エスケーパー不明
令和。
元号変わるって感じが新鮮?ですね。
さて来たけれど。
「そこっ、右だ!」
なんか速いのが動いてる。
いや、フォリックがね?見えない敵に追いすがってきってるの。
動きは少し悪いかも。町への被害に対して慎重過ぎる。なんか、手慣れてないっていうの?町の地形を分かってないのが原因?
そして私たちが近くの家の中にいるのは気づいて居るみたい。
「う~、じれったい~~!」
で、となりにはだれか女の人が居るんだけど。……でっか。
フィーアさんが舌打ちしたのは、これへの嫉妬かとおもったけど。
「やらかした」
どうも違ったみたいね。……というか、そんな余裕出す人じゃないな。
フォリックが止まった。
見失ったらしい。
「あれ、あの子も行っちゃったよー」
あれ、私も見失った。
「後ろだっ!!!」
どこに居るのかわかんないけどお父さんがそう言ったのを聞いた私は、後ろを向いた。
後の私が言っている。見てみなよ、と。
後ろには、何もない。そう、無いはず。なのに、命の危険を感じる。何で?
あ!見えない敵か!
―――ガキン!
と、金属同士の衝突音。
「守る…!」
フォリック!
弾いて、そのまま、突き出す。当たってんのか当たってないのか分かんないわぁ。
「な、見えな……っ!」
見失ったらしく、勘でかかろうじて防いだものの、刀が吹き飛んだ。相手も刀を飛ばしたらしく、もう一本刀が見える。
しかし、なぐられたらしく、マリルのと思われるバリアが壊れる音。壊れるまでバリアの存在に全く気づかなかったけども。
まずいな、追撃はまずいよ?なら、助けてくれたお返ししようか。
私はフォリックに抱きつき魔法を使う。
「heat coat」
炎で私とフォリックを包みこむ。
ただし、ここで忘れてはいけないことがあった。
「フィーアさん、刀!」
炎で包んだところで、切られる危険は変わらない。
とってくださいな。
「一本しか取れないわ」
え。やばい?
「ダーッシュ!!!」
バーンとはじけた。
「ちょ、フンフ!!ばか!?」
多分刀はとった。
でも、壁にぶち壊したらしき音がした。
「どうしたらこうなるのさ」
まじで。
「逃げましたね」
「逃げたの?」
「はい、違和感がなくなったので」
気配隠されてるのは違和感として感じているらしい。
「でしょうね、フンフがいるのは想定外でしょうし」
学園長の同意。
ああ、そういや、フンフって女の人なのね。
フォリックがビクッと反応した。
「どうしたー?」
問いかけてみる。
「い、いえ。別に」
あ、そう。
「……しっぽさわられた。くすぐったい」
「なんか言った?」
「何も言ってないですよ?」
「そっか。さっきからごめんね?」
なーんかいったような。
後で理解して焦ったことは余談。
「このあとどうしよ」
「私は追うことにします。ほっときたくないですし」
むむむ。
「なんかさー、考え方血腥いよ?もーちょいちょっとリラックスしよう?」
そーゆーのよくないの。
後で思ったけどさっきからいろいろ言い過ぎてるような。
「明日町歩こうよ、さっきの動きからして、町のこと全く知らないみたいだし」
誘い方雑だなーって、自分で思った。
「そうですね、観光しますか」
わーい!
ん?私、なんか喜びすぎてない?
ま、いっか。
◎夜
パインと、あの女の人が私の部屋にいた。
「なぜここに」
まぁ、パインが入れたのは確定で。それより理由。
「なんとなく」
「特に意味は。あ、自己紹介しますか。私はクリスと申します」
無かったー。
「あ、そうだ。私はしばらく、ここで働きますね。一応貴族だったので資格はありますし」
ああ、どうぞどうぞ。
「じゃーねー、お話ししよう!」
いや、さっきっから話してたでしょ……。
いいけどさ?
さ?
「さてさて、ぼくは帰るね」
あ、ウィッチがいた。
「あんた部屋どこよ」
「てきとー」
迷惑かけてない?
「はなそーよー!!」
パインには勝てなかったー。
◎その後、二人が各自の部屋に戻ってから
「thinking accelerate(思考は加速する)、memory checker(記憶確認)、memory editor(記憶の編集者)」
今日も編集する。これはもうするべくしてすることなの。
運命みたいなもの。過去に干渉することができる割には大したしがらみではないね。
さて、明日どうしよ?
毎日怖いわー。
ユリウスのことを思い出しながら、今日も今日とて星を見る。




