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歌の月の幻影

5/1 ルビふり直し

 ◎視点 アルマ・アローラ


 あー、はい。事故りましたね。

「まずい……あ、そうだ。この!このぉ!キックキックぅ!」

「落ち着いてください、…いや、わざわざキックキック言ってるから落ち着いているのか?」

「なんかもうとりあえずこいつ蹴っとこうって思ってね」

 崖の下です。普通何で生きているんでしょうレベルだよね。服は無事とは言えなくなってるのですが。この、この!

 ってフォリックもそうじゃん!腹筋割れてるように見える…かもぐらいの筋肉。うーん、ムキムキと称するか華奢と称するかは意見が分かれそうですねぇ。

「関係ない関係ない!……えぇと、上向いても崖の上が見えません」

「そうなんですよねぇ…木などで覆われてしまってます」

 やっぱりこの崖は高すぎる。上るのは無理だろう。

 まずはここまでの経緯を確認しよう。


 ◎前回前々回部分は省略

 ◎神門の町ヘイルダム 神門前


「じゃ、ここから奥へ行くが、人員が多いので二手に分かれる。ゼクスを筆頭に、アハト、ズィーベン、フンフ、ドライ、ノイン、マリルで先行強行突破、残りでゆっくり行く。異論は?」

 アインスさんが議長役。

「おねーちゃんといっしょはだめ?」

「ダメ。危なすぎる。本当はマリルも連れて行くべきではないがまぁ…代役いねぇし」

「私では力不足と?」

「おめーは目的見失うな、一応いうとな、論外一歩手前だ」

 パインとクアーロちゃんの従者の意見が即でアインスにぶった切られる。

「残り、主戦力だけでも確認」

「あいよ、フィーア、クリス、フォリックが攻防、アルマ、パイン、アテスが攻撃、伯爵様、シャメル、後そこのが防御、後は知らん。基本先に言った奴の方が強い。一ついうなら俺からすれば伯爵様はぶっちゃけ一人ならそれはそれで行ける気がすんだわ」

 話がなげぇ。

 ってか伯爵様…シャメルのお父さんが防御?

「私とクアーロ様は?」

「俺にはよくわからんから知らんって言った、他意はない」

「私もミェラも防御かな」

 クアーロちゃんは防御?むしろ攻撃的な魔法な印象が…。

「トロワは能なし、私も防御」

「能なし!?」

 能なし!?いやまぁ、使い魔の使役がメインだから自分で何ができるのかという点ではかもしれないけど。

「嘘だろおい」

「まぁ、先行部隊の能なしの子だしな」

「ちったぁ落ち着けやおめーは」

「楽しそうだが建設的な話はもう済んだとみていいのかい?」

 アインスさんとドライさんが妙なやりとりをしていたが、シャメルのお父さんが話を戻した。

「おう、多分いいぜ」

「では時間もあるまい、急ごう。バレットにあまり負担をかけさせたくないから、何度も日をまたぎたくはない」

「承知、総員、行動を開始してくれ!」

 みんなで拳をあげて叫ぶ。えいえいおー!


 それが確か、カフェを出てすぐのこと。まだお腹いっぱいだった。


 ◎世界樹の森


 非常に蒸し暑い。

「めっちゃ暑い…」

「これは、きついね…」

 私もクアーロちゃんも暑さにやられかけてます。

「夜は逆に思いっきり冷え込むそうです」

「それは助かるぜ」

 シャメルに全力で同意。

「汗でぐちょぐちょになるぅ…」

「汗も出ないよ」

「お水がのみたい」

 それでもきつい。……ん?

「魔物の気配です」

laevateinn(らーぶぁていん)!」

 黒いカマキリがいたから倒した。

「こいつどうする?」

「斬ります」

 斬り捨てられた。

「む、これ薬になるな、素材もらってくぞー」

 アハトさんが戻ってきたぁ!?あ、前にみんないた。

「あと、ちとやべぇのがいるわ。フィーア、左の道にそれろ、道なりに行けばどうにかなるが緑の目の白熊は放置で、極彩色のムカデは狩っておけ」

 なんか…危険な言葉を聞いた気がする。

「了解、遠回りだけど時間は大丈夫?」

「獣人たちに任せな。むしろ俺たちより早いだろうし」

 そしてよくわからない言葉もセットで。何のための先行強行…って状態。

「むかでさん?のみこまれる?」

「え、ちょ、パイン!?」

 なんか斜め上を行ったぁー!?

「おねーちゃんがまっかでよんでたうすい本にあったらしい」

「…………………そういやあったな、隠しておかなきゃだめじゃんあれ」

「道理でおまえがそんなの持ってるわけだ、それはアイ」

「てめぇらさっさと行くぞぉ!?」

「あーはいはいわかったよアインス」

 ……えーっと、うん。いわゆるエッチな本なんですね?それも、かなりやばい内容の。ついでにアインスさんの。

 比較的普通の内容のものならコルルの家で見たことある。あれは語ってはならぬ。

 でもあえて言うなら、私とはほど遠い女の子がメインでしたね、うん。

 ……どうでもいいね。暑さで頭がどうかしてるのかも。

 それよりマリル落ち着け。無言で涙目でにらみつけないであげて。アインスさん本当に不憫よ。

 それはそれとして何やってんのかね?

「では、そちらへ行こう。シャメル、前に出るよ」

「合点承知、だ!」

 警戒をしながら左の道を進み始める。

 そして、シャメルのお父さんが防御として指名されたのがよくわかる。

「左八、右六、上の一匹は知能高めだね」

「あー、獲物潰しすぎたみてぇだ。さっきの肉狼肉いくらかあげよう」

 なんかよくわからないやり方で数を把握してるし、左腕は先ほど絡まれた生きてるツタが絡まっているが、服すら破けていない。

「とりあえず斬ります」

「援護しまーす、breaker(ぶれいかー)

「右は任せてくれ。そうら!」

 銃、ってやつか。そこに何が仕込まれているのか、魔法が高速で発射される。

「ふぅむ……めんどくさいな」

「紫は使ってしまえば?」

「そうだね、使うか…無が薄く、紫の日よ輝け!」

 おお、血統魔法のかけ声エーデ語?

 確か消費する魔力やらを軽減するんだっけ?

「ふむ、全力で撃っても耐えるか」

 その極彩色の甲殻がなかなかいい仕事をしている。それでも甲殻越しに届いた衝撃はその超どでかい体に響くだろう。

「逃げるのか」

「追うか?」

「――lightning (らいとにんぐ)dance(だんす)go(ごぉ)!!Lightning (らいとにんぐ)Dragon(どらごん)!!!」

 なんか唱え方少し変えてる…。まぁとにかく逃げるムカデを追いかけて炸裂。

「うわぁ無傷?」

「なら……起動!斬!」

 フィーアさんが何かをした。

「………まずい」

 そして無傷。なんか冷や汗ものなのだけれど。

「物理で斬った方がいいか?」

「次はそちらを援護しまーす、breaker(ぶれいかー)……うん?」

 フォリックは辻斬りと化してた。

「そんなに堅くない…っ!?」

 揺れる。大きなムカデが暴れ回っている。

 あれ、強いなぁ…。

「くっ、不味いか!」

 フォリックは刀を引き抜いて下がる。切り裂かれた顎が閉じられなくなったようで、涎が垂れている。

「パイン、出来そう?」

「れんしゅうがひつよう」

「じゃあ私がやるか!My wisdom (まいうぃずだむ)teach (てぃーち)me how to (みぃはうとぅ)use the (ゆーずざ)mana(まな)in (いん)addition (あでぃしょん)to it(とぅ いっと)My (まい)instinct (いんしてぃんくと)understand(あんだーすたんど) me how to(みぃはうとぅ) use the(ゆーずざ) life(らいふ).(私の知恵が私にマナの使い方を教える。それに加えて、私の本能が私にライフの使い方を理解させる。)

My father(まい ふぁざー) teach me( てぃーち みぃ) magic(まじっく) logic(ろじっく)my mother(まい まざー) informed (いんふぉーむど)me (みぃ)the soul (ざ そうる)shape(しぇいぷ)(私のお父さんは私に魔法の理論を教えてくれて、私のお母さんは私に魂の形を知らせてくれた).

and I (あんど あい)helped me(へるぷど みぃ) following(ふぉろうぃんぐ)my fate(まい ふぇいと).(そして私は私の運命に従い私を助ける)

majic time(まじっくたいむ) start now(すたーとなう)!(魔法の時間が今始まる!)」

 一気にめっちゃ早口で唱える。かまなかったよ!凄いね!

「さぁ、舞い踊れ!laevateinn(らーぶぁていん)!」

 それそれー!あ、なんかまとめて複数個分作っちゃった。それやるくらいならワールドマスター使うのに。後防御魔法私も自分にかけとこ。他の人が私にリソースを割けないようにというのも

「面倒なことになったかも」

「不味いな…力を溜めている?さっきので地面がそれなりに揺れたのに?」

 溜めている以上、普通にやれば殺す前に動きを、衝撃を止める準備を整えなくてはならない。

「…もうやれ!!アルマ!!!」

 シャメル!?承知!

「いっけぇ!」

 茂る草を、木の枝を、回避しながら先ほどから出していたラーブァを奴の口の中に突撃させる。甲殻なしで守り切れるわけないな?

 そう思ったが抵抗するには十分――

「っっっ!!」

 抵抗として私に尻尾のほうを伸ばし、全力で叩きつけてきた。

 それは避けたが反動で打ち上がってきたのは回避できず、なけなしの防御魔法もあっさり砕かれ吹き飛ばされてしまった。

 声が聞こえた。気が、する。

 誰かに腕をつかまれる。

 意識が朦朧としているが、こういうときの咄嗟の行動にはかなり慣れている。

 掴んだ人を抱き留め、私がすべての衝撃を受け止められるようにする。それは自己犠牲ではなく、私の全力((フルパ)発揮(ワー・)変身(モード))の効果で被弾した後の強制解除は、地面に着地後だから落ちてる間や着地(というより墜落?)のダメージはすべてなかったことになるというだけのこと。らしいよ。今知った。

 そうして着地し、強制解除とともに意識を手放した。


 まぁ、そんなわけで崖下でも無事、目を覚ましたのです。

「とりあえず魔物が多いな。このカメレオンのせいで服まで…あ、起きました?」

 頷く。起きました。元気です。

「うん。あれ、ちょい体痛い?あれー?」

 このとき、衝撃から守りきれなかったのだろうかと思ったんだっけ。

「すみません、守り切れませんでした」

「あ、大丈夫だよ。ただ落下の衝撃を受け止めきれなかったのかなと思ってさ」

「……申し訳ないなぁ」

 しょんぼりしてる。かわいいねぇ。

「ところでさ、この犯人誰?」

 服が微妙に破けていることに気がついた。

 傷は見えないなぁ。

「ああ、あのカメレオンですよ」

「ふぅん…」

 一応確認したけどぶたれたらしい様子もない。ほんっと服だけか。

 まぁこれで、冒頭に戻るというわけだ。


 とりあえずね、上に戻る手段と、あのムカデをどうするかだよ。

「最悪上に戻るのは上に頼っていいとして、ムカデがこっちに来ないと困るんですが」

「フォリックが斬るしか有効打がなさそうだしね」

 あいつは魔力を通さない。私のなけなしの防御が効果を発揮自体は出来てるから、無効化とかそんな性質はない。ただの防御。何なら被弾のたびに魔力を消耗するかもしれない。

 まぁ、魔法対策は魔法。物質対策は物質。これが基本だしね。

「まぁ…フィーアさんが何を隠し持ってるのかも甲殻の原理もわかってないからなんともいえないけど」

「そうなんですよねぇ…使う魔法の性質が性質だから、私には何ができるのか見当もつきません」

 まぁ、そっちへ行ったなら私たちにはとりあえず関係ない。

「む、これ酸なのか…危険物処理頼むよ!」

 私の使い魔でどうにかしよう。

 何かバケツらしき金色の何かで液体を回収して去って行った。さすがです。

「……えーっと、あれを上に向かわせたりはできます?」

「無理だよ、私の近くにしか存在できないから」

 あいつらの性質は今度確認しとかないと。編集魔法使う前しか頼んだりしてなかったからね。


 ◎視点 ミェラ・オド

  世界樹の森 卯の水源地

  二人の落下後


「かなり凶悪な魔物だったね」

「リックに持たせて正解だったね、ミェラ」

 記憶。記録。強調:クアーロ・Msのアンカーをフォリック・Msが所持。

「ええ、確かにそうですね」

 記録。記憶。

「……ごめん、忙しかったね」

「ご心配なさらず。私自身はこのような会話を好んでいますので」

 記憶。余談:心配されて嬉しい。

「じゃあ、ムカデがやられたら回収するよ」

「では大人しく私もそうしましょう」

 特記:この場所で野宿。遺跡の入り口。内部は祭儀を執り行う場と推測。比較的清潔。

 魔法使用:クリーンアップ

 … … … 緊急:符の使用による妖術の使用を検討。

「クアーロ様、ご許可を」

「ん、いいよ。私もできないし…この面子になら割れてもいい」

「私めも存じておりまする手法です。どうかお気になさらず」

 特記:許可を取得。追記:忘れていたがホロフ・Bも問題ないらしい。

「では発動させていただきます。扎标记(じゃーぴおじー)(印を結ぶ)、使用魔法(しよんぐもふぁー)(妖術を使う)」

 記録。追記:発動を確認。

「ぴかぴかー、れしゅー?」

 余談:ですと言いたいのかな?れしゅ、と言われると娘が我ら栗鼠族のことを呼ぼうとするときの感じに似ているせいで混乱する。

 特記(検索上余談):当時の自己完結のための余談。消去不可。

「あ。ミェラ!読んで!」

 記憶。強調:壁をきれいにした結果現れた様子。

「古獣語ですね。えー、色、多い、足、多い、これはー、…」

 記録。記憶。緊急:知識不足で読めない。

「読めない…」

「色多い、足多い、敵意を食べる怪物、緑の瞳、白の毛、強い思いの獣、銀の葉、金の果実、鉄の樹皮の大木、怪物は獣を食らい、獣は実を食い尽くし、大木は怪物を砕く」

 記録。追記:考察。おそらくは怪物と獣と大木の三すくみ。アハト・Fの情報のうち、先ほど遭遇した極彩色のムカデが怪物と、白熊が獣と筆記されていると思われる。

「どうでもいいわ。どうせ彼が斬る。私たちが警戒するべきは熊。そのために念のため、この大木を探しておくべきかしら」

「とりあえずこの場所を一度ベースキャンプとしておこう。兵糧は十分あるだろう?」

「ええ、もちろん」

 記録。余談:フィーア・Qとインスタグ・P・Rのやりとりが怖すぎる。

「水浴びできる?」

 余談:確かにそれは大事ですね。

「近くにそのための場所があったはずだよ。いまシャメルが見に行っていたはず」

 余談:やったぁ。

「今も使えるぞ、意外に虫とかいねぇもんだな。混浴だったから時間分けて入ろう」

 特記:ホロフ・Bを警戒せよ。シュレール・Msがいないためほかは放置してよし。

「個室確保できそうだよー」

「魔除けの魔法を発動できますが夜間は交代で見回りしながらにしたいところです」

 記録。

 記憶。特記:もしやフォリック・Msがいればここから中央に転移できるのでは?

「今気づいたのですが」

「なんだい?」

「この兎の紋章、見覚えがあるきがします」

 記憶。記録。特記:クリス・Tは兎神獣の紋章を知っているご様子。

「兎神獣の紋章ですね。フォリック様がこちらにいらっしゃれば世界樹様のところへ転移できるかもしれません」

「……あ、だからアハトは。ってそれってつまり!」

「うごけないねー。アルマおねえちゃんかえってくるまでたいき」

「ですよねー…あはは…」

 記録。記憶。追記:転移用の施設や場所が多いのはうらやましいものである。


 強調:被誘導を確認。開示しながらの記録、記憶処理を終了する。

 補遺:帰還先はアルマ・Bと推測。

 余談:これほんとどういうことなのよ?

未来は未知であると述べるのは構わない。ただし人の身にも理解できる確定された未来の事象くらいはあろう?明日夜ご飯を食べる光景を想像してほしい。多分そっくりそのまま同じ光景ではないだろうが、時間、メニュー、使う食器、共に食べる人、etc…何かしらは一致くらいするだろう?さて、神にはどれぐらい見えるのかね…?


この世界で神様が人の心を読めないということはないですが、未来のシミュレートまですると十中八九計算ミスします。全知全能ではないし仕方ないのです。


スペル訂正中(leavateinn→laevateinn)

正確にはどちらも違うようなのですが。

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