地獄、極楽、あとはベリル・アローラとともに
◎視点 アルマ・アローラ
廃教会エルダーアース1階
墜落、そして彼女が動き出す。
彼女の手は、刃物そのものになっていた。
「っち!」
お父さんがお母さんの力を借りて捌く。
『幻覚、仕込めるくらい動揺してるね』
「そうだね」
リックからの念話が来た。
『全力、打ち込む準備に徹します』
「おっけー!アルマ、行きます!」
なら、わしもそろそろ突撃しますか!
「パイン、フォロー頼むよ」
こそっと話しかけにいったが様子がおかし…
「lightning dance,lightning dance.
lightning lightning lightning dance.
Chain .(れんさ)Plus one.(+1)
lightning dance,lightning dance」
あ、違うこれ。突撃の後ずっと詠唱してた?
「さて、ラーヴァ!」
残りをすべて突撃!
弱点は確認。ウサギが入ってる箱、そこだね。
「突撃します!」
ここで私がやられないためには、魔法での連続攻撃の前に離脱する必要があるから、この段階で切っちゃおうという考えです。
「燃え尽きろ!world master(世界の主)!cross fire(交差する火)」
使い魔参上!私を含めた四人(?)で囲み、交差するように火を放つ。その火は世界への命令の結果、重なり、大きくなる。
「…………?bloodmagic、cross fire」
私はなぜか、その言葉を口にするべきと思った。
何かを犠牲に、燃えさかる。
「あれ?」
そして私の使い魔が、私のじゃなくなった。その結果炎も消える。
「あっ、撤収!」
お母さんの手で回収される。
「私も戻ろうっわ!?」
ビーム乱射!これ魔法じゃねぇ!?
全員が狙われてるわけじゃな……!
「マリル、それじゃない!」
「な、え、ちょ……間に合わなぁ~~~!!!」
「くっ!」
私は被弾し吹き飛ばされてなんとか着地、解除される。
前の人たちはどちらにしろ大丈夫だろうが、トロワやマリルは動いても無駄だろう。
「全く。献身はどこの馬鹿に似たのかねぇ」
ゆったりとエニカはトロワの前で拳を構える。
そして、その巨大レーザーに拳を向けて、抵抗を試みる。
もちろん、そんなもので何も変わるはずがない。
「guardian moon(月の守護者)」
「……は?」
エニカの前に、砕けかけた白い月のような球体が生まれ、守った。
「ちょ、え…」
マリルの魔法だと見抜いた瞬間の動揺。
「お姉ちゃんと私の分省いた!」
そしてさらにぶっ飛んだ発言。って私!?
「馬鹿ぁ!?死ぬだろ!?」
お父さんの焦ったような言葉に、マリルは全力で叫んだ。
「死なない!気合いでよけて!理屈じゃできるでしょ!信じるよ!!お姉ちゃんならできるから!!信じて命を預けるから!!!」
それはもう感情が爆発しすぎていて、答えにこそなってはいるが私に向けた言葉になっていた。
「だから…避けて見せてね、お姉ちゃん!!!!」
ただまぁ…こんなに期待されちゃあね。
校長の三歩前へ!
その言葉に従い移動する。目前をかすめるレーザーもあるが、その程度なら何の問題もない。
マリルを全力で上投げ!
そして上に投げる。いゃ、何で?と思ったが、逸れていくレーザーたち。
十時方向にラーヴァ発射しすぐ跳んで捕まえて!
ラーヴァも囮になり得るらしい。飛んでマリルを捕まえたときに、涙目なのを見てすごく罪悪感がわいたが、どうやら牽制は凌げたらしいので結果オーライ。
ここから大量に来るけど…!
「guardian mercury(水星の守護者)っ、ぁ!」
「………ごめんね、マリル」
大量のレーザーをすべて反射させ、彼女に追い返す。
「終わった?」
「普通なら、ね」
普通じゃないから。
「ほら、立ち上がる」
そして凍り付く。
「もういっちょだ!」
「重ねる、全力よ」
アインスさんと校長が二人がかりで空間ごと引き裂く。
すべてが歪み、裂けた端から復元されていく。
「な、耐えた!?」
いつの間にか後ろでしゃがみ込んでいた。
「おかしくもないだろ」
「そうは思いたくないのだけどね」
そのときズィーベンさんが空高くから打ち落とされて墜落、元の姿に戻る。
「私も限界ですわー」
口調、それが素?
「ですわ、ですわ」
「失言をからかうのはやめてはくれないか?」
同じ要領でやってきたツヴェルフさんにからかわれる。
周りにいるのは……いや、いない方を考えた方が早いな。そっちはお父さんとフンフさんとツェーンさん。
「……?」
適切な手を打ってるはずだ。その詳細は考えてなかったが。
「マリル、大丈夫?」
マリルの右腕が焼けている。
「うん。次の大技に合わせて、動こう!」
「召喚可能なら召喚しろ」
「ムリです!」
「そうか。無理しすぎることもなさそうで何より」
そうかなぁ。痛々しいなこれ。多分治せるだろうけど無茶するなって。っと!?
「来るよ!下がって!」
「「了解!」」
「ヴゥ!」
みんな集まった。砕け散るがれきを集めて、魔力を込めてたたき落とす。自滅覚悟か!?
その前に!
「奇襲、来るよ!」
「うん…!bloodmagic(血統魔法)!guardian pluto(冥王星の守護者)!!」
「なっ!?」
マリル使えたの!?!?
「いぅ………く!bloodmagic!guardian The sun(太陽の守護者)!!!」
がれきすべてが溶け、一つになる。
……さて。
「きしゅー!」
えっ。あぁ、なるほど。
「bloodmagic………Lightning Dragon」
巨大な雷を空に集め、落とす。
逃げられないよう事前にためていた竜の一部で逃げ道を塞ぎ、墜落。
「エニカ、行きます!」
「ウィッチ、推参!」
雷が消えたところに突撃する2匹の猫。
「「一匹消えれば」」
あっさり吹き飛ばされる。えっ?
「「二匹に増える」」
「「「「二匹消えれば」」」」
「「「「「「「「四匹参上」」」」」」」」
「「「「「「「「四匹消えちまえば」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「十六匹だいやー!」」」」」」」」」」」」」」」」
なんだこれ…。
倍々に増えていく猫たちに埋め立てられる雪菜。
ぬこぉ。
「あの、リック。余裕ありそうだし改めて聞かせてくれない?」
「はい、いいですよ」
◎視点 フォリック・ミラージュス
改変するべき未来
九尾の狐をかばう紅き姫。
真紅の炎は散り、蒼白の業火は広がり続ける。
狐の尾が一つになる。倒れ伏すそれは僕だ。
今気にするべきことは、それだけ。
未来を変える鍵は、桃色に輝く刀。形は、よくわからない。
◎視点 アルマ・アローラ
猫に埋められてる間、改めて教えてもらえたリックの見た未来。
「でも前提がある程度違うと思う」
「うーん……だとすると」
私の感じる未来は、何だろう?
力と、色。
「桃色の刀」
「どうしました?」
「その刀、どう?」
「特には、何も」
「未来を変える鍵、か…」
前にそれを七色鉱とかいってたはずなんだよね。桃色要素どこ?
七色って……虹は赤橙黄緑青藍紫だしなぁ。えーっと、そりゃあ七色鉱の七色に水色やピンクや茶色やその他諸々、あってもおかしくないんだけど。なんか、変な気がするんだよなぁーって。
私がやるべきことがあるはずなんだ。その瞬間に。
「無理だといったところだが、私も始めよう、蘇れ悪魔、我が友よ………ふっ!」
あれ、今の、詠唱はどうしたの?
「うわぁ、使い魔の生成、自力でやってる…」
「トロワ、あれどういうこと?」
「神様の力を一切借りずにやってますね」
「……はぇー」
お父さんもそういえばいろいろやってたような。
……ん?待てよ……?
「……」
私も、できるか?
「二度目の発動は、おすすめしないよ」
「あ、空気だったエルフさん」
「は?」
もう少しあおってから、けしかけよう。
「とりあえず攻撃の時、逃げられないようにして?」
「はーい」
うーん、最後だねー。
「爆発するぞ!」
「ちょ!?全員集合!!」
ツヴァイさんが手持ちをすべてぶちまけてなんとか大爆発を防ぐ。
「guardian jupiter(木星の守護者)!!」
マリルがまとめて下ろす。
「今度は地下かぁ」
これで、終わりか。
次かなり遅れます。




