short&long~医学を修めて絶望する者
次でshort&long終わりです。確定しました。4ヶ月かけるとは。次はやり方的にもさほどかからないでしょう。
さて、先回りできなかったわけですが。
「待たせた!」
「おう、すまんな……にしても明るいな?」
「別に深刻なことなかったしね」
「…………………」「「「「「「「「…」」」」」」」」
困惑するお父さんの裏でなんか大人が言い合ってる。ざっくり「何言ってんだこいつ」ってところだね。
なんか……うん。何があったんだろうね?
「マリル、行くぞ」
「うん」
もう行く時間か。
「しょーがないけど、おねーちゃんひいき」
「しょーがないって……私も知りたいんだけどなぁ」
「がんばれ!」
………。えー。
本当にマリルはその関連の話を聞いてたのか。
「何の話よ?」
あ、エルフさんだ。めっちゃおひさー。
「船出せるか?」
「うん、任せて」
あらま。
「なら今夜出よう」
「おっけ」
なんか、眠そう?
「男遊びもしばらくお預けかぁ…」
「相手してくれそうなのいねぇしな」
「あれ、でもかわいい男の子が」
「絶対ノインに後ろから刺されるぞ」
「しょぼーん」
結局みんな物騒なんだよね。加減ってどこ?
え、人のこと言えるのかって?………知らない聞こえない。まぁ実際聞こえてないんだけども。
「アルマちゃん、ちょっといいか?」
「うん、どうしたの?」
「話だよ、概ね聞いてるだろ」
まぁ、確かにいろんな人から聞いたけど……ゲームのフラグみたいな処理の仕方だなぁ。なんか。
「ってかゼクスー?何でそんな急いでるん?」
「……めんどくせぇなこいつ。アハト先いってろ」
「あいよ、いくぜ?」
◎漁業街カストー 単なる浜辺
海辺を歩く。
「あいつ完全に脳死だったな…未だにあいつは馬鹿やってんのかよ」
「そんなにやばかった?」
別に何も感じなかったけど。
「あいつだけ……なんか、違う。あれだけ非行に走ってるだけ、なんだよな」
それ、他も非行に走ってるってことでは?
「多分さすがに誰かからクライシス・リーフの話聞いたと思うけど」
「テロ組織なんだっけ?」
「……あー?」
なんかふざけんな、って意思を感じますが私はどうしようもないですよー?
「はぁー、しょうがねぇな」
ざっとまとめるとー。
クライシス・リーフは白銀で活動した革命集団にして、宗教もどき。
こいつの指揮者は壊れたA-Iと12人の中学生が中心だった。
人を愛する洗脳されたA-I、MO-M-zero。
そして中学生の
天道 一、
遠坂 龍二、
河星 参太、
妃垣 紫苑、
藤原 五菜、
陽極 禄斗、
石井 奈々子、
常緑 修矢、
鈴木 心結、
………一人忘れたって。
浅間枝納、
雨西咲の12人。
彼らは…活動から三年後、消息を絶つ。その後のクライシスリーフは暗躍する集団から方針を一転、既存の政府たちと正面から戦争を始めるある種のテロ組織になったそうだ。
以上。なんか物騒だね。
「そんな物騒な奴らだが、そいつらの産物たるAIの桃、会っただろ」
……それより一人忘れたって、嘘なのわかるのに何で聞き出せそうにないの?
「…うん」
「あと一人はまぁ、ゼクスなら覚えてるだろ」
うーん、この…。
「俺は医者だからな、戦争なんざ勘弁してほしいのにな。大金欲しいとはいえメンタルだけを犠牲にしてたいってのに、あいつはいつも」
メンタル犠牲にするの大分問題だと思うけど。
「肉体労働も命の危機もごめんだよ、ほんと」
…まぁ、大人でも怖いか。
私はいつの間にか消えちゃってたな、命を失う怖さ。
うーむ。む?
「あれ、あの子溺れてる?」
「あー、ほんとだ。ちょうど浮き輪持ってるぜ、てい」
今どうやって膨らませた…。
「自動膨張便利やね、常に持ってて正解だわ」
「なるほど」
「後で貸すよ、使いよういくらでもあるだろ?」
「ありがと」
とはいってもどう使えと。こういうとき以外の用途ある?
「いっちにー、いっちにー、あ、それにおもりつけて」
言われたとおりに浮き輪と結んだ縄の端っこにおもりをつけて埋める。
「よっこいしょー!」
気を失っているようだ。……ってことは浮き輪ピンポイントで投げ入れたの?輪投げみたいに?
アハトさんやべぇな。
「気を失ってるのは…あぁ、ただのショックか。水出せば後は起きるな」
体が冷えているのでそこらの流木を組んでたき火を作る。魔法は便利よ。木の水分吹っ飛ばせるから。水の操作めっちゃむずい。
「おお、助かるわ」
じゃ、続き話して?…と思ったけど話は終わってるのか?
「実際なぁ…俺も逃げらんねぇよ、でも俺、戦う魔法ほとんど使えねぇし」
あ、そうなんだ…。
「まぁ、あれだ。自分の治療もできるから、死なない程度に使ってくれや」
「どうしても必要ならね」
そうそうできるかいそんな真似!
「ほれ、座りな」
「ありがと」
キャンプ用と思われる椅子に座らせてもらう。
「あの…」
起きてた……あれ、なんか子供たちが集まってる?
「おーう坊ちゃん、大丈夫かぁー?」
アハトさんが子供たちに話しかける。しかし怖がられているようだ。
「おい馬鹿」
「あでっ!?」
エルフさんが頭をつかんで後ろに倒す。
「子供より低い目線まで落とすのは基本だ」
「腰がいてぇんだから勘弁しろ…あいてて…」
本当に腰が痛いなら治せばいいのにって思うのは安直だろうか?
「おじさん、だいじょうぶ?」
「お、おじさん……そうか、俺もそんな年かぁ…ああ、大丈夫だぜ?心配できるならおまえさんは大丈夫そうだが、どうだ?」
と倒れたまま話し込む。いや、子供より低い目線で話せとは言われたけど…。
なんか、違うよね…。
まぁ……うん、いっか。
「あぁ、出航できるか?」
「おっけー、ぼちぼち来なよ」
「そうするわ」
なるほど?あ、足下…。
「あぎゃーったぁー!??」
カニいたよ…。
何だろうなぁこの空気。笑っとこ、とりあえずね。




