もう一つのハジマリ
◎視点 ゼクス・アローラ
ブルーム王城、大広間1
始まるパーティー。
アルマもパインも、リズ譲りか、適応はやいなぁ。
マリルは……どうして交渉のプロたる貴族と舌戦をしているのか、そして勝ってるのか。7才とは思えない。
「で、シャメル?いつ後ろに」
「マリルがどうとか考えてるときです」
心読むなよ。
「シャメルはどう思う?」
「さすがリズと貴方の娘だなと」
いやいやいやいや、それだけかよ。
「パインはもう寝かせるか」
「私もそれがいいかと。というか、アルマちゃんとマリルちゃんも」
シャメルは、ちゃんづけでよぶのは変わらんのな。
後は任せる。
「当たり前だって」
素が出てるぞ?
しかし。
リズベット・ブルームとユークレース・ブルームの二人がいない中、貴族たちはアルマに、というかおれに押しつけるかぁ…。よくやるよ、全く。
白銀では、ありえない話だろうな。
◎ 視点変更 アルマ・ブルーム
ブルーム王城、大広間前
あぁーもー疲れたー。
あいさつだけでマナー何十とあるんだもん。お母さんに教わってなかったら大変だったよー?
みんな計画性なかったんじゃないかと思っちゃったよ。
「おねーちゃん、うえにこわーいの」
へ?前じゃなくて?今前に現れたおっさんじゃなくて?
「もうよいでしょう?お降りになってくださいな」
あの人は?
「ああ、申し遅れました、わたしはアテス・ディライト」
すとん、と男の子が降りてきた。パインはさっとマリルの後ろにまわり込み、お父さんは目を見開く。
「フォリック・ミラージュスです。以後よろしくおねがいいたします」
太陽をみた。
私の赤い目は、彼の金色の瞳を見ているのだとすぐ気づいたが。
しかし、それでもまだ彼に見とれていた。
◎視点変更 フォリック・ミラージュス
少しだけさかのぼる
「おねーちゃん、うえにこわーいの」
その声で、あの気配―――ノインという人とかを観察していて忘れていたことを思い出せた。
下に居るのが、ノインの従弟とその娘達だろう。
とぉ、と声を残して僕は2階分の高さだろうか、飛び降りた。
すとん、と音は立ててしまったがまだ静かな方だろう。
「フォリック・ミラージュスです。以後よろしくおねがいいたします」
金、というより黄色の目を見開く少年じみた男。獣人は少し珍しいか?
次に見たのは先ほど声を出していた幼い子供。とはいえ僕も12才なので子供だが。金髪と父親に似た黄色い大きな瞳が特徴か。
「少し破天荒な王子だこと」
その子の前に立つ、水色の髪の小さな少女は警戒し気味。青い瞳が口以上に語る。何この子、と。
それより、桃色の髪の少女。この人が女王だろう。赤いルビーのような瞳でまっすぐ見られているので、少しはずかしいのと、あと答えてくれないのですが、どうしましたかね?
「アルマ」
かなりの小声で男が指摘した。
「フォリック殿下、わたしめは、アルマ・ブルームと申します。よろしくお願いいたします」
あわあわ言ってるみたいなあせりよう。とはいえ今はどうにもできないな。親しく話すだけで騒ぐ人もいるものだし。でも今はフォローできないのって悔しい。
「あれ?そもそも何をよろしくするの?」
「……なぁ、俺もマリルも一応いるけどさ、アルマだけで出来なくてフォローできない時ってあるだろ?」
後ろで解説中の模様。
「そういうときのことをあの王子に頼むんだよ」
「ああ、そういやおねえちゃんが殿下っていってた」
そういやって…。
ここまで長い前置きでした。
これ以降視点変化が減り、魔法にもふれていきます。
ここから始まり。
「改めまして、この世界へようこそ、皆様」
よければ、この世界たちを、どうぞよろしくお願いいたします。
5/14 微弱な訂正