ゾンビが支配するその終焉の世界で、俺はそいつと運命的な出会いをしてしまった。
最初の部分が蛇足という意見をいただき、削除しました。多分読みやすくなったかな...?
「くそっ、どこもかしこもゾンビだらけじゃねえか!!」
死んだゾンビを蹴飛ばしばがら、俺はそう口にする。後ろからは無数のゾンビ達がこちらに迫ってくる光景は、まるで映画さながらだった。
「おい友、どうするんだ?このままじゃ俺たちどっちもお陀仏だぞ!」
「そんなことはわかってる!とりあえずこの街から脱出しないとゾンビ供が....」
研究から数日をも待たずに、街はた○しゾンビに覆い尽くされた。発端はその研究者の1人が誤ってたけCウィルスを割ってしまったことだった。しまったと思ったのも後の祭り、みるみるゾンビウィルスは勢力を拡大していくのだった。
そしてそれは外にまで拡散し.....街はすでにゾンビが徘徊する街と言える状況ではなくなって居た。
「くそ!奴らが来たぞ!」
指指す先には「なんだこの野郎!」と繰り返すゾンビの大群がこちらに迫っていた。
「おい友!友?」
俺を呼ぶ声は急に疑問詞に変わる。その後、「どうした?」と心配そうな顔でこちらを見てくる。
「美しい」
「は?」
俺の目線の先には1人の女性がいた。女性といってももちろんゾンビ。
アレを美しいといっているのは一目瞭然だった。映画などの女性エキストラがやる、ゾンビ映画ならどこにでもいそうな雰囲気で、そこに「美しい」という言葉を当てはめるのはあまりにも横暴というほど。
「おい、ゾンビだらけで気でも狂ったのか?ありゃソンビだぞ」
「うるせえ!俺の彼女をゾンビ呼ばわりするんじゃねえ!!」
そう声を荒げ、その女性の方に向かう。そして他のゾンビをどかしながら見事女性ゾンビを獲得することに成功した。
「連れて来たぞ!」
友人がゾンビを連れてくる不思議な光景をじっと見ていた。
「お待たせ」
「いや、お待たせじゃ無いよ」
俺は襲おうとするゾンビの顔を掴みながら時々突き放す。女ゾンビは「なんだこの野郎」という同じフレーズにたまに肩を上下させながら再び俺の元に襲う。
「よし、逃げるぞ!」
「いやいやいや!ちょっと待て!!平然と進めようとしてるけど何かがおかしいだろ」
その言葉に「お、そうか」とつぶやき、ゾンビの肩を掴む。
「ああ、紹介が遅れた。俺の彼女」
「彼女ってか完全にゾンビじゃん!どう見てもゾンビじゃん!ていうか、これ明らかに襲って来てるよな?」
「これ、スキンシップっってやつだ」
側から見ればどう見てもゾンビが普通の人を襲おうとしている光景にしか見えなかった。そもそもゾンビ相手に「美しい」と行っていう時点で普通ではないが。
「ああそっか〜彼女がいないから妬んでるのかぁ」
「まあそれでいいや....」
呆れた表情でゾンビとじゃれ合う友人を見ていた。
「おいおいほんとに連れて来たのか」
歩ながら、未だにじゃれ合うゾンビと友人の光景にそう尋ねた。
「もちろん!俺の彼女を1人にさせるわけにはいかないだろ!」
「おお、そうか」
そんなやりとりをしていると遠くから叫び声が聞こえる。そちらを向くと何匹かのゾンビがこちらに来ていた。そう多くはないが数匹もいると厄介だ。
「まずい、俺の彼女を取りに奴らが来た!」
「いや絶対違うからな!そういう意味じゃないからな!!」
「彼女は俺が守り抜いてやる!」
後ろに回った彼女ゾンビは今にも俺を襲おうとする。それを後ろも向かずに器用に阻止した。
「いや、そいつもお前襲おうとしてるから。明らかに殺す気満々だからなそいつ」
「ずっとくっついて来て邪魔だなこいつ.....」
そう不満そうな声を出し彼女ゾンビを突き飛ばす。すると偶然にも襲いかかって来た別のゾンビと衝突し、まるでハグしているような光景になった。
「あっ....」
その光景に俺は一瞬思考が停止した。そして怒りなどの感情が一気に込み上げて来て、それが火山のように吹き出した。
「てめえらああああああああああああああああああああああ!!!!!!!付き合ってやがってたのかああああああああああ!!!!!チキショー!!!」
いや偶然ハグしたみたいになっただけだから!」
友人のフォローに聞く耳すら持たず、俺はゾンビの方に突っ込んで行く。するとゾンビ達をバッサバッサとなぎ倒して行く。
「失恋がこんな力に.....」
そんなことを呟いていると、あっという間にゾンビを全滅させた。俺ははぁはぁと息を切らせながらその場に立ち尽くした。行き場のない感情が込み上げてくる。
「おい、もうあと1匹残ってたぞ!!」
その声に反応し殺意のような眼差しでその残ったゾンビを見る。だがその目はすぐに変わった。
その瞬間またこのパターンか、と察したように呟いた。俺は2歩近づき、その女ゾンビにこう口にする。
「美しい......」
「はぁ、またか」
その言葉に友人は呆れたようにため息をついた。