short&long~っぽいけど違う試合
◎視点 フェネック・ミラージュス
闘技場観客席 覇者の座
三年前、この大会で優勝した私は、その席に着いた。
……それゆえに今年もまた、この席に座るが、はて。
「今年は怪しいがな」
「息子さん強いですからねぇー」
黒兎が来たようだ。
「雑な偽装だ」
族長家に黒の兎族すらいない。先ほど確認が取れたところだ。
「だろうけど、しておけと強制されているの」
誰だ。
「私はプライドとでも呼んでもらうことにしたわ」
「ヒュー・ウィデリネルシルヴァ。何のつもりだ?」
「まぁ、かけらみたいなものね。本体ではないのよ」
なるほど。なぜ出場するかは事前に聞いている情報で正しいだろうとは思っていたが。
ただ単に出てみたかっただけ。
あれの意思などではないのだろう。
「では私はこれで」
「死力を尽くせ、挑戦者よ」
とりあえずのところは一般の出場者として扱うか。
出しゃばる必要がないとはいえ、あの厳重警備にしていながら平和ぼけしてると思い込んでるブルーム王城の警備がが出し抜かれたのだ。
正直ソルナの娘…シュレールだったな…彼女が襲われるのを防ぐのは無理だったな。
それでも、フォリックだけは負けないだろうがな。…いや、あのブルームの女王もか。
ぱっと見の振る舞いもほとんど若いおなごそのものだったが…こちらが触れる前に気づかれるとは思わなかった。あれは、無理だろう。
あの力と言えば、
◎話が長いので切ります。
◎視点 ゼクス・アローラ
中央都市オリュン東西中央通り
アルマが先にいっちまったわ。
まじかよ。一人であれらは不安しかねぇ…。
「アルマだから大丈夫なんだろうけどさ」
「不安?」
「相手も強すぎるからなぁ…詰んでて被害を自分だけに、とか一応はあり得る以上、不安なものは不安だ」
気にしちまうだろこんなの。
「それより二人とも怯えておらんのが不思議じゃが」
「お父さんいるからこわくないよ?おねーちゃんは」
「私!?」
「お嬢ちゃん、自分はどうなん」
「わたしはいつでもげんき!」
答えになってんのかこれは?
「ふふ」
「パイン、こっち」
「はーい!」
手招きして抱っこする。多分疲れてる。
「マリル、昨日どれ使った?」
「土星」
サターン……まぁ、無難か。
「下手に水星とか切ったらしゃれにならないしなぁ…」
あれはマリルの持つ唯一の攻撃よりの切り札。
「どう見てる?オドさん」
「…そうですね、まずフォリック様は万に一つも負けはない。そうするのも容易でしょう」
なるほど
「フェルマータ様には干渉なさらないでしょうし、グリードとは3:7といったところでしょうか。賭けをみるに民衆の予想は逆ですが」
まぁフェルマータくんの負けは疑いようないか。
あれ、何年やってたんだか。
「ちなみにここにいるのをどう思う?」
「おそらく最後の一人の目的は大会終了後の回収です。こちらへは集団戦での破壊活動に向いていないメンバーを送りつけた感じですよね?」
目的は明白だな。
「要は駒全部使い潰すんだろ、あいつら。もう狂国自体がいらない」
「でしょうね…新たな脅威が生まれる前に手を打ちたい」
「……どっちかは殺す、それで手打ちの予定だ」
まぁ、白山の方を殺せるわけないが。
さすがに全員でも無理があるだろ今のあれ。信仰心ある人ほぼ殺さないといかんよ。そんな虐殺誰もやりたくない。俺だってそうだ。
「それより過程を楽しむことをおすすめします」
「もっともだな、すまん」
楽しみにしておこう。
◎視点 アルマ・ブルーム
闘技場観客席 寵愛の間
大分時間とんで夕方
いわゆるスイートルームというやつだろうか?
いい部屋だってのはわかる。
「さぁ長刀部門本戦第十四試合!東はバックレ・ナイツ!西はシュレール・ミラージュ様だぁ!」
「おう若干対応が違うなぁ!?」
「しょーがないだろー!俺はシュレール様の崇拝者だぞー!?」
「審判がやべぇな!?」
相手マリルくらいの子だね。子供多いよなぁ…。
「決勝までは安全対策済みの木製のものを使用します、ご了承ください」
「……(ふぅ、やるか)」
「えぇ、よろしくお願いします」
「微力を尽くします」
なんか、変な雰囲気。
楽しそう?
「試合開始!」
……なんというか、何してるかよくわからん!
「難しいなぁ」
まるでわからない。勝利条件というものが見えてこない。
「決勝以外は決まった型にそう行動が多いかな。その中で威力を研ぎ澄まし、意識を落としに行く感じ」
なんじゃそりゃ。
「なんじゃそりゃ…」
同じこと思ってた。
「決勝は弓術以外はマジの殺し合いに近い。特に今回は刀の方がね…」
リックと…おじいちゃんの敵か。想定しているのは。
「まぁ本来の決勝と違って殺さないようにする必要ないからね」
あぁ、そうね。
◎けっこう前の回想
試合が始まる。
刀の一回戦。
「なんで、見えないの?」
「ノインの隠密と大差ないか。あくまで視覚と嗅覚だけとはいえ、ひでぇやべぇ」
お父さんの解説助かる。
「それより、フォリックは慣れでどこまでカバーできるんだか」
うーん。なんか不安だし退屈。何より、処理能力的にそろそろ使わないと。
「……夜に決勝なんだよね」
「そうだな」
「ちょっとしばらく席外す」
「なるほど?」
戻った方がいいかな…?いや、いい場所があるか。
◎中央区の時計台
フィーアさんが監視してた場所に来た。
「確かに見えるねぇ」
なぜかカーテンがここからだと透けている。
「使うか、thinking accelerate、
memory checker
ああもうやっぱりぃ」
やっぱり負荷が重い。
「ここからが本番なのになぁ。まぁ前もそうだったか―――memory editor!」
記憶の整理をする。結果は割と見え透いているので気にしない。
ただ一つわかったのは。
「なんでいるの、白銀雪菜」
あの黒い毛並みの兎族…のふりしてた犬族!
そんなことあるぅ…?
◎元に戻る。
「でどういうルールだっけ?ノックアウトだけ?」
「有効打の数もです。それをカウントするのが審判ですね」
お父さんルールくらい把握して。代わりに聞いてくれてありがと。
「まぁ、わからなければ面白みも…あらまぁ」
何に着目したかはわかっても(わかるまでに何回記憶を見直したのだろうか)なんでそうしたかはわからない。
用は、なにしてるのかわからない。正直決勝以外面白みはないだろうなぁ。
「理解できないことは、おいておくべきかな?」
なぜか、何か大事なことを見落とさないためだけにここにいる気がする。
「何が、あるのか」
流れる人を見つめる。
そこに、前に見覚えのある人がいる。
そうだ。あの橙の軍服の人は!
「まさか、橙色の服の…パイン、あいつは?」
「きょーこくへー、正かい!」
なるほどね、つまり回収役と。
「止める?」
「リスクは避けたい、バラバラでは根絶できない。まぁ、それはそれでリスクはあるがな」
………むむむむむ、未来は?
大丈夫、止めなくていい。はず。
おっと聞こえた。はず?はっきりしてほしいんですけど…。とりあえず止めない方針で。
「……」
何か、思い出せない。まるでそう形容するような感じ、ユリウス関連以外では初めてかも。これは思い出さない方がいいやつか。
「さすがシュレール様、見事相手を打ち破った!」
あ、終わった。
「それではこれよりトーナメント最終戦および前回王者挑戦の準備に移ります」
ついに来た。なら、私は。未来を、見つめて。
「thinking accelerate、
clairvoyant(鮮明なる視界)」
ちょーっとずるいんだけどね。
「ま、反則もどきなんて知ったことか」
私はそれをしているだけだから、なんのヒントにもならないはずの声援をするだけだから。




