エクスタシー拮抗
「はぁ!」
気合いを込め打ち込まれた右ストレートを半身になってよける。
ラーブァを二本手に取って斬りかえすが、もう間合いの外。どころか炎の軌跡で視界が隠れてしまったうちに何処かへ。
「ぐっ!?」
もはや無意識で後ろに撃っていたラーブァで突く。貫く、といえるわけは……
「ないよ、ねぇ!!」
まだまだまだまだぁぁぁぁぁぁぁaaaaa!!
「ちっ、撃ち込みすぎだろー!」
逃げんなぁ!後ろから突く!!右いった!前後に撃つ!右によけた!んだら上からだぁ!前来た!右で斬っても無駄だったけど後ろに下がる必要ない!
「全く、beginning flare(始まりの燃焼)!」
ただの火の玉。でも私にとっては違う。これは始まり。私の始まり。さぁ、おちついてー!
「My wisdom teach me how to use the mana.(私の知恵が私にマナの使い方を教える。)」
基本詠唱を求めないらしいこの姿でも詠唱する理由が今はある。詠唱そのものが魔法のイメージだから、慣れても唱うことになる。
「May I have your dyingmessage?(あなたの遺言を聞いてもよろしいかしら?)」
きっと、もう使わないと信じながら。
彼はやはり暴走を恐れて攻撃できない。魔術なのにライフにも強く影響を起こしているから。
「but…(だけど…)」
さて、宣告します。
「No matter how message,I never stop fighting(どんな理由であれ、戦うことは消してやめない)」
私は戦います。
「majic time start now!(魔法の時間が今始まる!)」
さぁ、行くぜぇぇぇ!
「私に勝てると思うんじゃねぇ!!!Fire bomb(炎バクダン)!」
へっ!よゆーなんだよ!なんちゃって。
「く、そ……」
大して効いてないなぁ。
「てゆーかさー」
右手を動かして近づかれないよう牽制しながら話す。
「パイン?何で」
加えてラーブァを後ろと上からたたき込んだが、全てあいつに生えている毛皮にはじかれた。それなり以上に焦げてはいるのだが。
「何もしてないの?」
この子が動けない理由が分からない。その間もラーブァを減らしながら逃げ続ける。
「多分だめ。撃ったら死んじゃう」
やられるじゃなくて死ぬってあたりが感じている危機感を物語ってくれる。うーん。
「まぁ、自力でやるかぁ」
このまま時間をかけて削りきるしか打つ手無いかなぁ。
「どうでもいい。この勢いでやってやるよ。ところでお前さ」
ついでだしあの男に聞く。
「何でお前黙ってんの?」
答えはさいごまでくれなかった。そもそも口をきいたのも戦いが終わってからだが。
「(お前さぁ、勝てるかよ。アテが外れたかぁ?)」




