表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

その4

 入部当初からわたしは頑張った。


「なんとしてもこの人を下の名前で呼びたい!」


 しかし、文章ではありとあらゆる表現を試みようとするわたしは、現実世界では極めて非社交的だ。なので、自分の立ち位置も含め、安念部長の呼び方につき、ハードルの高さをランキングした。


① ユズル(論外)

② ユズルくん(無理だ)

③ ユズルさん(いにしえの女学生か!)


 そして、結論。


「ユズル部長」


 たった6人しかいない部室なのに、はっきりとざわめきが起こったのを今でも忘れない。


「何? 長坂ながさかさん」


 それでもユズル部長は、さらっと返してくれた。


「え・と、文芸部では定期的に小説のコンテストとか応募するんですか?」

「ああ、それは部員一人一人のペースに応じてね。たとえば、ライトノベルが好きな人、居るかな?」


 恥ずかしそうに1年生のたにくんがうなずく。


「アニメが好きな人は?」


 もう1人の1年女子、手塚てづかさんが遠慮がちにうなずく。”あ、わたしも”、という感じで2年女子の加藤かとうさんと西にしさんも軽く手を挙げる。


「・・・という感じで、文芸と言っても幅広いから。もしそれぞれの興味ある分野でコンテストがあれば、みんなでサポートするのもいいかもね」

「わかりました」


 加藤さんが喰い付いて来た。


「長坂さん、”ユズル部長”、って呼び方、いいね!」


 西さんも合わせる。


「うん。わたしたちも、”アンネンくん”、なんて呼んでたけど、”ユズル部長”、の方が言い易いよ。ね、わたしらもいいかな、ユズル部長!」

「えっ、うん。呼びやすいならそれでもいいよ」


 なんてことだ。

 

 わたしだけが名前で呼びたかったのに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ