short&long~力の限りAngelルート
◎視点 マリル・ブルーム
連邦議事屋敷 夜闇の寝室棟
最奥の籠城室前
満月が見下ろす昏き昼
眠るパインの頭をなでる。
「危ないところに来ちゃったね、ごめんね」
よく眠っている。疲れてたものね。本当にごめんね。
「ずっと謝ってばかりですが…」
「あれでも私たちより籠城戦においては…」
小言ばかり言われてる。
「……警戒不足に文句言われても困ります。私の警備域に来てますよ」
「そ、総員展開。…、失礼しました」
ふーんだ。
やることはやってますー。
「それに」
巻き込むような攻撃ははじめからない。
ちゃんと守れるはず。
「止まれ、愚か者」
悪いやつからみんなを守ろう!
「とはいってもなぁ…」
私がやることは防御魔法が削られてきた人にかけ直すだけ。
「緊張感ある訓練、って感じしかしないのがまた」
「おねーちゃんがんばれー」
誰が危険域にはいるか見当もつかないあたりが少し難しい。
「……」
武器は刀。武術大会でフォリックさんが迷惑がーって話だったし当然といえば当然か。でもほんとそれだけ。魔法一つ使ってない、割には動きが早い気がするけど。
「気のせいかなぁ…」
見えないからそう感じるのかも。よくわかんないや。
「見失った…?」
「付近に存在を確認できません」
………くも、くも。くもはいないかなー。
「広範囲探知術式起動完了、対象の魔力の探知に失敗」
『ドライ・スターリバーより報告。対象を見失った。少なくとも館の外に出たことは確認できた。再度の襲撃に警戒せよ』
あ、あっちから来た。
やっぱり見てたんだ。
「承知!」
「ふぅ……」
疲れた。もう私は寝たいなぁ。
『健闘を祈るぞ、クライシス・リーフ』
「あー、っと………なんとか釈放されたか」
え、お父さん!?
「なんで??」
「頭の変な転移術士に捕まってな、娘たちの中で一番危険のあった子の所に送るとか言われて…まぁ、俺はいいんだ、そんなことよりマリルは大丈夫か、怪我はないか?」
「大丈夫!みんなも守れたよ!」
ふふーん。ほめてほめてー!
「すごいな、さすがだマリル」
やったー!
「もう休みな」
「うん、もう眠い、けど、また来るかもなの、一応、備えしておかないと」
「あー……必要なら起こす。それまで寝てろ。二人を守る魔法くらいなら俺でも使える」
「わかった…おやす、み……」
……なんか、変なことがあったような。それより眠いな、おやすみなさーい。




