
マリル。
お前なら大丈夫だよな、って思うのは身勝手なのかな。
……、その前に、あれだな。こいつすぐ風呂入れねぇと。
どこにあったかなぁ?思い出しながら歩くことにした。
花は咲きいつか散る。なぜ咲き続けないのだろうか?それはきっと、美しくなくなるからだ、と考えた。養分を吸いすぎた花はその機構を腐らせ醜く穢らわしく咲き誇るだろう。その前の美しい時を愛でよう。いつか私も散る。それまでを愛でてくれる人は決して現れない。でも、それでもいいだろう?愛でるために、花はないのだから。
スペル訂正中(leavateinn→laevateinn)
正確にはどちらも違うようなのですが。




