地獄、極楽、あとなんだったか
◎視点 アルマ・アローラ
廃教会エルダーアース3階
戦闘開始
始まった。
足に金属片をまとわせ走り、お父さんを蹴り飛ばす。
反動で蹴り上げられたところ、今!
「ラーヴァ!」
いつもの剣で貫く。
「いくぜ!雪菜!」
溶岩の剣を取り出したお父さんが、そのまま斬りかかる。
そして雪菜、ね。なるほど。
「ミキュ!」
『かしこまり!』
それを防いだのは、ウサギ耳の生えた亀。
『きっちり守るよご主人、そして奴らを殺すんだ!』
「……」
命の使い魔。そっか。使い魔には形だけでも主がいるものね。
「全部の命の使い魔の主って」
「そ、あの子なんだよ」
空に魔方陣が現れる。何が起こるのか…。
「こいつで、どうだ!」
瞬間、前のどこかが真っ暗になり、ひび割れる。
そして…氷がはじける。
「直撃扱いじゃないの…!?」
もろに受けても変身が解除されない。
「これ余波なのか」
「はっはは、マジの絶対零度かなんかかこれ?嘘だろ…?」
「おう、そこまでじゃねぇはずだ。とりあえず魔力全部使い切ったから身代わり手段は全部潰れてるはずだ」
アインスが犯人か!えっぐいよ!
「みんなやられた!このぉ!!」
「ほらな」
今度は腕に尻尾の先が穴あきになったイタチをまとわりつかせてガトリング砲みたいに乱射する。
手を変え品を変え。普段なら多分誰も使い潰すことのないようにするためにやってるんだろうけど、いくら強くても多勢に無勢。
こっちもやばい人勢揃いだしなぁ、って。
「とっつげきー!」
パインがついに龍に乗り出した。
私のラーヴァで割と弾幕の処理もできてるからか、無事激突。無事って普通いわない単語がその後についたけど無事は無事。
「てんじょうこわしちゃった」
「気にしないでいい、けど、死んで欲しいかな!?」
なんかあの人とっさに励ましてる…。
過去の話からしてもあんま悪人っぽさはないよね。正しいことしようとしてもいないけどさ。
「今度はこれか…!」
なんか来てる!上の階から降りてきてる!パインが大穴開けたからなぁたくさん来るよ…?え…………………は?今なんていった?
「ゴァ!!」
砕けた壁を飛び越えて入ってきた虎を、さらに飛び越えながら首をはねた男。
ふっさふさのフードはケモ耳のための出っ張りがある。尻尾は旧本になっており、下半身は基本的に獣全開なためかゆったりした短パン一枚。っていうかこれリックじゃない?
というか改めて見ると髪じゃなかったんだねぇ、そのふさふさのやつ。
「フォリック・ミラージュス、推参した!」
「おいおい、あっちはどうした?」
「命魔がすべて撤退したので、一人変身して追いました」
あ、なんか魔力ためてる!
「危ない!マリル!」
「うん、火星だ!」
マリルが前に滑り出て魔法の盾を前に突き出す。さっきパインが扱いに苦戦していたやつか。
さすが本人というか慣れているようです。今すっごいきれいに私をよけて前に出した。
「任せます!!」
「時空よゆがめ、終わりなきに等しき道を差し出せ………ちゃんと走り抜けなさいよ!!!」
めっっっちちゃ歪んでる。すごく近づきたくない。しかも空間のゆがみのところにわずかに加速するための電流が流れている様子。
なんで?そこ、だって、人が入るようなところじゃ…………。
「ッ!!!!」
完全にクマになったフンフさん、4足ダッシュで突入!?
床にいやな音が響き渡る。
「きゅぅ!?」
耳を塞ぐ無防備な雪菜の前に、銀色の猫とミキュと呼ばれた亀とその仲間とおぼしき数体が躍り出て、衝突音。
。
音ではない。ただの衝撃だ。
「うっそ無事なの…?」
「……いてて、?」
あのすべて粉砕しかねない衝撃の中、真っ二つに割れたミキュの甲羅が生命力としてほどけて消える。
おかげか、左腕のパーツがほとんどはじける程度で済んでいる。
まだ意思に合わせて動けるようで、右腕同様わなわなと震えている。
「な、あ……」
「周囲が完全に崩れたな、しかし下からも来ている。尽きているなどと思うなよ」
「承知した、ドライ」
ズィーベンさんとドライさんが話している。
「落ちるのも、近いか?」
この床、砕け散りそうなそんなところで、気がついてしまいました。
さっきの命の使い魔たちだよね。アインスさんもフンフさんも、当たり前のごとく倒せたけど。
何で、お父さんはそんなに(私が聞く余地ほぼない程度の知名度だけど)……有名なの?白銀人の中で、何が、すごかったの?実績だけの問題とも、思えないんだけど。
とりあけず、皆それぞれの方法で対策しながら、二階へと落ちていくのだった。
vs白銀雪菜戦
もともと原典代わりの紙束にも割ときっちりこの戦闘は書いてありますがいかんせん若干二名(追記、マリルとズィーベン。片方ずつが基本的に戦力外といったところ)状況が違いすぎまして……って感じです。
GWどれだけ連投できるか?(2カウント)




