第2話 冒険者登録とお金稼ぎ
魔法という神秘な力がある世界に転生し、それなりの年数を静かに過ごしてきた。
しかし、成人してしまえば、基本的に自分自身だけで暮らしていく必要がある。
実家は、貧しい農家だった上に兄弟が多い。
長男だった俺が、家を出て働き、そのお金を実家に送金しないと成り立たないのだ。
成人前までは、村で出稼ぎ隊を結成して、父親が参加していたが、気が抜けたのだろう、腰をやってしまい、結果的に俺が村を長期間出ることになってしまった。
村から出て、街へ来てからすることと言えば、ギルドに登録することだ。
ギルドに入る事で、様々な恩恵を受けることと同時に、依頼を簡単に受けることができる。
ギルド登録時は、まだ大した依頼は受けられないが、それはおいおいで受ければ良いし、何よりも、普通で静かな暮らしを求めている俺にはもってこいだ。
ただ、実家に送金しなくちゃいけないので、しばらくその目的は先になりそうだが。
よしよし、このままで行けば普通な生活ができるぞと思っていた時もありました。
だけど、手っ取り早くお金を稼ぐために、討伐依頼ばかり受けていたら…
「ウィルさん、お願いしたいことがあるのですが?」
「ん~?何かの討伐かい?」
「ええ、街の南側に巨大ウナギが出たそうなので、それを蒲焼きにしたいという依頼が来たのですが。」
「巨大ウナギ?」
「ええ、養殖場で突然変異が起きたらしくて、巨大湖がまるで池並みになってしまったそうなので。」
「いいよ。取ってくる。何匹欲しい?」
「とりあえず3匹で。」
「分かった。これから行ってくるから、蒲焼きの用意をしておいて。」
そんな会話の後に、対岸が見えないくらい大きい湖にやってきたところ、湖全体が真っ黒いヌメヌメしたものしか見えない。
少し離れた場所に、人が固まっていたので、そちらに行ってみることにした。
「ギルドから派遣されましたウィルですが、これはどうなっているんでしょうか?」
「ああ、ギルドからかい。ありがたい。まぁ、見ての通りだ。黒いのは全部ウナギだよ。」
「湖っぽいのが全部黒いのですが?」
「っぽいのが全部ウナギだよ。ちょっと増えすぎ…かな。」
「ギルドでは巨大ウナギと聞いたのですが、大きさではなくて数が増えたと言うことですか?」
「半分合ってるよ。」
「半分ですか?」
湖の対岸が見えない辺りを指し示すと、
「あの辺りにいるのが、結構でかい奴だが、ここら辺のは普通よりも大きいが、小さい方かな。」
「…、養殖ウナギは、どれくらいいたのですか?」
「はて、数万匹かな?あまり考えたことがないから、詳細は分からん。」
固まって見ていた中から、1人の女性がその声を聞いて振り向いて、
「漁協長、昨年の出荷数は、約5万匹でした。」
「だ、そうだ。」
対応してくれた人は、漁協長だった。
そして、女性は事務長。
事務長の回答に、漁協長は乗った形で返答されてしまった。
内容的には、”蒲焼き”の前話なんですが、前後編になるか、前中後編なるか不明です。
当初は薬草採取だったのですが、ちょっと脱線しまして、旧作の内容とは違ったものになってしまいました。
あちらには、ギルドランクやレベル的に戻れないので、さようなら~という感じ。
ここまでお読み頂きありがとうございました。