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塩水晶の秘境の空の棺桶

 ……記録、完了。

 そーいやトロワに教えてもらった魔方陣による詠唱の省略試してないや。

「で、どちら様でしょう?」

『えー、ゼクス君?』

「そだね、ちょい怠慢だったわ」

 じとー。説明忘れやがったな。まぁ大目に見といておこう。

「こいつは賢者の一人、この秘境を構成する天井そのもの、塩水晶の乙女。まぁ賢者だからすっげぇ年数生きてるけど」

『最後は余計だろ!』

 なるほど?

 目の前の半透明なのは…塩なのか。

『なめないで?』

「ごめんなさい」

 パイン!?何してるの!?

 そっか、塩か。しょっぱいんだろうなぁ。

「そろそろ見えてくるぜ」

 踊り場についたので、反対側を見ることができる。

「はえ~」

「すごいね、これ」

「嘘みたいでしょ?」

「エニカお姉ちゃんの、故郷?」

「あかるーい!」

 子供たち(私達というべきか?)の歓声。

 それは、雪の降る町というイメージそのものだった。

 レンガの家が建ち並び、屋根には雪らしきものが積もっている。

 自然の緑が映えている中にあるあかね色の道。

 中央にあるのは大きなクリスマスツリー。

 一角にある異様な力を感じる洞穴を除けばただただ幻想的な理想郷に見える。

 反対側には農地があり、その端っこからこの階段が延びている様子。

「あの洞穴やばそうだね」

「あそこが俺の聖域、目的地さ」

 なるほど?

「あ、こっちみてるよ!」

 ほんとだ。お父さんたち(いや私達なのはそうなんだけども)が来たから?

「あ、お父さん!」

 階段を走るエニカ。

えに(・・)、お帰り!」

「うん、ただいま!」

 うっさー。この距離で聞こえるのか…。

 そんな距離を下っていく。


 ◎はい到着。


 ついた。

「初めまして、皆様。私はツヴァイ・エンロープと申します」

「私のお父さんだよーヘタレだよー」

「ヘタレ?」

 どういうこっちゃ。

「そんなことはどうでもいいから、早くサクのところへ行こう!」

「うん!」

 当たり前かのごとくスルーするなし。何を急いでいるのかもわからないけど。

「長老寝てそうだし挨拶回りも後でだな。行くぞ!」

「「「「おー!」」」」

「「「「おー!」」」」

「「「わーい!!」」」

 なんだこれ。


 目的地は洞穴らしい。そうだろうなとは思ったけどさ!

「近づいてみるとそんな怖くもないなぁ」

「あなたのお父さんの力だからね」

「なるほど、例の聖域か」

 そこからあふれる力がなんだかわかってくれば怖くもなくなるってものか。

 そして、そこに入ろうとする。

「え、何この扉」

「からくりだよ。ちょいちょちょい、と……後ろ、の前に…」

「おう、まず入りきらねぇよなこれ」

 人が多すぎた様子。

「うーん…。すまん、マリル、パインに名前だけ説明してやってくれ」

「あいあーい」

 ……………。はっ!

 私に秘密で話つけてやがった!?!??

 ちょい待て情報量多そう!ストーップ!話聞きながら考えておくよ!

「じゃ、そうだな…俺とドライ、ズィーベンとアハトは確定だから…ココ、ツェーンに渡してやって。後ウィッチ!来い!」

 ふむ、確定した?私は言及ないけど入っていいらしい。助かるわー。

「にゃっ!久しぶりだにゃあ、みんにゃ」

「ウィッチだー!」

「ほう、名前いらんとかいってたのに意外なことだ。よろしく頼むぞ」

「よろしくにゃー」

「……我が悪魔どもよ、核に眠りたまえ」

「ヴァサゴ、主の元へ帰還します」

「ベヒーモスは委細承知、re.tfy,ML」

「ディアボロ、主にお返しします」

「…」

 四人の悪魔が大きなとげの生えた結晶になる。二十本だって。

「ほれ、持ってやる」

「…感謝する」

 あら顔赤い。かわいいわね。

「本当なぁ…」

「あ、解剖頼む」

「うげぇ、俺がかよ」

 物騒な言葉が飛び


出した!?

「よし、後ろロック完了、開けるぞ」

 その先にあったのは、光る天井と銀色の壁、そして花畑とお墓のある光景。洞窟っていえるのかなこれ。

「お母さん、連れてきたよ」

「ありがとう。……初めまして、お嬢ちゃん達。そうねぇ、まずこのお墓の話かしら。これは、私たちのものなのよ」

 少しやばい雰囲気のある女の人。

「今までの私たちの終わり。そして、これからの私たちが終わった後、ここで眠るかもしれない場所」

 知らないけれど、わかる。未来を見ることによってではなく、その雰囲気から明らか。

 この人は、とてもやばい。私が今にも死んじゃいそうな心地になる。

 きっと…

「この人、強すぎる……!」

 お父さんなんかメじゃない。お父さんも、この魔力がお父さんのものだというなら相当おかしい強さなのがわかるのだけど、この人はそれでも格が違いすぎる。

 そりゃ、安定しないよ。こんな力。

 ……?安定しない?

「初めまして、香花(きょうか)ちゃん、光彦(みつひこ)くん。私は雨西(さく)。違う名前をようやく名乗ることになる白銀人です」

 丁寧な礼をされたので返す。

「奈々子、始めましょう?」

「ああ、そうしようか」

 二人が服を脱ぎ、バスローブのようなものを羽織る。

「詠唱もいらんな。まずはウィッチ、捧げろ」

「返すものは返すよ、ご主人」

 ウィッチがウィッチのものじゃない魂をあの女の人に渡す。

 あの悪魔たちだったものもズィーベンさんに同じように渡す。

 それは、二人の欠けた魂。

「虫たちよ、命を捧げろ」

 鞄の中の虫たちが、一斉に飛び出し、魔方陣のような形(おそらく禁術式というやつ)をとり、血を吐く。

 そしてから別の場所に魔力を這わせる。

「回収しろ」

「おう」

 ズィーベンさんの胸に手を差し込み、こらおっぱいで手を挟もうとするな。

「「何してんの?」」

「………、………、………」

 何してんだまじで。

「まぁいい、ほれ」

 胸の中、おそらく心臓付近から人工物を抜き出した。

「ふぅ……」

「開始だ」

 とてつもない生命力が収束し、彼女たちのものになる。

 無理矢理押し固められて、周りだけがそれぞれの聖域のような状態になった。ここから治療していくのだろう。

「俺の仕事は終わり。暇だし、必要だし。少し昔のことを語ろう。俺たちが廻金世界に来た経緯とか」

 あの状況で、クリスさんやシャメルをおいてきた理由がようやくわかった。

「こっちはブルームの人間としてじゃなく、白銀人たちのメンバーで来た、ってことか」

 お父さんは白銀人。

 そして、あの名前と人数から。

「クライシス・リーフ」

「……桃、来い」

「命令を受諾しました、サブマスター。タイトル『転移事件直前』ゼクス・アローラの思考記録付き映像を再生します」

 さて、何が飛び出るかなぁ。

いちおう。白銀世界はこの世界に「似た世界」です。SF世界観です。F大事です。フィクション大事です。

非人道的な話の予防線のため、念押しさせていただきます。

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