short&long~眠り姫二人と武道大会延期と聖女からの名前
◎何で私は眠っているのか
どうも無駄に警戒されているアルマです。犯人は馬鹿なのか警戒されてる割によく知らないのか、お父さんがいるイコール私がいるとはならないだけでなく、シャメルとマリルがいてさえ思わないようです。
で起きられるのに起きるなと言われて寝ております。何でだろうね、意識だけ完璧に起きているの。
まぁ…あれだ、一応トロワの虫を通じて多少は情報を手に入れられてるのが救いかも。
武道大会は見に行こうかなぁ…。行けるといいなぁ…。
あ、ちなみにここはなんかお屋敷です。
あ、連邦議事屋敷だって。王城みたいなものかも。
というわけでおやすみなさい。
◎視点 マリル・ブルーム
花の月19日 日が落ちた朝
連邦議事屋敷 欠けた円卓の大会議室
客席の端っこを借りてます。
犯人、見つからない。らしい。
そんなこと……いや大事なことだけど!!それより今。
「ふぅん」
なぜかじーっと見られてます。
「あなたは…?」
「あぁ、ばれてた。私はミシェル・ミラージュス。君はどこの人?」
「ブルームです。あ、私はマリル。マリル・アローラです」
ま間違えた。今はブルームだ。アローラじゃない。
「……あ、まじか。ゼクスさんは君のお父さん?」
「はい!」
「そっか、この子の親があの“御前壊滅”を…」
お父さんがどうかしたのかな?あと…フンフさんだったっけ?それ。
ほんとにあの聖女のつけた名前ってすぐ広まるんだなぁ…。
「依頼を受けてきたの、会わせてくれない?」
なんか書類みたいなの持ってた。これ、お城でよく見たやつだよ。
あ、お姉ちゃ…ん?
「あれ、お姉ちゃん?」
「え?い、いや明らかにちがうんじゃ……」
「み見間違え、た?」
あれぇ?
おかしいなぁ。
「それはともかく。パイン、行くよ!」
「はーい!」
「私もついて行きまーす!」
さぁて元気に!しゅぱーつ、しんこーう!!
会議室の重い扉を開けて、周りを歩く。どこかに階段があったような…あったあった。
「手つなぐ」
「うん、そうしようか。はい」
「えへへ?」
パインと手をつないで階段を上る。
「あれれ~、リックもう戻ったのぉ~?」
いきなりなんか始まった!?
「ミーか…なんかもめちゃって、遅れてる」
呆れてる。
「あー、例の?」
元々何か問題があったみたい。大変だなぁ。私に何かできるかな?
「あの犬獣人は危険」
「だろうね、反則をあんな高度にこなすような奴だ、闇討ちくらいはするよ」
闇討ち。それはだめ!
「私が守るよ!」
「「……っ」」
「わ、笑うなぁ~」
いや、うん。わかる。私にもわかる。これは、うん。うん。上手く言葉にできない何かがある。
「でも真面目な話、ブルームの王城に侵入しておじいちゃんを殺しておじさんを誘拐した人だよ、普通じゃ足りない。間違いなく」
「確かにそうですね。防衛を増やしましょう、シューもマータも戻ってきてもらおうかな…?」
…すっごくおこだよ。プンスカとか言うよりムッキーだよ。なんか違うな。擬音で表現するのも諦めよう。
なんかいやな怒り方なんだよね。
「じゃ、忍隊を呼ぼう」
「牙姫様、お呼びですか」
NINJAだ!シュタって!シュタァって!やばいすごいやばーい!
「おねーちゃんの目がキラキラしてる」
あ、パイン座っちゃだめだよー。
「抱っこするね」
「わーい!」
「よいしょ」
そういえば今日ずーっ……昨日だ。暗くて紛らわしいなぁ。ずーっと立って歩いて走ってだもの。疲れてるよね。
私が寝ちゃってたばっかりに。
「ごめんね」
「きにしないでいーよ、たぶん」
「ありがとう」
何のことなのかを、どこまで感じ取ってるんだろうね。
「“援命”マリル様、お力添え頂けること、感謝いたします」
「ええ、か弱い身ですが、死力を尽くさせていただきます」
実際、なりふり構っていられないし、いたくない。
宿敵と言っていい。復讐なんて私は言わないけど、正直恨みを持っている。
「好き勝手させない、絶対に!」
◎どうしましょう。
出来ることがありません。あいつに何しても不利になるのにこれはなぁ…。
何か手を考えてみます。
ちょいこらせっせこ。
ってかそうだ。マリル。お父さんここにいないの忘れてるでしょ。
ううういううううあういうううういう!
よし、パインに伝わったな!何だこれ。




