本の月の戦陣
もう貯蓄が尽きてしまったのでここしばらくほどのまともなペースとはいかないかもしれません。本当に後半までだったとはなんと情けない。
一見平和な場所をしばらくふらつく。問題はここではない。
さっきは少しだけ面食らったが、よく考えれば人間に限らず動物は少ない。
そう考えると、兵力がいない証拠といえるだろうか。
「んなわけあるか」
少しずつ運命が変わっていく。
まず里の中心に移動する。
「アルマか」
「トロワのお父さん?」
ドライさんがいた。
「フンフが大変なことになっててだな、少し配備に手間取ってる」
「どうしたの?」
「子供に絡まれてな。あいつ背が低いからなぁ…こっち来たときから胸くらいしか育ってねぇ」
「おっぱいの話するなぁ~~」
「お、来たか」
わかってるね、その悪い顔を見れば間違いないとわかる。
「確かに私と頭一つくらいしか違わないものね」
私は背の順で真ん中くらいの12才なので、その程度の差ですむのはめっちゃ小さい。
「何で男はこれか好きなのかなぁ…」
そう言いながらさらしを巻いてる。もはや圧縮…。
「真面目に生物学的な説明くらいならアハトがしてるんじゃねぇのか?」
何それちょっとだけ気になる。
「あれで納得できると思うの?」
「いや、ないな。ああ、配備は終わったぞ」
ってゆうかなんかミシミシいってるんだけど。さらし爆発するんじゃないの?よりにもよってな時に爆発するサービスシーン的なのじゃないの?
「それやばそうだよ?」
あ、言ってしまった。
「でもほかにどうしようもないもん」
「隠す方がエッチだからほっときゃいいだろうが」
「………アインスの馬鹿ぁ!!」
ば゛ぁ゛ち ん!!!とすざましい音が鳴った。
「ぐは……」
あ、気絶した。出番が一瞬のセクハラだけなの悲しいね。いんがおほー。
え、私のせいだって?…………知らなーい。私が誘導なんてしてないしー。
「ま、しょうがないよね」
「………そうだな」
セクハラに怒ってるのが主と思われているようで、少しびびっているドライさん。
「交戦を開始する、6から9、トラ!」
ふむ、簡略化しすぎていてわからない。暗号というより簡略化な感じ。
「寅の刻、北東の…ちょっとだけ東寄り側、かな」
あ、マリル?…寝てたね?
「おはよう。寝癖ついてるからこっち来て」
「はぁーい」
とりあえずポーチからくしを取り出してとかす。
マリルは指示を理解できていそうだから、とりあえずわからなかったら聞こう。
「6はお父さん、7と8はズィーベンさんとアハトさん。9は……あれ」
「こ……ノインだ」
こ?……こ?
このときはそっちの話だと思ってたけど、明らかに急にこと言い出している。
「そうだった!」
「ついでだが、私は3、フンフは5、そこのは1」
「アインスがそこのになってるぅー」
「誰のせいだ誰の」
ふむふむ、……2と4が抜けてるような。
「2は欠番、今ここにはいない」
「4が学園長だって」
フィーアさんね。
「さて、アルマ。将軍を正面としよう。後ろにいる土人形、右手にいる不明瞭な陰、左手側にある魔方陣、これをどうする?」
「魔方陣は4、右手に後で5、7、9!」
確定でよし。他にも人がいるはずだけど、そこはトロワにしか言及しない方がいい。二重の意味で。
「追加指示だ!4、イ!」
「私は熊、熊、負けない……絶対に…………!!」
……なーんか怖いんだけどむしろ援護しろって。なんかやばいもの持ってるんだけど。
「hero not lost(英雄は失わず)」
少しだけ、位置を変える。マリルに見えないように。変身怖いね。
「that is true(それが真理)」
フンフさんの変化後の姿は、熊どころではないんですが。
なんか形容しがたいというか意識しすぎると精神がいかれそうな怪物的ななんか。人面にも見える仮面が本物の体っぽくて怖い。
「waaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaave!!」
ぴえっ!?
「変な声でかけたぁ…」
「お姉ちゃん何してるの…?」
いやだって後ろがなんて言えなかったので、てへっ、とだけ。
「………」
じとーっと見られた。
「かわいいけどやめなさい」
「かわ…?」
今度はドン引きされた。
「ittekuru!」
「そうしろ、フィーアからもそう頼まれたからな」
「oh、OKOK!ikuzo!」
「ちゃんと戦う前に強化はやっておけよー!」
フンフさんが嵐のごとく去って行った。
「…魂魔法、使ってる?」
「常に使っている、らしい。よくわからないが」
「ふぅん」
「それより、行くといい」
え、と思った瞬間の爆発。フンフさんが行った先で、木が吹き飛んでいた。何だあれ!??
「本命が吹き飛んだぁ~~~~~!?」
は?
今の声は、お父さんがいるらしい側から響いた。多分将軍本人。確かにこの発言するあたり、馬鹿だね。
「……もう大体決まりそう」
やることの指示が途切れた。
「将軍本人はうちの最強戦力と最多戦力を考えれば強くない」
「どういうこと?」
最強と最多って。
「多分、一対一で準備時間ありなら本来ゼクスの奴は最強だろう」
「本来…何かお父さんにあるの?」
「うむ、魔力…マナをほとんど使用していて、ほかのことに回せないのだ、この戦い含めてな」
マリルがやたらお父さんに関して敏感。お父さん愛が…。
「……気にすることは、おそらくあるまい」
「そっか」
何かを流した。
まぁ魔力うんぬんは魔力オーロラの時にも聞いたけどさ。
「トロワに話を聞いてくる。どこにいるの?」
「ゼクスの側、世界樹のすぐそばだ」
あ、今行かないとか。…めんどくさ。
「じゃあ行くか」
「気をつけてね」
「うん」
いつの間にか魔法がかかっていた。なんか、奇妙な光。どうあがいても詳細はわからなかったが、マリルのものらしいので一安心。
さ、いくぞー!
その瞬間これまで以上の爆発が起こったのは気にしない。
◎視点 ゼクス・アローラ
一方そのころの大惨事である
正直だるい。
「その手があるとはなぁ…」
今俺が「無手の」フォリックくんに襲われているのはつまりそういうことだろう。
クアーロちゃんを包んでいる金の光。あれは彼女の肩にいる蝶の鱗粉。彼の魂魔法。仕込んだのはおそらくアハトあたりだ。
多分あれならマナなんて消耗しない。オーラの消費も彼の量ならほぼ無視できる。切り札という性能でもないのにマル地区の戦闘で使ってないのは、最近教わったからだろう。ならアハトだ。
ズィーベンもドライも魂魔法よくわかってないで使い倒してるから教えられないだろうし。
「現実見るかぁ…」
フォリックくんな、洗脳されやがったな。魂魔法使えば大丈夫というより、それらの影響を受けてないとだめみたいで。あの蝶はフォリック君自身を保護できてない。
あいつの頭が悪いからこの魔法を解除されず、クアーロちゃんが無事だということを考えるとそれはそれで助かる。
問題は彼の身体能力が高いししかもあの馬鹿将軍、空手かなんかの心得あんだろ。動きがやべぇ。
クリスも洗脳されてりゃ武器もおちおち出してられねぇ!
「インファイトできねぇだろうが!!!ロア!」
もはや英語かも怪しいレベルの省略。世界樹の前だからできる暴挙。
ここまでやってようやくしのげる強さ。
まともに魔法を使わせてないのが幸いといったところ。………というか、使えるのか?
あそこまでオーラが多いと獣人の子供特有の暴走とは別で制御が困難だろうしなぁ…。
俺の数十倍といったところか?いや、その程度ならいいけども。
アルマー、俺には無理だから助けてー。ってか?情けねぇな。
俺が…何をしたかった?自由が欲しかった。
俺が…え、そう言うのじゃねぇ?わかった。
…俺は人間なんて嫌いだ。もちろん俺のことだって嫌いだ。でもわざわざ死ぬ気にはなれなかったし、そんなに嫌いじゃないやつもいた。あの純愛サイコとか、正義感の塊とか、自然主義テロリストとか、信用を失い続けるアホとか。
後はなんだかんだ自分もそんなに嫌いになることはないし、何よりあの人生姫プ女が、なぜか嫌いになれなくてさ。
え、これも違う?…じゃあ何を語ればいいんだよ。適当に生きてるから、話すこと少ねぇぞ?後明らかに純愛サイコの方が間違ってんだろ。
訂正 ここにあったのは、本来次回のものでしたので、書き換えま した。失礼しました。




