町中の散歩と ちゅうの演劇鑑賞 前
投稿遅れました。
あまりの長さに前後編?となりました。次回は5/22に投稿します。
ついでに、そのうち(今月中)新作を出すつもりですのでよろしければ。こちらを優先し投稿ペースは維持するつもりです。どこまで行っても不定期ではありますが、よければ、これからもこの世界をよろしくお願いいたします。
2019 5/23 冒頭の謎のかっこサンセット消去
「時は神代にさかのぼる」
舞台に一人の男が立って言う。
腰に差しているサーベルと戦闘服とおぼしき服装が、元山賊であった名残をしめす。
新品だけど。
「世界樹よりエルダーアースへと神獣たちが裁きに向かった中、そのうちの二匹は、ブルームへと別行動をしていた。」
その言葉を残し、舞台より去った。下へと。
ステージの中央にある昇降する仕掛けによって。
シーンチェンジ。
そしてあらわれたのは、黒い毛皮をまとった大男に肩車された茶色いコートの女の子。
女の子はりすの尻尾をつけている。
「さぁ、次なる脅威を落とすのです!」
堂々とした宣言に従い、舞台右より左へとたくさんの獣、に扮した人たちが走り抜けた。
「さぁいけ!ブルーム盟主国を追い詰めろ!」
そう言い終わる頃には二人、いや、二匹しか舞台上にいなかった。しかし、足音は大きいままだが。
「ゆくか?」
「ううん、また戦力を仕入れてくるよ」
その二匹は右へ去って行った。
シーンチェンジ。しかし、さすが王国一の演劇団。
白馬の王子を思わせる白い服装が似合っている美男子が右を見据えていた。左に多くの白い鎧の戦士がいて、右には先ほどの獣(に扮した人)がいた。
「愛する者のため、今日もまた駆け抜けろ!敵を討て!我に続け、フィロソフィア自衛団!!」
そして戦いが始まる。それぞれが敵と打ち合う。
自衛団の優勢のようだ。
「我らは神に屈しない!」
その言葉とともに決着した。
「決着、ですかね?団長?」
「ここはそうだ」
そばに来た男に美男子が答えた。
「まだ、来る。神は怒っているのだ。未だ、禁忌を犯した者を」
その背景に、赤い夕日が加わった。
シーンチェンジ。あれ?思ったよりシーン一個一個って短いのね。
彼らは野営地に帰ったようだ。おのおのの手には捕まえられた獣がいた。こっちは小道具である。
「お帰りなさいませ、ルーファス様!」
「ああ、帰ってきたぞ、ローナ!」
美男子―――ルーファス・フィロソフィアとローナ・ブルームが抱き合って、帰れた喜びに浸る。
「ああ、帰ってきたー」
「ああ、帰ってきたさー」
ミュージカルではないが、史実として毎度アドリブで軽く歌っていたというこの二人。
また、ナレーターの男が右から出てきて、語り出す。
「この二人。ルーファスとローナは、片や騎士、片や姫。しかし、誰の目から見ても明らかに、二人は恋仲であった」
彼へのスポットライトが消え、演技が再び始まる。
「またー」「ふたりがー」
「しっかし仲いいなぁこの二人」
一人はそう言って笑い、
「「であえーたーことがー」」
「あの二人歌うのは上手いな」
「は、って何だよ!」
ある二人は、
「毎日」「訪れている」
「いいじゃねぇか」
「いいのか……?」
歌のセンスに疑問を持ちつつ、
「「幸せーなのーさー」」
でもやっぱり彼らは歌い踊るのだ。
またナレーターへとスポットライトが移る。
「ああ、しかしながら。その幸せが長く続かないのではという不安は消えなかった。しかしルーファスはけして不安をあらわにはしなかった。そう、あの時までは……」
気がつけば、兵士たちは外にいなかった。
シーンチェンジ。いつの間にか動き出していた。手際いい動き。
どこかの洞窟の中。水のしたたる音のするなか、
二匹はいた。
「イナバはなんて言ってたの」
「ああ、こう言っていたよ」
とある一角のみが照らされた。そこに居たのは白いコートの少女。うさ耳のカチューシャをつけて、そこに座り込んで居た。
「カリストーだけじゃなくて、ラタトスクもそっち居るんだ?あー多分問題ない。そっち失敗しても気にせずこっち来て?あと賭けに出てもいいからね?任せたよ?でも一つだけ。死なないでね?二人とも、だよ?よろしくね?」
あかりが戻り、会話のシーンへと戻る。
熊―――カリストーはこう加えた。
「というわけだから、死ぬリスクさえ避けてくれたら何してもいいってよ、ラタ」
それに栗鼠―――ラタトスクは応える。
「わかったわ。男を魅惑して惑わせればいい。それだけで落とせるだけ落として後逃げよう。そこは任せたよ?」
「もちろんだ」
なんか弱気な話だが、彼はただ同意した。
「相変わらずでかい図体して弱気だね、でも荒事はほかの男に任せても大丈夫だからね、カリストー」
シーンチェンジ。
ナレーターが出できて、後ろにあったカバーを開けると、日付入りの時計があった。
「今日は、詩の月(7月)25日。これからお見せする詩の月26日は言わずと知れたフィロソフィアの戦勝記念日。有名すぎて結果は知れ渡っていますが、そんなに話は単純ではないんです……」
時計を回し、閉じた。
「さぁ、続きをどうぞ。」
シーンチェンジ。朝に見せるから時間かかりそうね。
あー、よく考えたら。
ここの間のシーンは上手く省略したんだ。
いわゆる「事後」のシーンだから子供にはわかりにくいし見せない方がいいし無くても見事に話のほとんどがつながるし。
あ、私?私はもう手遅れよ?貴族たちは性教育なんてこの年で終わってるものだし、この世界ではそんなこともたまにあるよ。
「あの、アルマさん」
「なに?」
フォリックがふと聞いてきた。
「さっきのシーンで出た神獣って」
神獣なんていたっけかい?
「どういうことですかね?」
こっちが聞きたいよ?
「神獣なんていた?」
「ええ。熊神獣カリストー、栗鼠神獣ラタトスク、そして兎神獣因幡。神獣……私たち獣人の先祖です」
そうだったんだ。
「それはそれは」
いろいろ聞いて知っておきたいな。
「うーん」
「そろそろ続き始まるよ」
さて。
やっぱり知ってるやつでも見てて楽しいよね。




