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笑う世界の古き友

新年あけましておめでとうございます。

 ◎スクエア地区 西央位5番目-北度2の区域の裏道


 とあるカリーの店。と言ってもこの国にはインド伝来のカリーの店はここしかないが。

「ツケ払いに来たぜー!」

「くくっ、払いに来たっておい!はははっ」

「笑うかぁ!?」

 コルルのところへやってきた。

「まぁいいや。代金7000アラサマナを1.1で7700だ」

「おっけー、はい」

 とりあえずお代を出す。

「しっかしよく覚えてるよな」

「今回は忘れてたよ?」

「まじか、坊ちゃんもしっかりしてんな」

 忘れてたという点には触れない。一種のジョークと思われた?

「しかしまぁ、慌てすぎだろお前ら」

 何が?

「坊ちゃんの刀、そりゃ族長家の妖刀だ」

 ようとう、か。漢字なんだっけ。

 ……すでに記憶にあった。直すまでもないぞ過去の私。

「ほうとう…」

「そいつは白銀の食いもんのこと言いたいのか?」

「宝の方だと思った」

「まあ宝刀でもいいけどよ、そいつぁ持ってるのは名の知れたミラージュのサムライくらいだ。お前自分がお偉いさんだと言って回ってるようなものだぜ?物騒なんだからもっとこう…」

 気をつけろよ、と注意しているようだった。

「はい、気をつけます…」

 しゅん、となっている。狐耳もペタンとしている。

 ……やばいな、意識するとなでなくなる。

 こう見ると、私より背が高いのね。なでようと思ったら、今みたいな時以外は背伸びまではしなくていいにしろやりにくいかもね。

 意識しないとわからないね。

「なぁおい、アルマ」

「なにー?」

 何か私にもあるらしい。

「“純雪銀嶺花”には気をつけろ。あのアマまた動き出しやがった」

 なにかの警告のようだが、意味がわからない。

 私の“雀炎”とか最近聞いた“一幻魔界”みたいな、東の聖女とやらの関係だろうけど。

 本格的にやっかいなことになったのは女王になったせいなのか、別の何かのせいなのか。

 一向にかまいませんが。

 ここまで来て、ようやく話が始まりますか。

 なんか布石打つための行動に振り回されていたし。

「ん?コルルに、あー、ミリャか。お前等どうした?」

「これ、見つけて…」

 そこには紙幣が。

 それは見覚えがなかった。

「外国のかもしれないしアルマにあげちゃえーって思ってさ」

「外国いきそうだしね」

 おう、まさに今行くところだ!多分。

「ちょうどいいタイミングだよ、あんがと」

 その紙幣をもらった。名称は…?

 読めねぇ。何語だこれ。あれか?ロシア語とかか?

「うわぁ何これ」

「え、フォリックも知らないの?」

「はい…」

 へこまなくていいのに。

「ところでミリャは元気そうだな!」

 いつも通りのノリで話しかける。

「うん!やっぱアルマはその口調だよね」

「今は恥ずかしいけど」

「まじかよ、黒歴史じゃねぇか」

「そこまでじゃないから、というかミリャも未だそれじゃない」

 ミリャも男口調が抜けていない。

 それを指摘したらミリャは口をとがらせてぶーたれる。

「まったくー、別にいーじゃん」

「悪いっていってないよ」

 自分もだっていってるはずだが。まぁ互いに軽口の範囲だしとりあえずいいか。

「じゃ、頑張ってね」

「うん、わかった」

 二人がいなくなるまで待って、本音をこぼす。

「女王うんぬんってやつ、どこまで知ってるのやら」

「何も知らねぇだろうよ」

 ええ…。


 ◎ブルーム王城 エントランス


 帰ってきた。

 しかし、人が多く集まっている感じ。

 たくさんの人がいて、雰囲気が物々しい。

「はぁ……帰らされるとはね」

「フィーも大変だね…」

 左から。

「久しぶりだな、お前と出るのも」

「そうだ、な。正直、ガクガクブルブル」

「落ち着け落ち着け!何で小学校の時の状態に戻ってるんだよ!」

 右から。

 騒がしく声が聞こえる。

「っち、何たってこんな…っと、陛下、ただいまお戻りですか」

「うん、ところでさっきぼやいてたけど、これのこと?」

「い、いえ、お気になさらず」

 むぅ…。分からないと判断に困るなぁ。

 ってか、今の誰よ。

 真っ赤な目のスキンヘッドだったけど。

 スキンヘッド。すなわちハゲ。まぁ剃ってるんでしょうけど。赤い目、ってあんまり見ない。自分以外。

 さて、知ってる人がどこにいるのか。

「ま―、私―シ―」

 あ、知ってる人。

「やっほー、クー」

 クレールちゃんは、フォリックの声に反応して、獣耳をピクピクさせながら反応する。

「ん?ああ、二人ともどこに出てたんダ?」

 そういえばいつの間にか出てた感じだな、と思いながら、私が答える。

「ちょっとツケ払いに」

「何のだヨ」

「昼食代ですね、アルマさん行きつけの店の」

「ふぅーん、今度連れて行ってくれないカ?」

「辛いの無理なんだからやめておいたら?」

「げっ、まじ?」

 事情を説明できた、あとクレールちゃんは辛いのが苦手らしい。

 動物だいたい辛いのはアウトだけども。そもそも、獣人だから関係ないけども。それでもいいたいことがある。

「むぅ」

 目を伏せてふて腐れているの。かわいいねぅ。

「魔法使いだからって魔術を使いすぎないのです、死んでも知りませんよ」

「わーかってるよー!ボクだって死にたくはないんだ。マナを使いすぎるとすぐ奪われるからだよね」

 すぐ「何を」奪われる?

 どこかから聞こえた会話にその疑問を持った。

「さて、始めるよ―――これより!!!ゼロスサン来訪の人員を公開する!!!」

「まず敬称の省略いたすことをお詫びします!!!妖連邦よりー!!!族長家のフォリック、クアーロ、フェルマータ、シュレール!!!及びその付添人38名!!!」

 三人は知っている。シュレールって名前も聞いたことがある。

 魔法でどこからか配布された紙には、38人の名前も書かれていた。しかし内訳がおかしい。

 24名がフェルマータの付添、12名がシュレールの付添、とあり、フォリック、クアーロの付添各1名とあった。

 いや、二人とも。それでいいのか。さぁ周りの反応は!盗み聞き!

「クアーロ嬢も1名ですか…」

「いくら護衛を兼ねているといえどもそれは…」

 フォリックは完全スルー!

 守る側だからあまり数を用意できないのかもしれない。

 主に移動手段的に。

 基本馬(牛、竜、鹿)車で移動するから、護衛として外にいる分馬(中略)車を減らす。

 となると、定員の都合で付き添いの人数も減らさないといけなくなる。

「だいたいあたり、そもそも一人でほとんどできるから、だ…ですね」

 シャメル、訂正しなくていいよ。

「それでも空気読むべきですよ」

 そうね。……?あれ、マリル…?

「ああ、マリル嬢とごちゃごちゃに」

 あー、そっちにも反応したのね。マリルはよく聞こえたね?

「―――次に、本国からは、王家のアルマ、パインとその付添20名」

 付添にシャメルがいた。ふむふむ。

「インスタグ・プラム・ラファエルとその付添10名、

アインス・サンルック、

フィーア・クィーンヘッジ、

フンフ・ウィスティリア、

ゼクス・ブルーム、

モノス・カウントとその付添28名、

馬車、竜車、牛車、鹿車の御者各2名、以上116名」

 さて、話を聞いても…いいの、かな?

「ノインさん、私に隠密の妖術をかけてくれる?」

「……いいわよ」

 私の後ろにいつの間にかいたノインさんが答えてくれる。

「My 《まい》intention(いんてんしょん) inform(いんふぉーむ) me how to(みぃはうとぅ) use the(ゆーずざ) aura(おーら).(私の意思が私にオーラの使い方を知らせる。)

Whatever (わっとえばー)I am(あいあむ)I hide (あいはいど)you(ゆー)and I (あんどあい)support(さぽーと) you(ゆーとぅ).(私が何であれ、私はあなたを隠して、そしてあなたを助ける。)

majic time(まじっくたいむ) start now(すたーとなう)!(魔法の時間が今始まる!)」

 意思が知らせるのは妖術。意思がmind(まいんど)ではないのは、マインドだと日常会話でも使われることがあるからだそうな。神様大変ね。

(ありがと)

 感謝を述べ、去って行くマリルを追いかける。


 ◎視点 ゼクス・アローラ

   少し遡る。アルマの右から聞いた声の片方は彼である。


「久しぶりだな、お前と出るのも」

「そうだ、な。正直、ガクガクブルブル」

「落ち着け落ち着け!何で小学校の時の状態に戻ってるんだよ!」

 小学校の時、か…。

「悪い、本気で取り乱した…ってゆうか、アインス、お前どこほっつき歩いてんだよ毎度毎度」

「あー、ズィーベンの病弱野郎とアハトの馬鹿を探してきたり、なぜかツェーンに呼ばれたり」

 ……ん?

「まて、あの神出鬼没((ツェーン))に会ったのか!」

「ああ、そのときあいつなんかエルフに捕まったって伝書がきてすぐ帰っ…」

「いつだ!!??」

 それ次第では計画が大幅に変わるぞ!

「あ、お、一昨日だな」

「まじか…!」

 よし、なら……。

 アインス、ここにいる。こいつは逃がさなきゃいい。

 ドライ、ブルームにいる。いつでも合流できる。

 フィーア、ここにいる。まぁ、神出鬼没だけど説明したから定期的に来る。

 フンフ、ここにいる。だいたい合流できる。行動域がもう人間じゃないから家にいなければ探せないが。

 俺は省略。そういやドライ同様あまり動かないな。

 ズィーベンとアハトは連絡取れた。ミラージュで合流する。

 ノインはドライといつも連絡を取っているから問題なし。

 ツェーンもどうにかなった。

 エルフが捕まえてくれた。あいつはミラージュで待ってる。

「ふむふむ、よいですね」

「だからナチュラルに読むな壊すぞ」

「それは困ります、今はかけ直すのが困難です」

「そうなのか!?」

 本気でまずいことになっていたんだな。すまん。

「では急ぎますか」

 おう。

「さて、始めるよ―――これより!!!ゼロスサン来訪の人員を公開する!!!」

 えっ!?

「マリル…?」

 なぜかマリルがここにいた。

「おい、おまえの子だよな?」

「ああ」

「アルマの妹が精神壊して引きこもったって聞いてたんだが」

「そのはずだ」

「なぜここにいる?俺としてはパインはそんなナイーブではないと思うんだが」

「ああ、その話は確かにマリルのことなんだ、が…」

 どうなっている?

 あの子はそんなに立ち直り早くないはずだが。

「あ」

 アルマが消えた。追うつもりだな。

「どした?」

「おーい、フェルマータ嬢、アルマにあったら俺のところ来いって言っといてくれ」

 少し小声で伝達する。地獄耳は助かる。

 さて、どう転ぶかな。

「だからお前はまず説明しろ」

「ごめんな、…えーっと、アルマがマリルを追ったから、後で説明もらおうと思ってあの猫娘にお願いしといた」

「男の娘か」

「そうだなー」

「超適当だな」

 そうですねー。実際あってるからそれで問題ねぇぞ。

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