私が私である理由 独りぼっちの時間
◎視点 マリル・ブルーム
ブルーム王国首都メンタル ペンタゴン地区
7丁目の路地の大きめの家(アローラ宅)
おうちのベッド。ここが落ち着く。
ここで本を読んで過ごしている。
「さて、お昼は私だけかぁ。」
私は今日は一人。きっと明日も、その明日も………。
「あれ?」
何かが引っかかる。
「さて、と」
この年齢では一人でご飯を作る体力も集中力もない。
「例のやつを使うか」
家事やるの時間。
「My wisdom teach me how to use the mana.in addition to it,
My instinct understand me how to use the life.」
また、これを歌う。
「slept princess(眠らされる姫)」
本当はこんなことに使うほど使い勝手いいわけじゃないけど。私はこれが得意でうまく使いこなせた。
だから、体が少しだけ成長するのを利用して家事をする。
「the wisdom from heaven(天より授かりし知恵)」
少し頭が痛む。いつもそう。無理はできる。
「and……I know you(そして……私はあなたを知っている)」
よしオーケー!さてまずは洗濯かなぁ。
「majic time start now!(魔法の時間が今始まる!)」
ドレスアーップ!的な?これ使ってもお姉ちゃんより年下な感じだけど。マジでドレスだけど動きやすくなっている。おてんば姫の御用達な仕様だね!そういえば昔はごようたちとしか読めなかったなぁ。
そんなことはどうでもこうでもそうでもあうでもいいから。
あうでも、ってなんじゃ。ああでも、か。
オーロ語の複雑さ半端ない。大本の日本とかってとこはどうしてこんな複雑な言語してるのか。日本語理解できてますか?日本人さん。
はぁー、仕事しよー。
まず洗濯物を洗っておくか。魔道具とかいうの発明できたらいいのにね。ま、魔法自体は使えるから私はいいけどねー。というわけで筒に洗濯物と洗剤を突っ込んで魔法で水を出す、ふたをしてからシェイクバケットにセットしてスイッチオン!
あとは隣のタービンを回す熱を……あ、灯油どこだっけ。
ガサゴサ。あった。
「う、うーん」
見にくい、ってお姉ちゃんにツッコミくらつやつだ。
灯油を入れて火をつけて、タービンを回してエネルギーを出す。その力でシェイクバケットを動かす。正式には洗濯用振動かご、とかって訳すらしい。
古代ブルーム文明から伝わる伝統(?)技術だとか。
白銀の世界にもこんなのがあったのだろうか?
ところで火をつけてエネルギーを出すとかって現象は、幻銅ではなかった気がする。
知識が暴走していく感じが中毒性の強さを実感させる。
「逃げてるのは分かってるけど……」
ひ を ろ た。その恐怖から逃げ続けている。わ し こ し 。文字化けするように削っていく。どうしても翻訳してここまで戻してしまうけど。
「仕事なぁ……」
自分のことは大体自分で済ませているけども、城での仕事をしていない迷惑に変わりはない。
これからどうして行くべきなのかな。
私は自分を見失いたくはないけれど、正面からうまく向き合えない。
自分で自分を傷つけ追い詰め、初めて向き合うことができる。
「早く終わらせるから、待ってて」
それを理解している自分は、逃げてごまかしたい自分を追いつめて殺してやるんだ。
それが私の決意。私が殺したいのは私の弱さだけ。他は、私には怖いから、せめてほかの仲間を全力で守ってやるんだ。もちろんそれは、殺し合いに限ったことじゃない。
必要なものを探そう。
まだ逃げるけど、許してほしい。




