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最終話

 さて、物心ついてからユズり続けてきた、”譲る男”、に報いはないのか。


 あるんだな、これが。


「おい! 準大賞だぞ、すごいじゃないか!」


 文芸部顧問の夏野先生が、スマホを掲げて部室に飛び込んできた。夏野先生が来る前にわたしたちも自然に部室に集まって来ていた。

 夏にユズル部長がエントリーしていたヒューマンドラマ系小説コンテストの結果が、15:00ネットにアップされたのだ。みんなで口ぐちにユズル部長の快挙を褒め称えていると、夏野先生が吠えた。。


「AO、受けるか!」


 夏野先生は普段見せない機敏な動きと押しの強さで、既に締切が過ぎていた青海大文学部のAO入試エントリーにユズル部長をねじ込んだ。

 他の学部はぱっとしないけれども、文学部だけは数多くの若い作家を生み出している名門だ。

 ユズル部長は準大賞を獲った、"people get to know ya" を受験資料として提出し見事合格した。

 お母さんの死をモチーフにした、青春ヒューマンドラマだ。

 でもわたしは、面接でユズル部長の人柄も買われたんだって、密かに思ってる。


 ・・・・


「よし、お疲れ様でした!」


 卒業式の後、文芸部全員で記念撮影した。

 校門の脇に立っているかわいらしい桜は、温暖化の影響か既につぼみが膨らんでいる。

 加藤さん、西さんも志望校に受かり、先輩方3人の前途は明るい。

 ただ、3人ともこの県を離れるので、物理的距離の分、少し寂しい。


「ユズル部長!」

「何? 長坂さん」

「私も青海、行っていいですか!?」


 おおー、と、部員全員どよめく。


「いいよ、おいでよ」


 わたしがこの人を、”ユズル”、ってどうしても呼びたかった理由を知ってか知らずか、みんな、


「行け! 行け!」


と、盛り上がる。


 不思議だ。


 この状況でわたしは、


”死ね!”


と歌うあの曲を頭の中に大音量で鳴らしてる。


 字面じゃないんだな、ココロって。



おわり

 

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