表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/161

帝国の皇帝!(紫)

 ◎視点 アルマ・ブルーム

  転移完了を確認


「「おおー!」」

 二人で声を上げるくらいには圧倒される景色だった。

 古びて崩れかけた要塞。その無事な部分に立てられたこれまた古びた大きな旗。

「これが浪漫ってものだわ…!」

 なんだかすごく興奮を覚える。これはいい!

 暖かな風の匂いの中に、確かな生活感のある匂いが混じっており、確かにこの中は町だと確信できた。

 入り口はどこだろう?大きな門は崩れていて開く気配がない。

 わくわく。

 がたごと。そういえば牛車の中だった。

「ライトニングドラゴーン!」

「ちょっ!?急に何!?」

「なんかぶつけたい!」

 壁に石を投げるような感じでぶつけるものじゃないから!

「てへ?」

「てへ、じゃないよ!まずいから!!」

 わいわい騒いでるうちに入り口に近づいてきた。どうやら崩れ切った部分を道にしているようだ。

 町に入る前に気がついたが、この辺に崩れているものの一部にあるペンキ的なものが色あせていない。

 ちょっと不思議なので魔法を使って見てみる。

「My…」

 以下略。

 ……なんと、この壁全体に生命力が微妙に混じっていた。

「何の魔法ですか?魔術と禁術のようですが」

「秘密ー!」

 仮にも神獣の力の再現だからね。隠しとくべき。

「アルマおねえちゃん、おめめさきっぱなしだよ」

「あー、そうなるんだ」

「わたしもさかせたい」

「やめなさい。ってゆうかそもそも…」

 そもそもパインには花弁の火の傷は無いような。

「ないね。でもちはつかえるよ?」

 血統魔法は使えるね。パインは心を無にすればするほど効果が上がる、だっけ。

 直感に任せればいいって才能にまでいわれてるよね…。

「今それは…もっとやめてほしい」

「あ、はーい。あと、おねーちゃんもちだけつかえるんじゃないっけ?」

「ああー、そうだっけ?」

 マリルの方は覚えてない!

 いや、冗談にすらならないか。知らない、聞いたことない。使えるってすら聞いたことない。

「それで、お目目はそのまま?」

「うーん、どうしようね」

 とりあえず手を外に伸ばす。

 数秒反応を待つと、やはり返ってきた。

『ほいほいシャメルだぜー』

「あーはいはいー、いきなりですが目の花弁出しっぱでも大丈夫かな?」

『いいんじゃね?どうせ見せることになるんだし』

「おっけー、ありがと」

 便利ですよねぇ、心読めるの。

『腕だけで読めるたぁいえ、危ないから気をつけろよ』

「大丈夫、気をつけてるよ」

 今回はね。

「ふぁ…さっきわたしおこったよ」

「そうね」

 確かにさっき叱られましたよ。

「それではお屋敷までちょっこーです!」

 どうやら町に入っていたようで、いつの間にか賑やかになっていた。そして前を見ておののく。

「お屋敷って…横の広さだけなら王城並みなんだけど…」

「そうね…あ、パインちゃんは外見ちゃだめね」

「zzz」

「寝てる…!?」

 何という早さ。

「あと、余程のことがなければお屋敷から出ないことをおすすめするよ」

「なにかあるの?」

「治安が悪いのさ」

「……何でここがそんなに荒れてるの?」

 こんな屋敷あるくらいだし相当大規模な都市だよね?

「知らないけど戦都なんかもうゴーストタウン化してるし、相当な理由なんじゃないかな」

「ふぅん…そうなら後でお偉いさんから聞けるか」

 このときについて、がっつかなくてもよかったな、と少し反省している。

「もう目の前にあるこの特に名前のないお屋敷が目的地っぽい?」

 深く触れなかったけど、この発言は何かしらは思うべきだったような気がしてならない。前の鹿車についていくだけの仕事だったのかもしれないと今は思いつけたがこのときこの発想はなかったはず。

「とりあえず、降りようか」

 止まってるうちに降りて、少し思案する。今となってはこの頭で思案してどうするつもりだったのだろうか。

 実際益のあることは考えていない。

「まぁまずお屋敷を見てからかな」

 暗い赤を基調とした外装はかすかに魔力を帯びている箇所がある、多分魔法で加工かなんかしたペンキを使ったのだろう。

 窓の向こうからそこそこの妖気が漏れ出ていることから、それなりの人数はいるようだが。

 特に変な感じの魔法的なものは見えない。

 物質的?なのはあるんだけど。

「うん、なんだろう、この…」

「おっきな…ひと?」

 身長3メートルくらいの人。

 見上げて顔を見ると、寝ているようにも見えてわかりにくいが、彼の顔は巌のよう、とでもいうのだろうか。なんかごつい顔。

「ブルームの女王様、お待ちしておりました、どうぞ中へ」

「ええ、ありがとうね」

 さて、そう言われたからにはとりあえず入るか。パインと手をつなぎ、堂々と?入っていく。

「さて、どうすればいいのかしら?」

「どうしようねーとりあえずだれかにしつもんすればー?」

「そう思ってパインにとりあえず聞いたのだけど…誰に聞けばいいかなぁ…」

「んー、あ、ひまそうなネコさんここまでおいで」

 一瞬なぜかゾクッ、と鳥肌が立った。猫に食われる…?

「だれが、暇だって?」

 なんかぴきぴきって感じに怒ってるフェルマータ。

 でもパインには悪びれる様子もない。

「ひまそうっていったの、あとおこらないとみてくれなさそうだから、ほら、アルマおねーちゃんこまってるのたすけて」

「「これはひどい」」

 ぬけぬけとこんなことを言い出すのだから残酷なものだ。無邪気なのかわからんがとにかく残酷だと感じた。なにがといわれてもわからないが。

「……とりあえず、クーには初対面のふりはしておいて、あと皇帝陛下に挨拶はこれからするから、終わったら適当にふらついてて、多分呼びだし来るから」

「オッケーです、ありがとう」

 さて、挨拶をしたら屋敷の探索としゃれ込もうか。

「着替えようか」

「うん!……あーたのしみぃー」

 テンションを少し上げている。何?楽しみにでもしてたの?


 余談。着替えるときに落とし物を見つけた。ドングリを通したひも。とりあえずクアーロちゃんにでも後で聞くことにする。

 あとうがい薬忘れた。パインはこの薬嫌いらしく、いつもより嫌がる様子もなくうがいしてくれました。手袋つける前に手を洗うのをシャメルにしつこく言われたけど、シャメルはそれが原因で何かやらかしたことがあるのか?


 ◎E.W(イーストウォール)屋敷5階 貴賓室No.0(皇の間)


 そしてここ。と。

「我が名はサラマンダー、現帝王にある。貴殿はブルーム女王にあらせるか」

「はい、私は現女王、アルマにございます。以後お見知りおきを」

 回答が、あってるか、すごく、不安です。

 こっちで固まらないと表に出そうで怖いなぁ。

「此度の来訪、心より歓迎いたす。大したもてなしを手配できたとは言い難くもあるが、楽しんでいただけたらと思っている」

「…ありがとうございます」

 なんて言えばいいの…?

「……もう下がるか?」

「あ、はい…お心遣い感謝します。失礼いたします」

 気を遣われました。かなり心配そうな目をしている。

 宝石のような紫の瞳。油断すると吸い込まれそうだなと思ったので退散する。

「ふぁはぁー…やばいわこれ」

 一息つくと、犬族の男が来る。

「アルマ女王、これを……いや、不要か」

 アテス……さんだっけ?が何かを渡そうとしてやめた。

「どうしたのです?」

「いやなに、素性を確かめるための物を渡そうとしたが、その目ではな…」

 ああ、天眼の魔法使いっぱなしだっけ。

 そういえば。

「目といえば…あの目…すごく印象的だったな」

「まぁあれも皇家の証だからな」

「そうなの?」

 無知です。

 立ち話を続けるか少し迷ったけど、このままでいいか。

「紫紺の瞳、あれは花弁の火の傷と同じでな、血が濃いほど出るな、血統魔法はマナやライフの消費の低下だな」

「ふむふむ?」

 と、ここでシャメルも退出。

「ああ、あと親父も紫紺の瞳を持ってる」

「え、なんで??」

「知らないよ、でも火の傷とあとな、えっとなんだっけ?」

 私は何だっけといわれても困る。ってかブルーム王家の血が流れてるって聞いてはいたけどマジか。火の傷も紫紺の瞳もでてるってことは血統魔法2種類使えるのか。いや、もしや今悩んでるので3種類…?

「ああ、ポセイドンの、蒼海の一房、だよ。血統魔法は魔法の多重展開だけど…君には魅力的には映らないだろうね、“雀炎”の女王」

 いつの間にか目の前にいた同じ背丈の少年…のような人。

 理由はないがわかる。この人は大人だろう。それもシャメルより上だ。

「そりゃそうだろ?私の親父だもの」

 何ということだ。お兄ちゃんならまだわかるが…親かよ。

「はぁえ?」

「そんなに動揺するのか…まぁいいや、また会うときはよろしく」

「はい!よろしくお願いしますね」

 そう見ると目の前の男は確かに紫の目に殆どが金髪なうち前髪の伸ばしたところだけが青いのがわかる。

「あ、そうそう、火の傷だけど魔法使えば勝手に出るほうかい?」

「うん?え、はい、そうです」

「ならいいや、そうでないなら無理に出し続けると体に悪いからね」

「わざわざありがとうございます」

 私は下に降りて着替えることにする。

 さてと、探索を始めよう。

かなり雑談です。

外に出られず暇です。私は性格は引きこもりですが外に出ないと体調を崩しがちなタイプなので、早くこの問題は解消してほしいと思っています。

とりあえずうがい手洗いはしましょうと思い描写しましたが普段からこの子たちはしています。

しています。

私もいつもしています(自語り失礼)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ