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5-17 vs 虫怪人2

 虫怪人から距離を取ったコアさんが振り向き対峙する。


「これは、相当強いね」


 コアさんは内心焦りが入ったような声で俺と同じ感想を漏らし、刀を構えなおす。

 虫怪人は立っているだけだが、スキがあるようには見えない。矢を弓につがえるが、このままじゃ当たる気がしない。


 ……このままなら。


 俺の視界端には、虫怪人に横から接近するオルフェが見える。

 オルフェは一気に距離を詰め、踏み込んだ足のきびすを返し、虫怪人に背を向けて回し蹴りを放つ!

 召喚した時にオルフェには格闘術のスキルを持たせたからな! 飛び蹴りといい回し蹴りといい完璧なフォームだ。これならどうだ!?


 馬頭の身体能力に走った勢いが加わった蹴りは、動体視力を強化した俺でもとらえきれないほどの速度がある!

 だが、虫怪人は来るのが予期していたかのように、足を反対側に踏み込むと伸脚(しんきゃく)をするように低く屈んで蹴りをかわした!


 ここまで風切り音が聞こえるようなオルフェの蹴りをかわすのか!? だが、気がそれたな!

 一気に弦を引いて矢を放つ! 狙いは顔ではなく、まず足を射抜いて止める!


 だが、虫怪人は伸脚の体勢のまま腕で矢を横なぎにはじくと、屈んでいた足で地面を蹴り、勢いを乗せた裏拳をオルフェに向かって繰り出す。

 オルフェは虫怪人が矢を払ったほんのわずかな間に体勢を整え、裏拳をバックステップでギリギリかわす!

 その間にコアさんがオルフェと挟み込むように接近するが、虫怪人は挟み込まれないようこまめに跳んで距離を取る。


 俺は矢筒から矢を取り、弓につがえる。だが見せかけだけだ。

 二人が接近し波状攻撃をしかける中、虫怪人が縦横無尽にステップを踏んでいる。こんな状態で矢なんか撃ったら、ある程度矢を誘導できるとはいえ、誤射する危険も高い。


 スキあらば矢をすぐ撃てるようにしてるものの、状況はよくない。

 オルフェは戦闘経験がないせいかあんまり周りが見えていない。常に虫怪人を追いかけて攻撃をしているが、ぶっちゃけコアさんがオルフェのスキを埋めてなきゃとっくに反撃を食らっているところだ。

 身体能力はよくて五分五分だが技量の差が大きい。


 一方コアさんはオルフェの穴埋めに加えて、単純に身体能力で負けている。虫怪人の動きについていくのが精いっぱいといった所だろう。


 このままだとこっちが先に崩れる可能性の方が高い。幸いオルフェが張り付いてるおかげか虫怪人がこちらに来る様子はない。警戒は必要だが打開策を考える余裕はある。


 今までの動きから見てこいつは間違いなく戦闘慣れしている。それどころかなんらかの武術の知識がないとできない動きもしていると思う。この差は今回の戦闘ではとても埋められない。

 となれば、相手が知りもしない方法で動きを止めるしかないか?


「ククノチ」

「は、はひ!」


 虫怪人の方を向いたまま、いつの間にか俺の後ろにひっそり移動していたククノチを呼ぶ。

 呼ばれるとは思ってなかったのか声が裏がっておる。


「あいつの動きを止めれる?」

「うーん、無理ですー。この辺には”種”を植えてないですー」

 

 もともとここは足止めを狙ってないからなぁ……さらに本来ククノチに与えられた役割はヒーラーなので、この状況だとククノチにはできることがない。


「一応、止まっている状態なら私自身のツタで地面に拘束はできますけど……」


 何もできない事が後ろめたいのか、しぼりだすように自分が出来ることを提案してきた。

 だが、相手を止める手段を使うために、相手に止まってもらわないといけないとか矛盾もいいとこだ。ククノチに止めてもらうのは無理か。ワナも味方がかかる可能性があるから却下だ。

 

 となれば……後一つ止める手段はある。かなり限定的な手段ではあるが……

 なんとかできないか考えていた時、ついに恐れていた事が起きてしまった。


 正拳突きを避けられたオルフェが、虫怪人のカウンターをくらって吹っ飛ばされた! 派手な音をたて地面をバウンドするように転がり、うつぶせで倒れるオルフェ。

 コアさんがたちまち防戦一方に追い込まれる。

 

 まずい! コアさん一人じゃ勝ち目がない! 

 もはや一刻の猶予もない。さっきまで考えていた作戦というか、お願いになってしまったものを念話で全員に伝える。

 

「なかなか無茶を言うねマスター!」


 ダンジョンコアを通じてコアさんが愚痴ってきた。

 わかってる。コアさんが一番大変なのはわかってるけどなんとかしてくれ!


 こっちもコアさんの援護ができないか矢を撃てるように構えているが、虫怪人は常に俺から見てコアさんが射線に入るように動いている。

 コアさんなら後ろから飛んでくる矢もダンジョンコアが見てるから避けられる。だが、ここまで追い詰められてしまっていては、矢を避けたら虫怪人の攻撃を食らうという事態になりかねない。


 たまらずコアさんが後ろに跳んで距離を取ろうとするも、即座に虫怪人が反応して距離を詰める!


「くっ!?」


 苦し紛れか、コアさんが虫怪人の眼前に狐火を放つ。だが、魔力をあまり込められなかったのか以前見たものと比べるとはるかに弱い。

 めくらまし程度と見切られたのか、虫怪人がかまわず突っ込む!


「ぐっ!!」

 

 か細い狐火はたやすく蹴散らされ、そのまま直線状に居たコアさんをタックルで吹き飛ばした!


「コアさん!」


 何かが砕ける鈍い音が聞こえた後、放物線を描いてこちらに飛んでくるコアさんを俺とククノチで受け止める!


「コアさん! おい! しっかりしろ!」

「コアさん! 返事をしてくださいー!」


 軽く揺さぶってみるもそのまぶたは開きそうにない。ククノチが半狂乱になって叫んでいるが、やっぱり反応はない。

 

「オルフェ!」


 コアさんをククノチに任し、オルフェを呼ぶが、オルフェも倒れた姿勢からピクリとも動かない。


「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 恐怖に任せて弦を引いて矢を放つも、真正面から撃った矢が奇襲を防いだこいつに当たるはずがない。

 ザツな狙いの矢は虫怪人が一歩左に飛んだだけであっさりさけられる。


「くるな! くるなぁぁぁ!」


 とにかく矢筒から矢を引き抜きすぐに放つ! ある矢ははじかれ、またある矢は避けられる。それでも撃って撃って撃ちまくって――


 矢筒から矢を抜こうとして 何もつかめなかった。

 

「!!」


 首を動かし腰のあたりを見る。そこには役目を終え、からになった矢筒があった。


「あ……。ああ……」


 その場から動けず立ち尽くす。もはや反撃がないと悟られたか、虫怪人は間合いを一気につめて俺の腹に強烈な一撃を入れる!


「ぐふっ!」


 肉がきしみ骨が砕け、血が逆流し口から吐き出す。

 意識が遠くなり体から力が抜けていく。





 と、いう風にでも()()()()()()()()()()


 

今回描写めっちゃ悩みましたよ!

どう表現しようか、そもそも表現できるのかって!

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