エスケーパー抵抗
「mana shot!こちらから、かな?」
shotは撃つってことかな?
なんかが飛んできてる。
「shine roar(光の咆哮)」
あ、お父さんがかき消した?チャンス!行け、ラーブァ。
「はぁ?あぶっ」
またラーブァ避けるか。すごいなぁ。
あんだけスピード出せても私には避けられないよ。
というかあのスピード。
「100メートル何秒で走れるんだろ」
気になるわー。はいまたどーぞ。
「10秒台切ったことない」
「いやはえーべ?それでも?earthlance」
はいはい避けたところにまた二発どーぞ?あーでも。
「laevateinn」
もー一発行けるよね?
「鬼が居る」
鬼か。鬼と言えば。
「わりごはいねがー」
これだよね?
「ちげぇよ!それ、なまはげだぜ?」
あっやべ。
「西にミカンを食べにいこうとした?」
なにそれ?
「何の話してんだそれ」
「あなたがそう言ったような」
「空耳ひどい」
この会話中何回かラーブァ避けられてる。やばいな。
ってか、町に被害が少し出てる。早くしないと!人は居ないはずだけど、それでもはやく!!
「だぁーもぉー!!breaker!!」
「あっ!?」
壊された!?ラーブァを!?
「ついにかー」
ああ、まぁ、そうか。
何回もやられたらまずいか。
「manaimpact(魔力の衝撃)」
周りを吹き飛ばす魔法の中、それを見た。
男の子。いる。
女の子。かばって。
その近く。がれき。落ちた。
男の子の目は、爆発の元をじっと見ている。
―――今なら撃てる!けど、当たるか?
いや、当てる。
あの子の思うがままに!
「bloodmagic(血統魔法)」
王家の血、というか、それを持つ者が出る何らかの特徴による適性を使う宣言。わざわざ言ったのはただの気分。
でも魔法において、気分も大事。
「咲け!bloodyrose nova(血の薔薇の新星)」
死の星を表すように、漆黒の炎が生命力を焼く。
「earthwall!!」
やばっ!ムキになってやったけど火力やばっ。
お父さんのフォロー無かったらやばかったわ…。
町も、私たちも危なかった。
あの禁術は一切制御してないからなぁ。
「はぁ……」
助かったみたいだね。あの子はこの人のこと明確に分かっていても恨まなかったんだね。すごいや。
「あの男の子の慈悲にこそ感謝しなさい」
「あの子?」
でも、でもね。
「でも、ごめんなさい。私だって仕事なの。あなたは殺さないとならない」
やるべきことはする。
それが、悲しい。
「今一度、人を殺す意味を考えましょう」
それは、彼女に向けたのか。それとも、私に向けたのか。
「……」
彼女は何を考えているのか。私がそれを考えることには、大きな意味があるのだろう。
「やめていいの」
………?
最初、意味が分からなかった。
「私を殺しても、私の力は奴らに利用される」
「どういう意味?」
殺さなくても、あなた達の不利益にはならないの、と言いたいらしかった。
「使い魔は知っている?」
「ええ」
ウィッチ居るし。
「生命力には魂もふくまれる」
ウィッチ言ってたね。
「魂ごとまとめて一つの禁術に使えるの」
あー、禁術のダメージでとられる分だけじゃないのね。
あれ?さっきの決意どこ行ったの?でもいっか。なんか穏便に済みそうだし。おいこら、未来の私、なんでだましているんだ!
「その禁術で使い魔を創れば、とてつもない生命力を持つ使い魔ができる」
命かけてない?それ?
何で死にながら魔法使うの?呪いたいの?
あ、呪いの魔法って聞いたことないな。ありそうなのに。
「それは、昔々の禁忌に使われた」
…ワケわかんなくなってきた。
そもそも禁忌って何だっけ?なーんかあった気はする。
「私が死ねば、私はあいつの使い魔になる」
あいつってだれ?
というか、これ、私じゃなくてお父さんに言ってない?
「だから、やめておきなさいな」
私はわかった。
「お父さん……」
お父さんの方を見…、って、どこ?
「やめてはやるが、んなことよりこの子たちどうにかしてくれ」
声がした方、つまりさっきの子たちの方を見る。
「うわあわー」
「く、くるなーー!!わーーーー!!!」
耳をすませばこんな声が。
ありゃ?こわがられてる?
「若い男、それと髪色が不気味。だからしょうがない」
「不気味言うな!つーか!ぱっと見灰色だろ?」
「くすんだ黄色にも見えるわ、ピンクっぽかったり水色っぽかったりするわ、こわいわよ」
どーもおとーちゃんこわがられてます。
ってふざけてないでおこう。
「だいじょうぶだよ」
話しかけなきゃ。
「ひゃう」
あうー。手強いー。
お父さん、そんなにこわいかな?
「はじめまして、あなたのなまえは?」
何を話そうかなやんでいると、どっからか来たパインが相手してくれそうなので私は別の心配をすることにした。
「いた……。アルマ・ブルーム」
あー、パインはこの人が連れてきたんだね。
「フィーア校長」
学園長は少し長ったらしいので、校長と呼ぼうそうしよう。
頭の中では学園長だけど。
「フォリック王子の元へ転移します」
りょーかい!そっちの心配もしてたのよ。
別の心配、はこのこと。
「行くわよ」
「あえ?おれもか?」
お父さんも行くの?
「あー、いや、子守頼むわ」
あー、3人ほどいるわ。
そこに私も入れろー!なんて?
「この子は、任せなさいな」
おわー。かっけーセリフじゃな。
さ、いこうよ!
どうせ後で聞くんだけど、ここに彼女の名前をはっつけておくことにしよう。
彼女“破唱”の名前はクリス・タルトらしいよ。
6/4 フィーアについて補足
ミスで順番狂った都合で設定に欠けるので説明
王立魔法学園の学園長。“斬空女帝”の名を持つ。
ついでにいえば、ゼクスと同郷の者の一人。アルマが知っている限り、彼女のほかノインとその夫もそうである。




