白紙
完結する直前に続きを乗せますが、最後と同様メタだらけな上最後に報告しますのでお気になさらず。
たぶん今年の投稿はこれか次で最後です。(
最後なら書き加える枠を消費します)
皆様、よいお年を。
11/21 完全に忘れてて遅れました。
◎智取部凜哉
昔々の大昔、白銀世界を巻き込む戦争の果てにも世間に見つからなかった隠れ里があった。
その国は、それはそれは狭い国でかつ、大量破壊兵器…核兵器と呼ばれる代物の最初の被害国といわれる国で(どう考えてもこの言語の国である日本なのだが突っ込まないでください)。その結果で見つからなかったのは奇跡かもしれない。
その里、「虚構の|夢見《ゆめみ》座」には代々姫継ぎ子と呼ばれた風習があった。
女の子を一人、姫継ぎ子と呼ばれる役職に就け、催事を執り行うという物だ。
代々、みんなが何となく、で選んでいるものだから、特に何か神様がどうとか言う儀式があるわけではない。しかし少なくとも、そのでは一目置かれる職であったのは確かである。
―――幸せだった。私は、あの日すべてを失うまで、充実していたんだ。すべてを失った日は、まだ暑い秋だった。
当時の…最後の姫継ぎ子の名は白銀 雪菜。
廻金世界へ来た、最初の白銀人の一人。
―――私の友は黒くなった。私の父は溶けたみたい。私の母は…何だろう。みんなまるで悪い魔法でも使ったかのような感じで壊れた。奇跡は来なかった。私は白くなったけど、なぜか死ななかった。それで諦めたのか、私だけ生き延びた
それの何たるかは知るよしもない。ただ、それによって心が砕け散ったのは確かだろう。そういうことにしておければよかったのだが。
友は焼け、父は潰され、そして母は形容すらできぬおぞましい死(第三者が分ることは、血は出ていなかったことくらいだ)を遂げた。そして彼女は純潔を奪われたばかりか、男どもの慰めに数日は使われたという。
―――救済なんてなかった。犯人に連れられて、海の外へと行くことになった…はずだったんだ。外の人は恐ろしく映る。それは少なからず姿が違うから、彼らの目には同情が薄くなるのだろう。
ほかでもないこの犯人の一人がほかの転移者の一人、白山実ことリアリティズムインベイディング・ジ・アブ・ラカタブラ。名前が長いのは、他の人が変なあだ名をつけすぎたからだとかなんとか。本人は普通めに名乗っていた。何処かには残っているか?
そんな彼らの転移は、飛行機事故のさなかで起こったと言われている。助けられたと恩義を感じた白銀人4名は、当時は叡智と信仰の国だったエルダーアースに、世界の狭間で得た圧倒的な力を振るった……と言われているが、実際に協力を申し出たのは二人。一人は主張も許されず連れられ、一人はどっちつかずのうちに神獣に汚染された。
―――私はまた、友達を得た。仲間を得た。それは、救いだった。私にとっては命を救われたんじゃない。私に命をくれたの。みんな、ありがとう。
彼女の力は、使い魔の使役と管理をはじめとする生命の操作。命の使い魔などの禁忌を生み出したとされるが、彼女にとってはただただ友達で、仲間で、家族であった。
恐ろしき過大な力も、都市随一の魔法医師の護衛という認識であったため、受け入れられていた。
―――優しい家族も……得た。とても、今が幸せ。私は今、生きている…!
彼女は次に、故郷のみんなを連れて行きたいと思った。
我欲にまみれた白山実、戦争狂いに過ぎて白銀世界に辟易していた赤銅花子ことネロミィイェール・ロストフラストレーション、戻れば冤罪で皆に拒絶されてしまったろう紅葉学ことグレイト・マッカナノサーとは違い、白銀世界に未練が残っていたのだ。
それが、世界にとっての大罪となるとは露知らず。
―――ここには魂を呼び出す手段がある。出来るかもしれないと思ったのだけれど…無理だった。加速度的?に時間がずれていっていたらしく、手遅れだとのこと。
しかし、過去のものを取り出し送ることはなんとか出来た。彼女が取り出したのは、何のことはないただのハンカチ。送ったのは、手紙。
―――お手紙を書いた。これで、誰かが救われてくれるとうれしい。
……ところで、パラドックスというものを知っているだろうか?
事実と、推察の結果、あり得ない事象が生まれるというものだ。親殺しのパラドックスなど、過去改変による矛盾は非常に有名……多分だが。
ここで、彼女が過去に手を下したために、パラドックスが発生した。本来はその世界内で起これば矛盾の内容を処理できる、すなわちそういうものだったと修正できるのだが、異界の干渉によってそうもいかなくなってしまったのだとか、という設定でここは一つ。
未来を知るものによる警告、それに伴う過去改変のみならず、これまでのめちゃくちゃな時間軸から廻金へと持ち寄られた数多の物品による時空間の不安定化も考えられる。
現実でも、自分の中で完結させた物語はいくらでも修正が利くが、このように外に語りかけた話の…読者が理解した話そのものの修正は少し難しい。…少し分かりにくいな。修正は楽かもしれない。
しかし一度知ったことを忘れ「させる」ことは容易ではないだろう。この物語そのものは一日二日では忘れられないだろう…多分。少なくとも、ここまで読んでいただけたなら人間の記憶の構造的に正常な記憶野なら二日くらい保つと思う。多分。この下手な説明を理解できるかはとにかくとすれば。
要はそのことを、改変させることに応用したまでである。
それが文字や画像による情報一つでも難しいのだから、その集合体であるインターネット上の情報の消去は難しいし、小さくともより高度な人間の脳から多数の情報の消去はさらに厳しい…となればそれらが大量に蠢く世界から一つの出来事を消去することの高度さもおわかりいただけるだろうか?
それを複数の世界にまたがった事象に対して適応すれば法則の一つ二つ壊れてもおかしくあるまい、という私の解釈を適応させたのがこの世界である。
解釈の限り世界はある。パラレルワールドだ。だから。ここは実在するだろう。
―――私は神様とかいう存在に殺された。酷いよ。また全部奪われた。みんな殺されかけた。やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!もう嫌だ!!
理不尽な神話として、一つ今のエルダーアースで説かれている実話の詳細である。
同時に、世界を三つも壊した罪人とされた少女の話でもあると言われている。しかし、この解釈はある意味正しくないことを知っていただきたい。
先述の通り、ここは実在する。そんな世界を想像したのはこの私だ。私は…何度も書き直した。これからも書き直す。その度に、三つも四つも「壊れた世界」を作っているのだ。はじめから、彼女が壊したことにして、彼女の心を壊しておいて。
その話は、まさに神話である。
世界の想像主たる私の罪をこの廻金世界に知らしめる神話である。
皆様は、どれほど罪を、美徳をお持ちですか?それを知らしめたくはありませんか?どちらであっても、あなたの思い描いた存在たちは、生きている。あなたの中でだけでなく、遠い遠いどこかで。
どうか私の物語が、誰かの有り様を構成する一つになれるように。
私の有り様を構成する物語たちに感謝を込めて。




