雲の月の願望
◎視点 アルマ・アローラ
世界樹のモク前
急いで行く羽目になった。
「トロワ?」
彼は無事。
「あぁ、……アルマ!?不味いよ!!急いで!?」
あ、そっか。
「My wisdom and My instinct can use themanaand life.(私の知恵と意思がマナとライフを使えるようにする。)
I want to save a hero.
My father teach me magic logic,my mother informed me the soul shape and I helped me following my fate.
majic time start now!」
ちょー早口で唱えた。まずいまずい。
「なんか消費してない…?」
『しばらく立て替えてやる』
立て替えてやる…?って誰?
「………え?どこにいます?」
『少年、ずっと独り言かのように話しかけていただろう?』
「世界樹……?」
……あー、世界樹しゃべるんだっけ。ちょうどよかった。
『しかり。世界樹の思念、というか頂に住む交信者、ヴィズルフェルニルにある。適当に呼ぶがよい。名乗っても皆世界樹とか呼ぶしな。もう一人思念はあるが、基本気にしなくてよい』
なんかちょっぴり悲しいね。
「鷹…?」
『いや、私はそうではないが、その名前の元は鷹なのだよな。気に入って名乗っている』
何かあるのか。
『魔法は神の御業だ。白銀世界などでは顕現したのかすら定かでなく、幻銅世界に至っては世界そのものが魔法…すなわち以下略だが』
「そこ以下略なんだ」
『長いし関係ないし怠いしの三いしだな』
なんだそりゃ。とりあえず人間味すごいね。この…あ、木じゃなくて人なのか、結局。
『この世界樹と意思を一つにする限り、私たちは容易に君たちに魔法を与えられる』
「与える?」
『うむ、詠唱とは私に、ひいては法神に使いたい魔法を伝えるためのものだ。詠唱の省略および短縮は慣れによって己で構成するようになった結果だな』
ふむ、知ってることと知らないことと。はぇー。
「……で、どうしようか」
『やつは私にとって敵だ。わかるな?』
……つまり、世界樹に伝えて使ってるわけじゃない、か。
「自分で使えるのか」
『敵の法神もいるが、彼女についてはその通りだ』
「敵が誰でも使えちゃうのか」
『厄介にも感じるが、本来そのために私がいるのだからどうしようもないのかもしれんな』
そのためなの?なんか違う気が…。
『違うと感じるかもだが、あっているぞ』
「そっか」
『お主の仕事だ、“雀炎”よ行け!』
うん、行くよ。
「はい。私の…願いのため」
走る。お父さんの元へ。
「でも、お仕事よろしくね!」
パシリにしまくるのは分かりきってるんだよね…。
◎視点 トロワ・スターリバー
確認できる限り、特別問題は洗脳された人以外ないのだが。
「もう、僕の仕事は終わりかな」
『そんなものか』
「うん」
お願いね。(-人-)
◎視点 アルマ・アローラ
隠れ里ケイブ 寅の陣符近隣
後に修羅の跡地と呼ばれる
ここにつく少し前から、普通にマナとライフを消費し始めた。支援はこれで終わり、らしいね。
「……ネロミィイェール、銅の将軍を殺してもまだ魔法が消えてない。アルマ、ミェラはどうにかするからあいつをどうにかしてくれ」
あいつ。そちらをみる。
「一回しばけば正気に戻るだろ。生命力を……半分くらいかな」
フォリックが、倒れたクリスさんをかばうように立っている。
「………狂う、頭、敵、敵?や、違う、倒す」
会話は通じないよ。
……なんとなくわかるけど、わざわざ言われるってことは、やらない方がいいってことか。
「やろうか」
ちょうど、開けていて飛びやすい。
遠くの木の裏でマリルがこっそりとこちらを見ているが、巻き込む心配はなさそうだ。
「laevateinn!」
生命力を奪うなら禁術しかない。私が先に尽きるかもしれないという危険がある。
「………斬る」
刀を抜き、私の炎を斬る。
「来るべき時」
そのまま私の方に突撃してくる。
「斬り捨てる!」
「えい」
雑い。潜り込んで蹴飛ばし、炎の残滓にぶつける。
「world master(世界の主)laevateinn!」
今回は16。心もとないなぁ。
「生命力とは何か」
その概念をよく考えて、ラーヴァを少しだけいじる。
「それは魔法という概念下における、命。血のようなもの」
お父さんの走り書きにあったライフはHPみたいなもの、でこれを観察している人に伝わるかもしれない。私はなんとかポイントの略だということしか知らないけれど。
「魂を守るもの。魂は自我、ほかの生命力は行動を司る」
また動き出した。単調な動きに合わせ、炎の剣を突き刺す。
「禁術は基本的に、生命力を奪い消滅する」
しかし消えず、その炎がだんだん白くなっていく。
「ぐ…ぅ……」
まさに吸収だ。
「死ね…ないん…だ…」
でも、これは…怖いな。
あれ、私の生命力とほぼ同じだけ吸収しきっていると思う。
それで、半分になってない。
「clairvoyant(鮮明なる視界)」
改めてフォリックの眼を再現する魔法を使ってみると…いつもより鮮明に、それが見えた。
「……………………最大量まで、見えるものなんだ」
フォリックは、1割どころか、1%も生命力を失っていない。
というか……お父さんの方が多い気がするのは気のせいかなぁ。
ただ妖気は圧倒的にフォリックの方が多い。お父さんは妖気につり合った生命力をしているけれど、フォリックはあまりにも多い生命力ですら管理しきれないほどの妖気を持っている。
なんだこれ、何で暴走してないの?
「立って…いなくては…守れない………!!」
いや、そもそもこれが洗脳なのではなく、暴走なのでは?
「暴走してる…?」
「最悪だこれ。洗脳はもうとけたが、暴走しちまった。なんとかして意識を落とすしかないが…俺がやるか?」
お父さんには絶対無理です。
これはひどすぎる…。
「絶対に勝てないそうです」
「…まぁ知ってた。これだしな」
お父さんが軽くあげた右手に心無し残っている魔力が集まる。
それこそ、フォリックの妖気の総量に対しての今の減少量みたいに、なけなし。ほぼなし。
というか、お父さんの魔力の総量どれだけなのかよくわからない。とても多そう。
あと、私よりマリルの方が魔力も妖気も生命力も多い。知らなかった…。
「あ、やば」
私の胴へ拳が。急いで飛び退く。
目の前を刀が通り過ぎる。
「……やっぱ見えすぎるのも問題だね」
魔法的な視界が強すぎて、物理的な視界に意識を向けられなくなる。調整できるように頼んで(心の中で頼むだけで世界樹には届くんだよね、すごいや。)、改めて戦闘の準備は整った。
「私の望みでぶつけてあげる」
ずーっと、私が夢見たありよう。
「……私の今のあり方のせいで、ただの夢物語だと思ってたんだ」
これは私の根源。
◎ずっとずーっと、遠い日の記憶
君は、魔法で何をしたい?
ふと、聞こえた。
「私、お姫様なんだって」
「王子様に助けられるのはなんかいやなのよね」
「私が助ける。その方が、私は好き」
「だからそうする」
「王子様いるかわからないけどね、でも誰かを助ければ私は偉い人!」
「頑張りたいの、私!」
◎朱炎女王、初陣
「chaos of the fortune(幸福の混迷)」
ちりちり、と周囲に火花が散る。
「あなたを助けるよ。ごめんな、少し…痛いかも!!」
「……立て、止まれ、変われ!!」
白く光る蝶が一匹、フォリックの肩に止まる。
フォリックは何を望んでいるのだろうね。
とにかく残りのラーヴァをぶつける。
「My intention inform me how to use the aura.(私の意思が私にオーラの使い方を知らせる。)
white(白)―――The moon lit by her(月は彼女に照らされる).」
詠唱を中断し、攻撃を開始された。
「力を…ためろ…!」
飛び交う火花は、刀に少しあたるたびそこに与えられた生命力を奪う。
「やばいなこれ」
いい状況にも見えるが、そもそも刀に生命力を直接注ぎ込んで何をするつもりだった?
とにかく、触れている限り奪い続けるということは、奪わないといけないらしい。それが単純に生命力を減らすためなのか、しようとしていることが危険なのかにかかわらず。多分どっちもだけどね。
「dream(夢)―――I want to break future(私は未来を砕きたい)」
ってなんか唱えてた!?
「I don’t have time in casting to fight.(戦いのために唱える余裕などない)」
……んー?何言ってるかわかんないなぁ。
「the name is(その名は…)―――SORAHAGI」
空接ぎ。いやな、予感がする。
「……エーデ語のままなのは反則か、だかしかし、醜き勝利のため、参る」
……準備、完了だね?
「ほぼ解けてるね…最後だよ、ここだからね!!」
足下を踏みつける。
「majic time start!!(魔法の刻が始まる!)」
「血に飢えた修羅よ、加減を知れ」
あの時と似ている、自分にも意図がわからない一言。
修羅は、私なのか?
「助けるための…力だから、ね?」
でも力を求める理由がこれだ。抑えられるだろう?
馬鹿だから絶対無理なんだけどさ。あの高みに、セーフとかソーリーとか言う存在になれたら、たくさんのものを滅茶苦茶にできそうじゃない?てゆうか実際そういう『事故』起きてるし。……事件ではない、よな?馬鹿だからわからん。
楽しそうだからさ、滅茶苦茶に壊してぇんだよ。ってか正直、楽しかったし。どんな玩具よりも、人間というものは。
いつになく不謹慎です。
あれこれ前回と同じ?と思った方、申し訳ありませんが前回のものを書き換えております。こちらに張るとややこしいことになりますので、もう一度前回を拝見なさってくださると幸いです。
そもそも需要…。




