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2-8 防衛エリアにて1

 防衛エリアは俺の膝位の高さのところにある薄暗い光が、壁に沿ってある程度の感覚ごとに設置されている。

 松明などの明かりは必要ないが天井に近づくほど暗くなっている。


 まぁ、監視ウィンドウで見てる分には視界良好なんだけど。


 コアさんは2つ目の曲がり角付近に目を閉じて立っていた。

 刀を少し抜いた状態で微動だにしていないので、恐らく幻術のための魔力を練っているのだろう。


 水をかけたり鼻をつついただけで見事な幻術をかけていたコアさんだ、集中してから放つ幻術はどれほどのものだろうか?

 ちょっと楽しみになる。


 そうこうしている間に集団がもうすぐここに来る。曲がり角まで後およそ10メートル――


 9――

 8――

 7――

 6――

 5――


 ――コアさんが動いた。

 目を開き、曲がり角の先にある柱から姿を見せて刀を勢いよく納刀する!


 ――高い金属音が洞窟内に響く!

 突然現れた人影と納刀音に驚いたゴブリン達が立ち止まり、警戒心を強める。


 コアさんが何かを言い始めるが俺には何を言っているかわからない。

 これがゴブリンの言葉なんだろう。


 さて、これで向こうがどうでるか?

 友好的に出てくればいいんだが……


 話が終わると洞窟内を静寂がつつむ、その静寂を破ったのは相手の笑い声……嘲笑だった。

 集団のリーダーっぽい奴が何かしゃべってるが、後ろの連中の笑い声で聞き取りづらい。

 まぁ、聞き取れても言葉がわからないから意味ないんだけど。


「あのリーダーっぽい奴の発言を要約すると”奪う犯す殺す”だね。これがまさに”話にならない”ってやつだ」

「へぇ……」


 久しぶりにダンジョンコアとしてのコアさんの声が脳裏に響く。

 

 それにしても……ふーん……へぇ……なるほどねぇ……。

 まったく、殺すかどうかで躊躇してたのがバカじゃねぇか。


 いやいや、連中には感謝しなければいけないな、これで罪悪感なく殺せるわ。

 あいつらは蚊と変わらないちょっと大きい害虫だ。ゴブリン死すべし、慈悲はない。ゴブリンズマストダイだ。


 連中はひとしきり笑った後、後ろにいた弓持ちが前に出ようとしてきた。

 んんー?



 ――あ!


 成程。そういう事か。大方まだコアさんの間合いの外だから遠距離で攻撃しようっていう腹積もりか。


「俺が一番右以外の3匹を殺る。コアさんは一番右の奴いけるか?」

「問題ないよマスター。私も腹が立ってきてるから、さっさとやりたいんだ。タイミングは合わせるよ」


 普段食べ物以外ではあまり感情を出さないコアさんがキレている。

 俺もそうだが、連中の態度は相当シャクにさわったようだ。

 弓持ち共は歩きながら矢筒から矢を取る、そして足を止めて――


 ――今!

 

「ギャッ!?」「グヒャ!?」「ギエッ!!」


 連中の()()()から飛んできた矢が、足を止めた弓持ちABCの首に突き刺さる。 

 奇襲で動揺したゴブリンどもは突然倒れた仲間を、あるいは矢が飛んできた天井に視線を移す!


 おっと、そんな余所見してていいんですかい?

 

 コアさんが動いた――

 抜刀しながら()()踏み出す!


「ギャァ!?」


 仲間の方を見ていた弓持ちDの胴を、その勢いのまま切り上げる!

 そして黄金の髪としっぽをなびかせながら、さらに奥に踏み込む。


 その先には余所見をしているこん棒A!

 コアさんは切り上げた刀をそのまま振り下ろし、肩からけさ切りにする!


 やだ……超かっこいい。

 

 実はコアさんはゴブリン達にむかって喋り出した時から、少しずつ間合いを詰めていた。

 だが、ゴブリン達からはどうやらコアさんがその場から動いていないように見えてたようだった。


 わざわざ弓持ちが無防備で刀の間合いに入ってきたのをみて、ようやく俺はコアさんがゴブリン達にどんな幻術をかけたのかがわかったんだよ。


 幻術にかかっていない俺から見ればすごいマヌケな動きにしか見えなかった。

 でもそれを相手がまったく気づかずにやってくれる。やっぱ幻術って怖いわ。

  

 ゴブリン共は仲間の悲鳴を聞いて我に返り、周りを見渡す。

 そして、コアさんを見つけたのか自らの獲物を振るう! 


 ――何もない空間を盛大に、


 あー、これはコアさんの戦術の実験台でよく俺がやられてた「幻術だ」だな。

 実戦でちゃんと使ってくれたら、実験台をした身としては感無量だよ。


「ふっ!」


 一言気合を入れて、大振りで隙を晒した剣持ちAの首をはね飛ばす!

 そのままくるりとゴブリン達に背を向けて曲がり角に向けて走る!


 だが、後ろを晒したのを見て、槍持ちA,Bがコアさんに向けて槍を投げてきた!

 やべぇ! 幻術が切れたのか1本は直撃コースだ!


「投げ槍がくる!」


 避けてもらおうと思わず叫ぶ。


「視てるから大丈夫だよ」


 だが、後ろも見ずに1歩サイドステップを踏むと、コアさんは事も無げにそう言った。

 それだけで投げ槍はコアさんの横を通り過ぎて壁に当たり、カランと音を立てて床に落ちる。


 ああ、そうだった。妖狐コアさんはダンジョンコアと意識を共有してあり、ダンジョンコアは自分のダンジョンの事なら()()把握している。

 つまり、妖狐コアさんはダンジョン内にいる限り、奇襲が通用しないってことか。  

 

 コアさんはそのまま曲がり角にある柱を曲がってゴブリン達の前から消える。


 ふむ、曲がり角を曲がったという事はアレを使わせる気だな。


「コアさん、2匹送るから片方は”穴”で対処してくれ」

「わかったよ、ほんとに察しのいいマスターで助かるよ」


 まだ数的優位があるからか、ゴブリン達はコアさんを追おうとする。

 あるものは投げた槍の代わりの倒れた仲間の武器を拾おうとして――


 おっと残念、ここで俺のターンが来てしまいました。


 リロードが終わった3つの()()()()()()から放たれた矢が、武器を拾おうとしゃがんだ2匹を含めた3匹に突き刺さる。

 

 そう、最初に弓持ちABCを射抜いたものコイツで、入り口側からは見えないように天井の窪みにセットしてある。

 ついでにいうと、照明を足元付近にしてあるのは天井のコイツを見つけにくくするためでもある。


 だが、流石に2度目になると位置を特定されてしまったらしい。

 3匹が自分の武器や落ちてた武器を拾って投げてきたために、天井ボウガンは折れて使い物にならなくなる。

 破壊されたボウガンは粒子となって消えてしまった。


 一見どこにでも設置出来て便利な設備罠だが一応弱点はある。

 設置した罠が破壊された場合、その罠は粒子となって消えてしまい、消費したDPは全損となってしまうのだ。


 潤沢にDPがあるなら問題ないが、ギリギリでやりくりしているウチのダンジョンは”設置→攻撃→破壊される”を繰り返すとあっという間にDPが枯渇してしまう。

 それがなければ前に設置したトラバサミを解体して鉄材にしたんだけどなぁ。


 まぁいい、これで合計9匹殺ったか、あと半分だな。


なろうの鬼門、戦闘描写

いろいろ参考にはしてるけど躍動感とかを出すのが難しい……

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