遠い世界に
ボクの生まれ育った島は結構、特殊な環境だった。
大陸からは遠く切り離され島で周りの海流と空の気流は独特な流れで海は島の周囲を渦巻き島に近づくものを拒絶した。空は普段は温厚だけど年に数回、大陸に向けて凄い風を流す。
その時だけはどういう仕組みかは分からないけれど海が割れて星珊瑚の道が出来上がる。その時だけは大陸と島が繋がるんだ。
星珊瑚は魔素を溜めて光る。魔法を使う時の媒体や魔素を燃料として稼働するものにも役立つ。採取が大変なのと鮮度の良いものが少なく結構貴重なモノがこの島には多く生息している為、大陸の人達からこの島は、「星珊瑚の孤島」と呼ばれている。
ボクの父親は島の外の世界からきた人で、いや、見た目は人間だけど人間とは別の種族らしい。そんな父さんにどんな種族?と訪ねても曖昧な笑顔でボクの頭を軽く撫でて答えを先延ばしにする。
「お前がもう少し大きくなったらな。」
結局、父さんはその後に島の外へと旅立ってボクが17歳を迎えても教えてはくれなかった。ひどい。
旅立った父が残してくれた外の世界の色んなモノ。魔素に反応する羅針盤。血を浴びると人によって違うけど光る石。島では見ない草花の図鑑、見た事のない技術でつくられた壺とか…他にも色々あるよ!!
楽しくてボクはそれを日々、父さんの部屋に忍び込んでは漁った。怒られそうだから母さんには秘密。
でも多分、いや、きっとバレてる…母さん鋭いし…
まぁ、細かい事は気にしないよ…うん…気にしない!
島の事は好きだ。 だけど、
そんな日々はボク、アルネの外の世界への憧れを駆り立てた。自分の知らない事を知りたい! 父さんの謎を教えて貰いたい、外の食べ物を食べてみたい。音楽を聞いてみたい。知らない景色をみたい。
この足で踏みしめて、目に映して。
外を、世界を…知って、聴いて、見てみたいんだ。