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身代わり男装令嬢の憂鬱  作者: 蒼月
高校二年生編
64/110

高円寺 雅也サイド②

※今回思いの外長くなったので、二つに分けてあります。

まだ①を見られて無い方は、一つ前から読んで下さい。

 早崎と共に、車で少し離れた街で散策する事にした高円寺達は、この街で早崎とカップルに見られる事が暫しあった。

 どうもこの国で早崎は女の子と勘違いされやすいようで、今も複雑な顔付きで串焼きを売っているおばさんに訂正をしている。

 そして案の定、驚いたおばさんからお詫びとして串焼き二本をタダで貰う羽目になったのだ。

 同じ事の繰り返しで少しうんざりしている早崎だが、美味しい串焼きを食べてすぐに機嫌が良くなった。

 そんな早崎を見て楽しいと感じながら、高円寺はある疑問を口にする。


「・・・何故か皆私達をカップルだと勘違いしてくるね」


 そう何気に呟くと、その言葉を聞いた早崎が急に黙り込み、何か考え出したのか俯き出してしまったのだ。

 その様子に心配になり、頭を屈めて早崎の顔を覗き込む。

 するとそんな高円寺に驚いた早崎が、真っ赤な顔になりながら高円寺から距離を取った。

 だがそんなに顔を赤くしてて、どこか体調でも悪いのかとさらに心配になり高円寺が近付くと、早崎もそれに合わせて一歩後ろに下がったのだ。

 そのあからさまな態度に高円寺は少しムッとしたが、すぐに早崎の様子がおかしい事に気付く。

 どうも高円寺の後ろに視線を向けていて、そしてさっきまで赤かった顔があっという間に元に戻り、表情がなんだか泣きそうになっていたのだ。

 高円寺はその突然の変化に戸惑い、早崎の視線を追って後ろを見たが、そこには高円寺達が映り込んでいるショーウインドーがあるだけだった。

 再び早崎に視線を戻し大丈夫か尋ねたが、大丈夫だと答えられそしてこれ以上話を聞かれたくないのか、さっさと歩き出してしまったのだ。

 そんな早崎の様子に心配になりながらも、もう何も聞かない事に決め、先を歩く早崎の横に黙って並び一緒に歩き出したのだった。



 それから数件お店を見て回った後、早崎と共に一件のアクセサリーショップに入ったのだ。

 そこで高円寺と早崎は、各々好きなアクセサリーを見て回る。

 高円寺は、アクセサリーを見る振りしてチラリと早崎の様子を伺うと、目をキラキラさせて楽しそうにアクセサリーを見て回る早崎の様子に、どうやら元気になったようで良かったと胸を撫で下ろしていた。

 早崎が元気になった事で安心した高円寺は、暫く店内を見て回っていると、早崎がある一ヶ所からずっと動かなくなっている事に気が付く。

 高円寺はその様子を不思議に思い、そっと早崎に近付いて声を掛けると、その早崎は先程よりもキラキラした目で一つのアクセサリーを指差す。

 そこには小さな三日月の飾りと青い石の付いた、精巧でとても美しいネックレスが置いてあったのだ。

 その美しいネックレスに、早崎はうっとりと見とれているのだが、高円寺はそこである疑問が沸く。


「しかし・・・これはどう見ても女性用のネックレスだけど、早崎君は・・・これが欲しいのか?」


 そう早崎に疑問を投げ掛けると、何故か慌てたようにこれは妹に似合いそうだと思っていたと答えられた。

 何をそんなに慌てる事があるのだろうかと思いながら、早崎の言葉に納得してみたが、そんなに妹に似合うのが気になっているのなら試してみれば良いとふと思ったのだ。

 そしてそれを実行するべく早崎に後ろを向かせ、置いてあったネックレスを手に取り、後ろから抱き込むようにして早崎の首にネックレスを付けた。

 留め金がちゃんと付いたのを確認した高円寺は、早崎の両肩を掴み振り向かせると、じっくりとネックレスを付けた早崎を観察する。

 そしてとてもよく似合っている事を確認し、満足気に頷いて見せた。


「うん。よく似合ってる」


 そう言ったのだが、まだよく分かっていない早崎は、困惑した表情で高円寺を見てくる。

 高円寺はその様子に堪らなく含み笑いを溢し、近くにある鏡を指差した。

 早崎は、よく分かっていないながらも鏡の前まで移動すると、そこに映り込んだ自分の姿に驚きの表情を見せたのだ。


「どう?よく似合っていると思うけど?」


 もう一度そう言うと鏡越しに目が合った早崎は、その言葉を聞いてとても嬉しそうにしていた。

 その様子に、早崎と顔がそっくりと聞く妹も喜ぶと思い、早崎が似合うから妹もきっと似合うと思うよと言うと、何故か驚いた表情をされたのだ。

 何故驚いた表情をされるのか分からなかったが、早崎が妹に似合うか気にしてたから妹とそっくりな早崎に付けてみたと言うと、なんだか複雑な表情で納得してくれた。

 やはり男の早崎で試したのは悪かったかなと心の中で思いながら、半分お詫びと半分一緒に散策してくれたお礼の意味を込め、そのネックレスを買って上げる事に決めたのだ。

 そして買って上げると言った高円寺に遠慮する早崎をその場に残し、サッと早崎の首からネックレスを外すと、それを持ってレジに向かい購入した。

 可愛い袋にネックレスを入れて貰い、早崎がいる所に戻ってそれを手渡すと、すぐに財布を取り出してお金を出そうとしたのでそれを手で制止、今日のお礼だと言ってお金を受け取るのを断ったのだ。

 そして、それは修学旅行に来る事が出来なかった妹にと言う気持ちも込めて、ちゃんと妹に渡してねと笑顔で言ったのだった。

 するとその言葉を聞いた瞬間、早崎の目が見開き次に苦痛に堪える表情になったのだ。

 その予想外の表情に、高円寺は驚き心配しながら声を掛けるが、すぐに早崎は何でもないと言ってお礼を言ってきた。

 しかしその表情は、泣きそうな顔で無理に笑っているように見えたのだ。

 高円寺はその表情を見て、何も言葉を発する事が出来なくなったのであった。

 その後、敢えてアクセサリーショップでの事は聞かず、何事も無かったかのように再び散策を続け、時間になったので早崎と一緒にホテルに戻ったのだ。

 するとホテルのロビーに、カルロスと三浦がソファに座って待っていて、高円寺達の姿を見付けると急いで駆けてきた。

 そして予想通り噛み付いてきたカルロスを軽くかわし、部屋に戻ると言ってその場を去る事にしたが、去り際に早崎の頭を軽く撫で、元気を出せよと心の中で思いながら部屋に戻って行ったのだ。

 そうして次の日、高円寺達は早崎達より一足早く帰国していったのだった。

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