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それは確かに、此処に在った。  作者: 四季 いろは
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路地裏の白牡丹

琥珀の少女、アメリアちゃん視点です!

「大丈夫ですか?」


かけられた言葉と差し伸べられた白い手にハッとする。

…いつの間にへたりこんでたんだ?わたし。


まあ、そんなことは些末な問題か。

今、わたしの目の前にいる白銀の少女は、良く分からない怖い男の人たちからわたしを助けてくれたんだ。


…彼女も、少し怖かったけれど。

それ以上に。とてもかっこよくて、すごくて…なんだか少し、憧れを覚えた。


「あ、ありがとうございます…っ!

助けて下さって!」


言葉の順番が逆になってしまう位には、わたしも憔悴していたみたいだった。

声も震えているし、足も産まれたての子鹿状態だ。…うう、情けない。


「はい。……大丈夫ですか?歩けます?」


優しく微笑みかけ、わたしを労わってくれる彼女。…うん、やっぱり、物凄い美人だ。

立ち振る舞いも居佇まいも堂々としていて、まるで白牡丹みたい。


「多分…。」


苦笑いで返す。

ほとぼりが冷めれば、多分、だいじょうぶ。


「じゃあ、送っていきますよ。」

「えっ……あ…いえ、流石にそれは申し訳ないです…!」

「でも、貴女を一人にするのも、何だか心配ですし…。」


この人のことを疑っているわけではない。

目を見れば、心から心配しているのだと言うこと位容易に分かる。

…ただ、本当にそこまでしてもらうのは申し訳ないんだけど-……。


これ以上心配をかけるのもなぁ、とも思うし、彼女たちと一緒にいた方が安心できるというのもあるし。


「…じゃあ、お願いします。」


安堵からか、自然と笑みがこぼれた。


「あ、わたし、アメリアって言います!」

「私はユースティティアです。」


ユースティティアさん、か。

素敵な名前だな。

この都市の名前と似た意味を持つ、高貴な名前-…。


「アメリアさん、ご自宅はどこですか?」

「えっと、自宅じゃなくて-…“ライラック”っていうホテルに宿泊してるんです。」


わたしも一応旅の者で…と付け足しながら、簡単に事情を説明する。


「アメリアさんも“ライラック”に宿泊なさってるんですか?私たちもそこに滞在しています!」

「え、本当ですか?奇遇ですね!」


へえ、ユースティティアさんたちもライラックに泊まっていらっしゃるんだ…本当に凄い偶然。

っていうか、“たち”って、さっき一緒に助けてくれた黒髪の少年のことかな?


尋ねると、他にも何人かお仲間がいらっしゃるそう。

少し楽しそうに、嬉しそうに言葉を紡ぐユースティティアさんを見て、少し羨ましくなった。


ずっと一人旅だったから、仲間と楽しくワイワイ、なんてしたくても出来なかったしなぁ…。

そんなもやもやを心の何処かで感じながら、ユースティティアさんと談笑する。

…とても、面白い人だなぁと思った。


先ほど彼女と一緒にわたしを助けてくれた方はカナメさんというらしい。

他にも、ノアさん、クラルテさん、ラスティさん、ラファエルさん、テオさんという方々がいるらしい。


「あ、そろそろ着きますね。」


ユースティティアさんがそう呟く。

確かに、もうライラックの看板が見えてきている。


「あの、今日は本当にありがとうございます。本当に、感謝してもしきれない位で…。」


頭を深く下げる。


「いえ、礼には及びません。私も、アメリアさんとお話できて楽しかったですし。」


気遣いなのだろうけど、そう言ってもらえると少し気持ちが楽になる。


「えへへ、ありがとうございます。

わたしもユースティティアさんとお話できて良かったです。」


ニコリと笑う。

同じところに泊まっているとはいえ、結構大きくて有名なところだ。

今日限りの出会いかもしれない。


けれど、それでも、出会えてよかったと感じる。


「…では、もしもまた機会があったら。

そのときは宜しくお願いしますね。」

「はい、こちらこそ。」


そんな簡単な別れの挨拶をして、それぞれの部屋へと帰っていった。

ユースティティアちゃんとアメリアちゃんが一緒に行動するようになるまでちょっと期間が空きます。

もう既にグダグダですが、グダグダしすぎない程度に引き伸ばすぞ…(白目)

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