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とある放火魔の話 Invidia-enemytale(嫉妬の敵の話)
2日目/3日
◎視点不明?、時期不明
とある事件現場の地下にて
それは、兎だった。獣人でさえなく、獣だった。
オリジナル、命の使い魔、命魔、白銀人、神の使徒。どうとでも呼べる今の少女は、ただ何かを求めていた。それが何かは、本人だけが何もわかっていなかった。
(いつまでここにいればいいの?)
ただ、獣がいるだけの場所。
そろそろ帰る時間だ。
(……帰ってこれる?)
神獣たちを仕留めたお陰で、怒りも疲れも、そのほか諸々も忘れられた。
それでも人間味を残すために、この妬ましさは消せなかったけれども。ずるいんだよ、みんな。
何がだか、もうわからないけど。
(帰ろう…)
私たちは、全てを望む。望むまでもなく幸せを持てる人たちに感謝の略奪をしてあげよう。
兎神獣の忠誠は欲望のためにあり。全てを見て、未来まで知って、望むものを得てなお足りず飢える。
忠誠を捨てたのは愛してくれる者に会い、なぜか満足してしまったから。
でも、私はそんなものは知らない。きっと理解できるまで、すべてに満足感を持てないだろう。そんな私は今日もまた未来を妄想する。




