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帝国との壁!(困)

今日はひな祭りです。

菱餅を食べたことがないのですが、あの三層構造って、バラバラに分けられるものなのでしょうかね?ちょっと気になります。

 牛車に揺られて。

「ううぅ…」

「大丈夫ですか?パイン様」

 パインが酔っていた。

「まぁそぎゃっ!?あ、あ…」

 揺れで舌をかんでしまった。痛い…。もう念話で話そうかな、と思って詠唱を唱えようとしたが、その段階からなんかうまくいかない感じがした。多分これは絶対に無理なやつだ。

 パインが頭を抱えるのをやめ外をじっと見て、言う。

「…おそと、木のうらにへんな人がいるよ」

『失礼しまーす。問題が発生したから、暴徒が来たら鎮圧してくレ。大丈夫だろーけどナ』

 またやれってか。多いなおい。慣れかけてるよ。

「おっけー」

『じゃ、後でナ…っと!』

 やな感じがした。

『アンカー!Pile(ぱいる)(杭)!いくゼ!』

 念話したまま戦い始めた。絶対切り忘れてるよね、これ。

 風を切る音と息づかいだけが聞こえる。その音たちは少し心地よかった。

 後ろはどうだろうか?顔を出して見てみる。

「うへぇ」

 土煙が壮大に上がっていた。

「あっ、アルマおね、こっち!」

「えっ?あわあぶなっ」

 顔を戻したところの近くを木がかすめた。

「あー、ありがと」

「かお出しちゃ、めっ!」

「ごめんなさい」

 叱られてしまいました。うん。確かに私が悪かった。

「それで、終わったんですか?」

「どうなのー?ってきこえてないか」

『ん!?……ラクショーだよ、これくらい、はナ』

 やっぱり切ったつもりだったらしく、驚かれてしまった。

『というか知った時に切ってくれヨ』

「切り方知らないよ…?」

 使ったことないどころか使えなかったからある意味当然なんだけどね。でも使えないことを知ったの今な訳で、あっちが知っているはずもなくて。妖気もほとんどないけども。そもそもそんなのでろくな知識があるわけもなくて。

 よーし落ち着こうか。

「アタマの中がグールグルですかーー!!」

「おう、ぐーるぐるだー!!」

「シャメル…?」

 こっちの心を読み続けていたらしく、さっきの(心中)マシンガントークについてこれなかったらしい。

 バカ騒ぎをここでしていていいのか?

「ソルロ村につくよ、いったんここで止まるって」

「きゅーけいー?」

「きゅーけいだよー」

 どうでもいいか、と思いつつ目をつむる。

 舌が痛い。

「あ、切った?」

『今切るよ、また忘れてたナ』

 口調がまちまちなのだが、それでいいのだろうか?


 ◎ソルロ村 宿屋「ソルロ邸」食堂


 宿屋の食堂は、人が少なかった。いま微妙な時間帯なのだから当然かもしれない。

 ちなみに特にすることもなく、何か食べたい訳でもないので外に出ます。

 見ると、フォリックとフェルマータ、アテス殿(なんとなくこう呼んでみる)もそうする様子。

 折角なのでついて行くことにする。


 ◎ ソルロ村前 ミラージュ方面


 目の前になだらかな斜面がある。

 そろそろ山なのだろう。

「この山岳地帯を越えるとミラージュ、って訳よ。狐族の領地だな」

「へぇ…」

 この村は交通の要所であるようだ。たくさんの牛車と馬車が止まっている。それ以外にも虎と竜がいる。

「というか、ポータルってどこにあるの?やっぱり3つの国の国境の点?」

 後々よく考えると、なにが、やっぱり、なんだろうか。どう考えてもおかしいだろ。

「いや、あそこには並大抵じゃたどり着けもしない。あそこは、法神ですら近づくことは少ない」

「え…?」

 カミサマすら近づかない?

「あそこにあるのは古都アースクェイク。ミラージュの南の海にある龍宮ダイダルウェーブ、東の森のさらに東の空にある霊島ワールウィンドと並ぶ禁忌の領域よ。まぁ、知ってる人少ないけどな」

 やたら語り出したが、つまりやばいのね。ってことでいいか。

 なんかすごく楽しそうに語ってるけど。

「つっても、ダイダルウェーブは攻略したやついるけどな」

「攻略?」

 いまいち意味のつかめない単語が現れた。

「隅々まで探索してざっくりとだが地図を作った化け物みたいなのががいてだな」

 うわぁ。それどれだけ異常なの…?

「ちなみにその中には聖域があってな、長距離ポータルが3つあるそうな」

「3つ……2つは他のとこ?」

「そう。もう一つは全く別の聖域の近くらしい」

 聖域。お父さんの本にちょっと書いてあったような。意味は知らないけど。

「ちなみにそれやったメンツの中にクーもいるぞ」

「え?」

 なんかとんでもないこと聞いた。

「アテスは空気ですね」

「…別によい」

 後ろの会話にちょっと申し訳なくなる。

 というか、なんかおかしい?

「そういえば、鹿車はここにいないんだね」

「うん?そうだな?おかしいぞ、ディライトは降りている」

 あの人は鹿車に乗っていたらしい。フェルマータはわざわざ後ろのアテスを指さす。

「……マータ、そろそろ?」

「ん?あー、任せる」

「じゃあ、別の入り口の方へもいきましょう」

「そうだね、そうしよう!」

 そうして移動する。

 のどかな村にも、発展した商店街にも見えるこの町。

 美しく、暖かい。しかし。


 蒼く、苦しい町。

 破滅の歌声。


 それをふと見てしまう。

 いやな予感がするのはなぜだろう。

「女王陛下…いや、アローラちゃんでいいか?今更敬称で呼ぶのもだし」

「呼び方は任せるよ、私だってフォリックは呼び捨てだし。そして貴方については名前で呼んだことさえないじゃない」

「ごもっとも。さてと、こっちがシルク塞下町(さいかまち)方面かな」

 さいかまち…?

「さいかまち?」

「城下町っていうだろ?その要領で、要塞のそばの町だから塞下町なのだと。ってゆうかドリアード家はその要塞の管理が中心だったよな…よし!」

 どうやらそうらしい。

「私たちはこれからシルク塞下町へ向かう!」

「おっけー!(なぜ叫ぶ?)」

 なんかやな予感がする。

 ―――「やっぱりついてきていた!仕留めて!!陛下!!リック!」とかあいつ言ってたけど?

 ………今、未来が教えてくれたのは間違いなく目の前にいる男の娘の差し金だろう。

 仕方がない。釣りに参加してあげますよっと。

「…今度は、もうちょっとほのぼのとしたい」

「まぁ、どうなるかは行ってみないとわかりませんよ」

 フォリックのフォローは、この状況を理解してのものなのだろうか。

 見えない刺客に備えを始める。

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