エクスタシー ?
お久しぶりです。
◎ 視点 マリル・ブルーム
「……My 《まい》intention inform me how to use the aura.(私の意思が私にオーラの使い方を知らせる。)」
もう歌える。勝たなきゃいけない。お姉ちゃんは勝てない。パインは余波だけで生命力を削っている。多分一回使えば意識を落とす。
私も一回で落とすけれど、それで決められるはず。
「I know everything that madeup yoursoul.(私はあなたの魂を構成する全てを知ることができた。)」
「はぁ、ふぅ……」
あいつは元の姿に戻った。どうせ。なのに。
―――今なんて?
冷静な部分がエラーをはく。
それはまた私の前で。
「F○1ck you!(くたばれっ!)」
――そんな下品なこと言っちゃだめ。
やはりそうなるか。
「The end.(終わり。)」
なぜか前にいる男には焦りはない。ゆっくりと、ふらふらとこちらへ歩く。
「Soul harvest(魂の収穫祭)……Do you live withoutyour soul?(あなたは魂なしに生きられますか?)」
ライフ………生命力。魂もその一つ。魂を、奪ってやる?
「I am」
私は。
「Angel of Death(死の天使)!」
死神。
目の前の男にその刃を振り下ろせ!
「正確に、的確に……majic time start now!(魔法の時間が今始まる!)」
目の前に現れた何か。を容赦なく握り潰す。
「…………」
その暴走した感情は限界を迎え……
「手……?あ、あれれ?おかしいなぁ?」
まず、手が震える。
「あ、うぅ?何で、涙が出るのかなぁ?こわ、い?くるしい、の?」
視界がぼやける。
「あ、あ、あ、れ?」
声が聞こえない。悲鳴を上げているらしい人たちの声が。地面のかすかなふるえにしか感じられない。
「私、は?」
何をしたのか、よく分からない。
「………私は、人……殺し」
◎ 視点 アルマ・ブルーム
やっぱりねぇ。だぁーしゅ。
「普通に平和に生きられる場所なら、人を殺せるのは異常者だけだものねぇ」
恐怖で意識を手放したらしいマリルの頭をひざの上にのせて、後ろに来たエニカに向けてぼやく。
「そう考えるとパインちゃん怖いよね」
否定はしない。なんせ、逆説的にあの子が人を殺してケロッとしていられるってことだもの。
本当に怖い世界。まぁ何も考えていない説が濃厚。
「で?マリルちゃんなしで政治機能する?」
「……頑張るよ?」
頑張るって言ってる時点で結構アウト。
「………アドレナリン的なのだよね」
さて、どうするか。
あ、後で拾い上げたこの言葉の意味なんだろね?
「快楽……ecstasyはあくまで一時的なもの。いつか終わる。何かとともに」
遠くに話しかけるような、そんな話し方。今まさに私がしているように。
「それは、きっと夢みたいなんだよ。毒付きの」
まるでそれが事実であると答えるように日は一度、その光を弱めた。
「今何で太陽が点滅したんだろう?」
「真面目に突っ込んじゃあいけないところでしょ…」
ふと気になって口に出したら突っ込みを食らった。
ごもっとも。
「…ああ、そうだ。私はこういうときは、放っとくからね」
「えぇ?」
まぁね。私は口出ししない。だって。
「するまでもないって、妹たちを信じられるもの。だったら立ち直ったときのために動いておくの。というわけでね」
後追加でぇー。うふふふふふふ。…口に出したら不審すぎる。まぁどうせ顔に出てるから手遅れなんですが。
「…………もしかして」
「ええ、城にこもるのでお仕事よろしく」
「うそでしょぉー!!?」
はっはっは。嘘ではなぁい!
「ってゆうか、学校の面倒ごとが増えるだけでしょ」
「それはトロたんの仕事だもん!」
トロワ、頑張れ。
「じゃあトロワに押しつけないでね」
「あ、うわぁぁ!!!やっちまったぁ!」
頭を抱える少女の様を見て、思ってしまったこと。
「何このやりとり」
「私たちどっちもマリルちゃんに気を遣わないって言うね」
「エニカはこの後どうするつもり?」
「さぼる」
「うん簡潔だ、じゃあついてきて」
じゃあ、って何でそうなる?と自分で思いつつ、マリルを抱っこして帰るのだった。……ちょっと重い。
そうだね、痛みを感じない時は永くない。すぐに終焉が待ってる。
完成が遅れて申し訳ありません。次回とその次は番外となります。




