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とある盗人の話 Avaritia-enemytales(強欲の敵の話)

短編3連発です。入れ損ねました。しばらくこういったものがちょくちょく出るかもしれません。

1日目/3日

 ◎視点不明、時期不明

  エルダーアース教国地下


 それは犬耳の少女だった。

 何もかもを奪われた経験は、今の彼女にとって屈辱である。

 たとえ、それが植え付けられた記憶でも。

(げっと!)

 彼女はたくさんの密偵から、書類を…情報を奪っていく。

 流石の彼女も、一度も彼らに姿を現したことのない獣人を警戒させることなど不可能。

 だからこそ、隠密を最優先。次点が報告書の強奪。可能なら密偵そのものを始末…だが、ほとんどの場合不可能だ。ちゃんとあの女王が運命を支配している。

 いわゆる乱数調整と呼ばれるものの範囲でいくつかの命を守れるのは異常すぎる。

 そりゃあ近づいた暁には全てが破綻するのも頷ける。

 まさか兎神獣の力があんな形になるとは思いもしなかった。

 剥奪できるだけの適正といい、憎いものだ。

 魔力などを見る力は奪うのではなく劣化を厭わずコピーしたことがなおさら状況を悪化させている。

 勘弁しろ。

 強引に耳を澄ませる。

「ふむ…?」

 もういないか…?

「交渉を求める」

「うるせぇよ」

 ヒト殺しに文句を言うのもあれだが。

「姫様はお元気で?」

「知るか」

 あいつに、近頃の白銀人みたいに変化されても困るんだよ。あいつらもそうだが、英雄になるだけの価値がない。

「……私は別の女を狙おうか」

「んあ?」

「君のような可愛らしい耳の僕と同じヒトモドキさ」

 ……あ、いつの間にか主観視点で考えてた。うっかりうっかり。

 まぁいいや、犬のメスだぁ…?

「あれか、シュレールだっけ?あれには手ぇだされると困るんだけど」

「嫌だね。狙った獲物は捕らえるさ」

 全くこいつは…。

「一度切り離すぞ?」

「ご随意に。誰をおもりにする気だい?」

「スペルビア、で伝わるかい?」

「あの高慢か……あのガキも鳴かせたいものだg」「さすがに殺すぞ」

 私の分身…容姿や思想こそやたら違うが言ってしまえば私だ。それに対して家畜扱いは許容できない。

「じゃあ、処理を任せよう、どこにゆけばいい?」

「教皇執務室にでも行け。どうせ隠れていけるだろ?」

「承知しかまつった」

 面倒な奴だ。だが、わざわざ本体のところへ行くのに許可を取ってくれる程度には良識的に立ち回ってくれるから、なんとか活用できている。

 そうでなくては姫の誘拐に“破唱”の脱走など任せなかった。

 せいぜいあの隠形術の制御を落として王を殺すだけの使い捨てにする程度だろう。

 そういえばその“破唱”のクリスタル某は今どこにいるのやら。使えないことはないから回収できそうならしよう。

 ま、そう思える利用価値ある人間は奪えないだろうけど。はぁ…別に奪いたくはないけど、このままだとまた全部奪われかねないんだよなぁ…。

 それだけは認めない。認めない認めない認めない認めない認めない認めるな!絶対に許さない。許さない許されない許さない許さない許さない許さない。

 私たちは、全てを望む。奪うことを教えてくれたド畜生どもに感謝の略奪をしてあげよう。

 犬神獣の忠誠は欲望のためにあり。全てを聞き、多くを知り、望むものを奪い貪り食らった。

 忠誠を捨てたのは食らうより愛したい者に会い、側にいるようになったから。

 でも、私は何の意味もなく求めるだけ。何か欲しいものがあるでもなく、すべてに一切の感情を持てない。そんな私はきっと外の声を聞くことはない。

次回次々回は会話しないので短いです。

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