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12.解かれる邪竜。


 横たわる暴食一角竜(セイバー・レックス)を前に恐る恐る近寄る二人。

 辺りにはジューシーな肉の匂いが漂い、ピクリとも動かない。右肩上部辺りから左脇腹付近にかけ、直径三十センチ程の真ん丸の空洞がぽっかり空いている。


 心臓を瞬時に焼き貫き、完璧に絶命している。

 久しく忘れていた静寂を五感で感じ、ようやく二人が口を開いた。


 「シ……シキよ。これは一体、何をしたのじゃ???」


 「私にも……説明をお願いします」


 さっきまでとは違う汗を掻きながら、茫然としていた二人が状況を飲み込む為に質問してくる。


 「えっと、じいちゃんの鏡式封印術を参考にしたんだよ。大量の鏡をイメージして、それらにサブ魔力探知(ライブラ・スコープ)を付与しつつ太陽の光を反射させて撃ったんだよ」


 「あ、あの数百枚以上の鏡に魔力探知(ライブラ・スコープ)を?」


 「もちろん指示系統は俺の方で管理してたからね?心臓に標準を合わせて、さらに魔力も増幅させて撃ったからあの枚数でもしっかり仕留めることができたよ。まぁ魔法というよりか、自然の力に魔力付与させて撃ったと言ったほうが正しいかも」


 もちろんイメージと魔力制御により、鏡等使わなくても打つことは出来るだろう。

 ただし桁外れの魔力消費に加え、正確に狙い撃つという事は0から100まで造り上げなければならない。しかし今回は太陽の光という自然の力があったからこそ60に残りの40程足して出来上がったものなのである。

 まぁお日様が出ている時間帯にしか使えないという制約はある訳だが、それでも十分すぎる程の威力だったな。


 「いやっ!そんなことよりもじいちゃんっっ!コイツを倒したんだから、俺の夢を応援してくれるんだよね??」


 「え?あ、いやぁ。ははははは、言ったかのう?」


 「言ったよ!!カルネアさんも聞いてただろ?」


 「は、はい。たしかにそのようなことは言ってましたね」


 「い、いやじゃ。ワシ嘘つきでもいい!こんな素晴らしい力を持っておるのじゃから……じゃからシキ、魔法騎士に……」


 「ななな!じいちゃん!!!とぼけてお茶目なふりしてもダメだぞーーーーっ!」



 後にカルネアに聞いた話しによると、竜の心臓は需要が高いという事であった。

 特に暴食一角竜(セイバー・レックス)・亜種体ともなると、素材のレア度は高くなるそうで……


 心臓・A2+

 白銀の一角・A2

 巨竜の大爪・A

 巨竜亜種の皮・A

 巨竜の骨・B+


 という評価になるらしい。

 つまり俺は一番大事な部分を焼き尽くしてしまった為、当初じいちゃんの言っていた加工品を極力無傷でという条件を思いっきり無視した形になった。

 これは単純に俺の勉強不足であったと非を認めざるを得ない。

 その為、今回の口約束は無効という形になってしまった。


 にしてもじいちゃんのあの駄々っ子っぷりは、思い出しても笑えてきた。


 しばらくすると待機していたエルフ達が大勢の仲間たちを連れてやってきた。

 横たわる暴食一角竜(セイバー・レックス)を目の前に、驚きから歓喜へと変わっていく。

 とりあえず加工しやすいよう血抜きと魔力抜きを行い、若い男性エルフ達が手慣れたナイフ捌きで解体していく。


 基本的にエルフという種族は肉を口にしないのだが、魔物を解体し加工する技術はあるようなので任せることにした。しかしこれだけの巨体を三十人近くで作業しても、恐らく二日以上はかかるんじゃないかな。

 そんなことを思いながら、俺も手伝おうと歩み寄ろうとすると……


 「シキくん……いえ、シキ様。先程は失礼な態度を取りまして、大変失礼しました。シルフ様の加護を受けオルフェス様のお孫様だというのに、私はただ外見だけで貴方を判断してしまいました。どうかお許しください」


 「え、俺そんな風な扱いされてた?まったく気が付かなかったけど……。まぁ、そんなことよりもこの暴食一角竜(セイバー・レックス)なんだけど――」


 「なんと寛大なお言葉!もちろんこの加工品は、全てシキ様の為に解体させていただきます」


 「いやいや、こんなに貰っても消費できないし。それよか加工品は集落の人達で有効に使ってよ。あ、でも肉は食べないからどうしようか……」


 「なぁに、たしかオルトファウスが居たはずじゃろう?彼に近くの村や街に出向き物々交換なり、換金するなりすれば問題はなかろう?」


 「し、しかしそれではシキ様の功績が――」


 「いや、いいんだよ。俺が進みたい道はそういった道なんだと思ってるから。だから、気兼ねなく貰っちゃってよ。いいよね、じいちゃん?」


 「仕留めたシキがそう言うのなら、それが一番じゃよ」


 「わかりました。ではせめて我々のもてなしをお受けください」


 

 解体作業は夕闇が訪れた所で終了し、多重結界(防腐・温度管理・通過不可)を施し皆で集落に戻った。

 いつもなら保守点検後は速やかに帰路につくじいちゃんなのだが、エルフ達からのもてなしと俺の高速移動も問題ない事から一泊させてもらうことにした。


 オフィーリアの木が見える位置で宴会が始まる。

 笛や太鼓、弦楽器で演奏が始まり料理が次々に運ばれてくる。主に果物や木の実、豆類に野菜がメインなのだがこれが実に美味かった。

 野菜のシャキシャキとした歯ごたえがなんとも楽しくて、豆と木の実の風味も実に良い。

 極めつけは食べたことのない果実たちだった。

 ひと噛みするだけで溢れ出てくる果汁は糖度が高く、それでいて甘ったるい訳ではないので飽きがこない。

 たしかにこれなら、四季折々の野菜や果実を毎日でも食べたいと思わせるだけの力がある。

 また一つ俺は食に対しての熱い思いが高まったことを確認した。


 じいちゃんは酒を飲みながら、若い男性エルフ達と魔法や術式の話しで盛り上がっている。

 シルフの周りには老若男女問わず、たくさんのエルフ達が集まりシルフの食いっぷりに感激している。

 

 俺もカルネアや、護衛のエルフ達と分け隔てなく会話が弾んでいる。


 そんな中ふと誰かに呼ばれた気がした。

 静かに席を立ち、月夜に照らされたオフィーリアの木の前までやってくる。



 「やはりアルディア様なのですね?」


 うっすらと光り輝くオーブが人の形に変化し、そこに生前のオフィーリアが現れた。

 金色の長髪を後ろで束ね、済んだ青色の瞳で見つめてくる。


 「よぉ。百年ぶりだな」


 「お久しゅうございます。まさかとは思っていたのですが、懐かしい魂に引かれ今一度現世に姿を映させていただきました」


 「バレンシアといい、オフィーリアといい元魔王にこうも挨拶したがるものかね?」


 「もしやアルディア様……。なるほど、そういうことですか」


 全てを悟ったかのような微笑ましい笑顔で何か納得された。

 

 「それにあなた様がこうしてこの世に生まれてきたのですから、私達の取った行動は意味のあるものになりました」


 「なんだよそれ?」


 「ふふふ。それはきっとまだ先の話しですね。」


 そういうと銀色の光の粒が、泡のように溶けて姿が消えていく。

 俺の後方で宴をしている集団に目をやると、本当に安らかな表情で皆を見つめている。


 「私は只々この森を見守ることしかできぬ存在です。きっと彼もまた貴方に会えることを心よりお待ちしているはず……。今は道中をお楽しみください」


 そういうとオフィーリアは光の粒になり、夜風に乗り空へと消えていった。

 月夜に照らされ淡く銀色に輝くオフィーリアの木を後にし、皆の居る会場へと戻る。

 笑い声と楽器の音色が風に揺られる。その日は夜遅くまで宴会が続いたようだが、俺は眠気に襲われ一足先に就寝させてもらうことにした。



 翌朝。子供たちの声と共に目を覚ます。

 大人達は昨日の解体作業をするべく、すでに仕事に向かったようだ。

 

 「シキ様、おはようございます。昨日はよくお休みになられていたようで」


 「あぁ、おはようございます。そういえば、カルネアさん。この集落に何かお土産になるような物ってあります?」


 「お土産ですか?特産物という訳ではありませんが、私達がよく行く湖に綺麗な石がありまして。それを加工したネックレスならありますが?」


 「あー、クレアんのお土産かぁ。忘れてたん……」


 寝ぼけ眼でシルフが隣にやってくる。というか、お前が言いだしたことなのに忘れてるんじゃない。

 

 「ふふふ。彼女へのプレゼントですか?」


 「いやいや、そんなんじゃないですよ。お土産持って帰るって言っちゃったもんだから」


 しばらくするとカルネアが革袋を手に戻ってくる。中からは透明で綺麗な石がいくつか出てきた。

 その中から適度な石を選び、首に掛けられるように石に穴を空け紐を通す。

 よく見ると透明の石の中に水色が広がっていくような模様があり、陽に当てるとキラキラと目を奪われた。

 その後集落の皆に挨拶をし、森の入り口まで見送ってもらう。

 別れの最期までカルネア達は、暴食一角竜(セイバー・レックス)の件について感謝の言葉を述べていた。

 じいちゃんと顔を合わせ、魔力強化によりオフィーリアの森を後にする。

 途中、解体作業中の人達に手を振りガトスラン荒野を駆けていく。

 来たときよりも帰りが早く感じるのは何故だろう、少し物寂しさを感じながらじいちゃんの背中を追った。


―――――――――――――――――



 村を出発して四日目。今は見慣れた平原を駆け抜けている。しばらくすると肉眼でフォグリーン村と、俺が住む山が見えてきた。

 もう少しで陽が沈みそうな時間帯ではあるが、村の入り口にはエルクさんとクレアが待っていた。


 「お帰りなさい。随分と早かったですね?シキくんがここにいるということは、しっかり走りきったんですか?」


 「はっはっは。エルク隊長、今回の土産話はすごいぞ?後で聞かせてやるわい」


 マントを脱ぎ畳みながらじいちゃんがはしゃいだように言う。俺もマントを脱ぎ、クレアのもとに歩む。


 「……お帰り。楽しかった?」


 「ただいま。すげぇ楽しかったよ、やっぱり自分の足で見て回るのはいいね!」


 「……ふーん」


 「そうだ!クレアにお土産あるんだよ。きっとクレアも気に入ると思う」


 バッグの中からペンダントを取り出し、クレアに渡す。

 その途端、少し気恥ずかしそうにしていた表情が晴れ笑顔へと変わった。


 「これ綺麗!私の瞳と同じ色してる!」


 「あぁ、そのつもりで貰ってきたからな!大事にしてくれよ」


 山の麓に着くまでの間、クレアが話しを聞いてくる。道中の景色や集落の話し、魔物を仕留めた話しなどをザックリとではあるが教えてあげる。

 今度は自分もついて行けるように、もっと魔法の勉強をがんばると言っていた。

 家に着くと大きなあくびを一つかく。そしてそのまま寝入ってしまい、朝までぐっすり眠ってしまった。

 

 翌日。お昼前にじいちゃんが王都へと出かけていった。明日から三日間、コーネリア王国との会談が行われる。

 コーネリア王国とロンドアーク王国は友好国である為、特に大きな問題もなく会談は進むであろう。

 たしか飛空艇で来日するはずで、今頃王都ではお祭り準備で人がごった返しているだろう。

 コーネリアのドリス国王とカロン王子を見たい気持ちはあるが、人混みの中何時間も待つ忍耐のことを考えると今回は遠慮しておこうという気持ちになった。


 とりあえず今回は静かにしていよう。しばらくすれば新聞なんかも出回るだろうし、それよりも今は魔物の生態と素材の知識を蓄えなければ。

 幸いこの村は軍関係の人間が多いから、色々な情報が手に入るだろう。

 ポーラ姉ちゃんからも加工素材の本を借りてきたし、今日は一日これを読んで過ごそう。




――――――――――――――――



 コーネリア王国、会談当日。フォグリーン村は至って平穏だ。

 朝はいつも通りに起床し、ベーコンと目玉焼きを作りパンとスープで腹ごしらえをする。

 それからは借りてきた本を静かに読み漁る。何か騒がしいと思ったらもう昼を過ぎており、シルフが昼ごはんの催促をしてきていた。


 昼ご飯も済ませ読書を再開する。

 静かな部屋の中でページをめくる音だけが聞こえ、ゆっくりと日が傾き始める。

 窓から差し込む西日が赤く眩しいため、カーテンを閉めまた静かに読書を始める。

 

 部屋の中が暗くなり始めたところで電気が点き、そこでようやくクレアとシルフの存在に気が付いた。


 「シキってば勉強熱心だね。でも目が悪くなっちゃうよ」


 「昨日から本ばっかり読んじゃって、アタシのお昼ご飯も忘れてたんだよ?」


 「あー、悪い。ちょっと仮想戦闘をしながら、部位や素材を傷つけないでどうやったら手に入れやすいか考えながら読み込んでた」


 時計を見ると、もう六時半を過ぎていた。きっと王都ではお祭り騒ぎ一色で、街の至る所で美味しい物が並んでいるんだろうなと容易に想像ができた。


 いや、それよりも今は自分の晩御飯の支度をしなくては!

 シルフにすぐ支度するから待ってろというと、クレアの家で今日は冷やしシチューが用意されているという。たしかに今から準備してたら八時前になりそうだったので、本や資料を片付け始めクレアの家に行く準備を始める。


 シルフに急かされながら慌てて家を出ると、空間転移魔法陣のある小屋からよく知った顔が出てきた。




 「あれ?グレイス兄ちゃん。なんでここにいるの?」


 「本当だ。今ってお城で警備中なんでしょ?ポーラ姉ちゃんが言ってた……よ?」


 王国騎士団の真新しい鎧と、騎士団の剣を腰に差したグレイス兄ちゃんがいつもと変わらない表情でそこにいた。


 「ようご両人!それにシルフ様まで。いやぁ俺ってばあるお方から最重要依頼を遂行中なのだよ」


 「そうなの?所で王都はどう?盛り上がってるの?」


 「悪いなシキ。その話しはまた今度だ!どうしても急がなきゃならないから」


 そういうと兄ちゃんは山頂の方へと走って行ってしまった。

 たしか今の警備時間帯だと、エルク新隊長と部下が二名居たはずだ。きっとじいちゃんからの重要な要件をエルクさんに伝えに来たという所だろうか。

 まぁ急いでいるようだったし、せっかく新しい職場での仕事を邪魔したら悪いから今度話しを聞かせてもらおう。


 そう思い荷物用エレベーターに乗ろうとした瞬間。






 ピシッ!






 何かが裂ける嫌な感覚が肌に伝わって来た。

 それは俺だけではなく、シルフとクレアにも伝わっていたようで互いに顔を見合わせる。


 「な、なに。今の感覚って……」


 「この感じ……アタシは知ってる。でも……」


 二人は探り探りで言葉を選んではいるが、見ている方向はただ一つ。

 山頂に封印されし、邪竜の祠の方角であった。


 そして俺は魔力感知拡大(ライブラ・ワイド)にて山頂に探りを入れようとした瞬間。



 「シキっっ!!まずいよッッ!封印が解かれる!!!!!」


 シルフの一声ににより、疑念から確信へと変わる。

 そしてものすごい音量で警告アナウンスが村と軍施設全域に発令される。



 『全戦闘員は速やかに指定の位置へ移動し、邪竜復活に備えてください。現在レベル2です。これは訓練ではありません。繰り返します。全戦闘員は――』


 

 こんなアナウンス聞いたことがない。というかそんな警告なくとも、しっかりと肌に感じてしまっている。このどす黒い魔力の漏れは間違いなく邪竜だ。


 いやそんなことはどうでもいい!今は一刻も早く山頂にっ!



 「クレアはそのまま下山して、お母さんと一緒に避難場所まで行けっ!」


 「シ、シキは?!」


 「俺は邪竜のとこに行くっ!」


 「い、嫌だ!私も行く」


 「シキ!!クレアんは今無理して下ろすより、一緒に居たほうが安全だと思うっ!そんなことより山頂に行こう!!」


 俺が心配しているのは、そこではない。むしろ一緒の方が世界一安全なんだという事は、この俺が一番よく理解している。だがこの考えすら時間がおしい。

 俺はクレアを抱きかかえるとそのまま魔力身体強化を行い、山頂まで一気に駆け上がる。


 そして道なりに進まず、木々と崖を飛び越え山頂に到着する。

 そこに広がっていた光景は信じがたいが、想像した通りの結果だった。だからクレアには下山していて欲しかったのだが、もう遅い。


 彼の左手……。そうグレイス兄ちゃんの左手には真っ黒な封印術書が持たれ、右手の剣が赤く濡れている。

 そしてエルクさんが片膝を立て、苦しそうに剣を構えている。


 「はぁはぁ、何故?何故なんですかグレイス先輩!!」


 「言ったろう?これは任務なんだよ。だから邪魔する奴は敵とみなすからな?」


 その一言を発すると、なんの躊躇もなく剣を振り下ろす。

 ――が、間一髪俺の魔力物理防壁が剣を弾き返す。そして焦点の合わない目で俺を見てくる。


 「あれ?シキじゃないか。さっき言ったろう?急いでいるって。あぁ、お前死に急いでるのか?だったら、丁度いいや、特等席でコイツを見ていってくれ」



 そういうと持っていた剣を捨て、封印書に手を当てる。

 禍々しい黒い瘴気がより一層濃くなり、赤黒い放電もし始めたその時……。

 封印書を閉じていた黄金色の留め具が外れ、黒煙が生き物のように放出され上空にて渦を巻く。


 「はーーーっはっはっは。見てるか?見ているよな?楽しい楽しいお遊戯の始まりだァ!」


 高らかに笑いそのままその場に崩れ落ちる。

 魔力感知(ライブラ・フィールド)魔力探知(ライブラ・スコープ)にてエルクさんと隊員二名、そしてグレイス兄ちゃんの容体を調べるが命に問題は無いようだ。


 俺はすぐさま四人を後方へと下げ、シルフと一緒に上空に溜まっている黒雲を睨み付ける。

 もう夕暮れも過ぎ、空も真っ暗になっているってのにそれでも分かる異様なクロさ。


 そしてその黒雲から赤い稲妻とともに、一匹の竜が舞い降りてくる。



 体長は二十メートルを優に超えている。黒い鱗に身を包み、爪と角は黒光りしている。尻尾からも刃のような物が生えており、先日の暴食一角竜(セイバー・レックス)が小物なんだなと実感できる威圧をも兼ね備えている。

 周りの木々が薙ぎ倒されそうな程の風圧を、7人分の結界を張りつつ視線を逸らさず見据える。



 こいつが十二年前、じいちゃんや数千人もの兵士達によって封印された邪竜。

 

 

 そして日没とともに邪竜は、俺の目の前に降り立った。



 


 

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