魔力オーロラの日 モーニング
上半期も終わりですが、こちらは未だ4月。一年分かく間にどれだけ年月のかかることか。そもそも書くかはまだ分からないのですが。
◎ブルーム王城壁南東角 B3階 行政区執務室
9:45
さぁて。えー、と。
仕事を始めます。
「まずはこの報告書かな」
今年の地方の政策のまとめの残り。
えっと、ラファエル伯爵が一部地域を国に返還。こちらで管理することに。これは土地を持っていないカウント公爵に渡す提案も別口であり。
あー、でもこれは左遷しろと言っているようなものだわ。
その手はなし。
では次。
度重なる侵入に対する提案。
とりあえず無理だろう。ノインさんをどうにかできるのならしてみなよ?
トロワも同じ手の魔法使えるらしいし。ちなみに小さなクモみたいな使い魔を操り、感覚を共有したりして情報収集しているって、そこのクモが書いて説明してくれております。
―――あいつ、昔は泣き虫だったのに、いまや面倒な虫使いに成長してまぁ。
………?私、あの子のこと思い出せた。てっきり無理だとばかり。
「あーもー、ついでだけどさ。トロワはちっこい頃のことどこまで覚えてる?」
そう無駄な質問をしてみた。
答えは単純。あまり覚えていません。思い出そうとすればできますが、そんなことするくらいなら、私は未来を理解することに努めます。
未来を知る。それほどまでに情報を集め理解するのは難しい。
私がやっていることは、それほどまでに異常なのだと分かっていく。まぁ、私は自分のそれしか見えないし、今日のことの一部分しか分からないけど。
例えばこの後、頭にダメージを負う。どのくらいかは知らないけど。
「そういえばさ、魔力オーロラ中でよくつなげたね」
仕事に飽きたし、このまま雑談していようかな。
いろいろ話した。
◎10時過ぎ
「きんきゅうー!」
あれ、パインが来た。
「クロちゃんがあばれてますー!」
「くろちゃん!?え!?」
くろちゃん?何、ウィッチのネコ友か何か?
……ん?聞いたことある声。記憶探るか。
「クアーロちゃんか!!」
「そう!そう!」
分かったけど分かりにくいんだよぉ!!
全くもー。
「で、どこ!?」
「した!」
はぁいはいさぁーーー!!
「じゃ、アルマおねえちゃん!おんぶして!」
えー!?可愛くおねだりしても……ん?止めるのではなく野次馬しに行くんだから別に問題は大して無いか。
「せめて抱っこで!」
「やったー!」
ばんざーい!って喜ぶパイン。うん、可愛い。
なーんかいいように使われてる気がするけどね。
「なんでここに来たの?」
階段をゆっくり上がりながら話す。
何で部屋の中に階段があるんだろうなぁ。
「おねーちゃんがよんできてって」
「マリルか……」
お父さんはどうした?
「おとーさんはよってた」
酔ってた?あ。
「昨日の宴会か……って、え?」
今、聞いたっけ?
「なんとなーくで心よんだ」
「また読まれた?」
「それはたまたまなの」
あ、そうなの。
「よし、地上1階」
「もうおりるね」
そうね。ほいっと降ろす。部屋の外は何もいなさそうね。
「うぉおあらぶのるのぉかいぞのくーーーー!」
と思っていたのに扉を開けた瞬間飛び込んできたクアーロちゃん。
ガァーン、と。
「あぅ」
「ぐぁ……っと、暴走しちまってたナ」
ぶつかって吹っ飛んだ。クアーロちゃんの方が、部屋の奥に向かって行った。何でそうなってたんだろ?さすがに衝撃受けてた間は引き出しきれないや。
「いたぁ…」
「悪いナ、アルマちゃン」
あ、ひっくり返ってる。
「だいじょーぶだよー」
起こしてあげないと。
「はい、つかまりな」
「おお、さんきゅー」
そうして起こしたところで気がつく。
「何でそんなに…」
その全身が傷だらけなことに。そして、目が赤い。どうしたらそんなにって位に充血してる。
「アー、頭に血が上っちまってナ。悪いナ」
「ところでその語尾何?」
動揺していたのか、前々からの疑問を漏らす。
「ン?ああ、これ?ふざけてるだけだよ」
え?あ、そうなの!?
「お姉ちゃんがこんな口調でさ、なつかしくてよくこうしゃべってるんだ。でも、まぁ、族長家としてしゃべるときは私は普通にしゃべってるんだけどね」
お姉ちゃんは違ったんだ。ふぅん。そのお姉ちゃん気になるな。
「ああ、あとさ、外見てみ?」
「あ、うん」
それを言われたら見ないわけにはいかない。そうやってろうかの窓から見た。
そこには、竜巻があった。それも、4つくらい。
「多くない?」
「うん、だから城壁は危ないから中央の玉座付近にいて」
わかった。
「ってか私女王なんだしおとなしく座ってればいいよね」
「そうね。じゃあパインちゃん、いこう?」
「うん!」
さて、被害は抑えてくれるのか?




