short&long~永遠ほどじゃないけど非常に長続きする痛み
5000字ちょいまで大増量しましたがまとまりがないです。勢いで書いてたらこうなっただけなので区切りも中途半端です。申し訳ない。
◎視点 アルマ・ブルーム
目覚める夕方、狂う空の終わりに近く
目が覚めたんだけどさ。
………多分、意図的に眠り込んだ上でトロワに虫を借りていなかったら、この吐息は気になる。
「えっと、うーん……リックかな?」
「はい。この夜で昂ぶるの自体は抑えられなかったです。すみません」
「いいよ」
危機感皆無とは思ってはいけない。そう思えたのもこんなに後なので多分彼も下心のかけらもなかったんだろうから。
「おはよう」
「おはようございます。これから本当の夜ですよ」
まじか。早起きしたつもりだったのに。時間感覚狂うなぁ…。
「さて、あー、でも試合の再開はまだでしょうし、どうしますかねぇ」
「鍛えないの?」
「僕の場合、この現象の後はどうしても集中しきれません。妖気の量が多すぎて下手すると周囲が大爆発します」
何その人間爆弾。こっわ。
「あ、せっかくだしさ、この町案内してほしいかな。色々聞きたい」
別にいいけどこいつ頭空っぽだろ。人間爆弾状態の人に町中に連れてって言うか普通?
「いいですね、そうしましょうか」
「じゃあ服探そうっと」
「では私は門の前にいますね」
はーい。
私の思考がおかしい。問題ない範囲とはいえ。
さてさて、おめかしするにも物がない。
「ノインおばさーん」
「あらどうしたの?」
へるぷみー。ですわ。
「お化粧させて、道具ほぼ持ってない」
「なるほど。はいこれ」
「ありがとー」
よし、軽くお化粧しましょ。
◎中央都市オリュン外周部
ふぅ、軽くおめかししたからかあまり不審には思われてないみたい。
それでも洋服だと目立つよねぇ。
「あ、団子屋だ」
あ、ほんとだ。ここ住宅街だよね…?
「おやおやまぁまぁ、リックじゃない!」
「なっ!??ね、姉様!?」
ふぇあ!?
「あらあらどうしたの女の子なんか連れちゃって、もー!隅に置けないなぁ」
何だろう、悪意を感じる。
「(…:/:~/~##~_&%:::~:#:#:)」
「(…....:::::……)」
聞こえないけど聞かなくて良さそう。……団子買おー。ここでのお金持ってるし。
店番してる、というか広さ的に明らかに店主だけど。そんな兎族のおばちゃんに頼みます。
「みたらし団子一つ」
「あいよ、あんたもちゃっかりしてんねぇ。はい、みたらし団子。あと殿下にごま団子やっとくよ。お代はあの子の給料から引くから気にしなさんな」
「それ気になっちゃうやつだよ…」
自然にやってのけたなこの人。ってか大きいね!?重い…!
「フフ、安心し。あれは明らかにもめてるけど、実際の姉弟仲はなかなか良いものだよ」
「なんかあるの?あんまり家族関係は聞いてなかったからわかんないや」
「……お家事情というやつだからね、多分聞いても答えてくれやしないよ」
あ~、難しいなぁ。
「一つだけ言うならね、あんたが殿下の恋人だろうと友人だろうと、あの子は自分を押し殺しすぎる。わがままは言ってあげていいけれど、無茶させるのだけはおよしなさいな」
何か、あったんだろうな。そこを聞いても、何かが変わることは多分ないかな。
自己満足…というか好奇心だけで聞きたくもなるけど、早く巡りたいのもあるしやめておこうか。
「わかった。適度にふっかけておくよ」
「程々は大事だよ。団子の大きさを加減しなくなったこのおばさんが言うのもなんだけどね」
うん、とても重い。
「リック…!」
「あ、はい!」
ごま団子渡せたところで両手で持つ。マジで重い。
あ、蜜とか垂れないのかと思った人もいると思うけど、外面には薄ーく塗ってあって(多分その後であぶったのかな?)、蜜は主に中に入ってるようです。
重い…。
「あむ。んぐんぐぐぐぐんぐきゅみゅきゅもきゅもきゅむぐぐむぐぐぐ」
何も考えずかぶりついてしまったのでひどい音が出る。ちょっとどころではなく食べにくい。
「はむ。むぐむぐもぐもぐごくんごくんごくんごくん」
はぁ?
「ふぅ、美味しい」
やばいだろその食べ方。
「ぷふぅ……かみ切るのすごい」
「顎の力鍛えないといけなかったですし、多分元の力も種族柄違うでしょう。あーでも少し痛い」
「やっぱ痛いんじゃん…私もやっちまったんだよなぁ」
もう顎疲れたよ。
食べ終わる頃には外周をある程度進んで中央への大通りへついた。
まぁ、大きいとはいえ団子のサイズはそこまででも。夜食としては無理があるけどもういま体内時計いかれてるし諦める。直してかないとなぁ。
第一ブルームのメンタルと森のケイブで時差4、5時間は見込むべきだしなぁ…。あれ、森って時間どうなってたっけ。
空間はなんか歪みかなんかあったとか聞いたような聞いてないような。まぁうろ覚えなんだし聞いてても理解できない年だから思い出すのは無駄か。
◎中央都市オリュン東西中央通り
走り回る子供たちの声が向こうから聞こえている。路地裏で遊んでいるのだろうけど。
「でもなぁ…何か食べられる感じでもないのがなぁ…」
「だんだん大きくなってくんだよねぇ、あの団子」
それ、そのうち串が折れるのでは?
「ところでアルマ?」
「どした?」
「昨日の事件の状況把握がしきれてないのだけれど」
あぁ、それ?
「そうね、まぁ、適当なところに案内してくれない?腰を据えて話さないとね」
「そうだね」
あ、町並みは和洋混ざりきって混沌としている以外は普通に都会って感じ。どこもかしこもお祭り騒ぎだけど。
「屋台まで出してる…」
「大分びっくりしてるみたいだけど、この騒ぎも大分落ち着いてる方だよ?」
「あぁ、もう本当の夜に入ってるんだっけ…?」
空を見ると、暗い。いやさっきからずっとだけど、もはや明るいと錯覚するほど濃密な妖気は見えない。
と言ってもそんなもの、意識してなかったんだけど。
「さて…ここら辺かなぁ、あ、こっちは残ってた。あっちは…まぁ、しょうがないよね」
「どうしたの?」
悲しんでるというより苦笑している感じなので、深刻な話ではなさそうなのできいてみた。
「登りあるじゃん、破れてるの」
「あるねぇ」
下にあるのはレストランですかね。
「店主があれの修理に魔物の素材を使うから今度狩りにいくって言ってたんだ」
元気な店主だぁ。
「む、匂い?」
「ん…あれかな、屋台のポップコーン…………あ!」
なんか妙なものを見つけた様子。
「いたぁ!リック!!」
訂正、変な人でした…?
「うるすぁ!?」
叫んでるみたいな声なんですけど!?おいおい。
「おひさー!!」
「……吹っ切れたというか、一周回ったというか!耳痛いよ!」
あー、やっぱり見たことある人だ。前までどう頑張っても聞き直しても何言ってるのか見当もつかないくらい小さな声だったのに。
「あ、リックにまとわりついてる虫女」
「あぁ?ケンカ売ってんのかてめぇ!?」
いきなりひどいな!?
「色気もないのによくやるわ」
「あってもやらねぇーよ、こんなだからいらね」
「まぁ私もいらないけどこんなの」
自分の胸をもむシュレール。…これクーよりでかいな。そういえば。
「話すの、初めてじゃない?」
「あれ、そういえばそうね?」
そっちも忘れてたんだ…。
「初対面で何やってるんですか」
「「初対面じゃないから間違えたんだけどね」」
「あ、はい」
それはいいとして。ハモってるのも違和感あるけどそれもいいとして。
「あんなやりとりしてからでなんだけど名乗らせてもらうわ。アルマ・ブルームと申します。以後よろしく」
「ん、お互い様だし水に流そ。シュレール・ミラージュスです。多分渦中の人ですよー。ってかリック、声の大きさってこんな感じでよかったっけ?」
「うん、大丈夫」
なんか、ぐだぐだだけど。周りの視線は奇妙すぎることに、とても暗い。感じてるのが本当に視線なのかと言われたら、違うとしかいえないけれど。
何だろうね、これ。
「頭が、いたいの」
何か言った?話聞いてなかった…。
「とりあえず何か食べましょう?」
「私は食欲ないです。リックは話聞くんでしょ。私は寝てるから終わったら起こして」
「了解」
寝るのか…。あ、こっち見てくる。悟られたな。
「眠くてしょうがないんです。全然寝れなかったせいで」
「それは大変だったね…」
夜行性気質のかけらもなかった。夜は眠い。やっぱりそういうもの。
「というか、リックはリックで、ちゃんと誰かといられた?」
「護衛なのか侵入なのか私のそばにずっといたっぽい」
「……女狐」
いや狐ならお似合いだろうがとか突っ込みたくなったけどそれはどうでもいいのでさておいて。
「まだけんか売るのか、あぁん?」
「というか相当な口調だけど」
「一時期こんなだったよ?」
「え、えぇ…怖い寝る」
あ、うん…。
「お休みなさい」
「三名様ご案内でーす!フォリック様こちらへどうぞー!」
「ありがとー!」
うーん、すごいめちゃくちゃな状況。因果関係はなんか…あれだ。みんな知り合いだからわかるよ的な。なんかほぼ全部はしょってる感じ。
◎喫茶店メルメル
夜中零時回ったところ(花の月19日→20日)
適当にココアでも飲もうかなぁ。
「本当に寝るのね…お休みなさい」
「うゆ」
「さて、話をする前に何か頼みませんか?」
「そうだね、何にしよう?」
リックがその気ならもうちょっとなんか頼んだ方がいいかなぁ…。
「サラダクレープとココアにしようかな」
「わかった、すみませーん」
なんか気配がすごい量だから周りの観察が厳しすぎる。さすが獣人。純人ではあり得ない総量。
あ、いや、特に高い人がそろってたら別だけど。お父さんにお母さんにマリル、ドライさん、ノインさんくらいいれば平均量がこの数十倍くらい?
平均じゃなくて合計で考えるとそのメンツではリックは言うまでもなく、クーやこの子にさえ勝てないんですけど。クーならあとフィーアさんかジェーンがいれば同じくらい。
私が含まれていない理由?妖気はほぼ持ってないからです。並の純人どころかここら辺の植物より少ないんです。
むしろここら辺の植物が植物とは思えないほど持ってるというべきかな?
パインもブルームの中ではそこそこあるんだけどね、この世界最高クラス大集合たちの中では低いとしか。
ちなみに一般人並みの基準はコルルです。あいつは平均的そのものらしいからね。
「チキンサンド3切れ、フルーツソルトの煮物2皿、ナナメ肉丼1つ、サラダクレープ1つ、エビ入りサラダ1皿、ラングドシャミックス2皿、クッキーシュー1つ、メロンパンケーキ1つ、飲み物はココアとオレンジジュース、一応水一杯も」
うーんと、ナナメ肉丼って何?突っ込みどころ他にもあるけど。
「はい、かしこまりました」
店員さんは注文を確かめてから去って行った。
どことなく、思ったより少ないと思っているのがもう、ね。
「~」
楽しそうで何より。
「シューはnaniかあったようです」
ん?いま記憶が虫食いになりかけた。わかりにくいな。
何かあった、……かな?
「……触れないでおきましょうか、いろい」
「ずっと、壊されそう、な恐怖が、あって、なぜか、頭が痛い、ままなの。助けて、眠れない、私、暗いの、もう無理、いやだ…」
触れないようにしたところであちらから来たようで。
「うゆ」
横になることにしたらしい。
「あらまぁ、いっそ隣の席も寄せてしまいますね」
四人分じゃ皿を置くスペースも横になるスペースも足りないのでこうなった。
六人分。角とはいえ食べ物来るまで居心地悪い。
私だけ椅子に座ってるし。ソファの方はシュレールがとるのはこの状況では当然のことだしね。
後多分、一番イスに座りなれてるから、私。
まぁそんな細かいこと、後ろでもめてなきゃ気にしないんだけど……なぁ…。
「なんか重い話に集中しにくいなぁ…ははは…」
「じゃほんわかなこと話そう?そうだなぁ……何かあるかな?」
「そういえばお化粧してますけど、この前ゼロスサンで買っていたものですか?」
あれ、あんま厚い化粧じゃないんだけど……いや、フォリックだからいくら薄くても気づくか。
「違うよ、あれはマリルへのお土産。今のはノインさんに借りたの」
「なるほど」
聞いた割には興味なさそう。まぁうん、何話せばいいかなぁと思いながら気づいたことに触れただけだろうし。
女の子じゃないから興味なくても普通。
「マリルが頑張って追い払ってたけど…そっか、シュレールちゃん、あの屋敷にいなかったんだっけ?」
「えぇ、試合直後でしたから」
そっか。
「お待たせしました。エビ入りサラダとお飲み物です」
やっと来たー。
「…ではお先に。いただきます」
「遠慮しなくていいよ、私もしないし」
食べ終わるまでは暗いのかそうでもないのか曖昧な話で済ませておきましょうか。




