第八章 同居生活五日目 朝
今回は作者の都合で一日遅れてしまい、申し訳ないです。今回もよろしくお願いします。
「……大丈夫よ。『彼』はきっと受け入れてくれるわ。それに姿形なんて私の魔法で変えることもできるでしょう?問題なんてないわ。」
彼女は俺の問いに対してそう答えた。俺は質問を続ける。利き手の紋章が熱くなっている。とにかく時間を稼ぐ、それが最優先すべきことのはずだ。
「なぁ、ところでその『彼』ってのはどんな人なんだ?教えてくれよ。」
そう聞くと彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「ふふっ…いいわ。教えてあげるね。」
そうして彼女は『彼』について語り始める…。
◇◆◇◆◇
「んんっ…ん…。あれ?もう朝ですか…?」
私は目を覚ましました。外はもう明るくなっていて、カーテンの隙間から明るい朝日が差し込んでいます。
「あっ!ご主人様!ご主人様、いますか~!」
そしてやっと寝ぼけていた思考がはっきりしてきた私はいつの間にか寝てしまった私は自分を責めつつ、家の中を見回りました。でも、ご主人様の姿はなく、帰ってきたような痕跡もないです。つまり、ご主人様は昨日の夜からずっと帰ってきてないことになります。
「ご主人様ぁ…ほんとに何処に行ってしまったんですか…。私、寂しいです…。うぅ…ぐすっ…。」
私はこらえきれずに涙をこぼしてしまいます。ご主人様がいないのが寂しくて、悲しくて、そして何より心配なのです。
「泣いてちゃだめです…。ご主人様を探しに行かなきゃ…。なんだか、胸騒ぎがします…。」
でも、私はそう思い直して、ご主人様を探すことにします。でも、ご主人様をどうやって探せばいいんでしょうか…?
「う~ん…どうすればいいんでしょう…?」
私は考えます。ふと、ご主人様と契約したときに刻まれた、利き手の紋章が目に付きました。
「…そうだ!これを使えば…」
私は紋章の力を使ってご主人様を探すことにしました。この紋章は愛し合う二人を強く繋ぐものです。その力を利用して、ご主人様を探し出すことができるはずです。
「んっ…ご主人様…何処にいるんですか?」
私は強く念じます。ご主人様のことを強く、強く念じます…。
「んんっ!紋章が熱いですっ…!」
すると、利き手の紋章が熱くなりました。ご主人様がいる方向がなんとなくわかります。その方向に利き手が向くと紋章がより熱くなります。
「ご主人様、今行きますねっ。」
私は用意をして、家を飛び出しました。
◇◆◇◆◇
「ん~…『彼』はねぇ、とっても優しい人なの。私のことを助けてくれた、とっても優しい人。」
「そうなのか。大切な人なんだな。」
「そうよ!『彼』は魔法の力が強すぎて気味悪がられて人々から差別されていた私に手を差し伸べてくれたの。そして言ってくれたわ、私のことを愛してるって。」
愛し合う二人か…。俺はコロンと自分のことを少し考えた。コロン…もし俺に何かあったら…。いや、考えるのはよそう。コロンはきっと来てくれる。そう信じるべきだ。
「『彼』はほかの人とは違ったわ。私の力を利用しようとしてきた低俗なやつらとは違うの。純粋に私を愛してくれたわ。だからこそ私は『彼』にもう一度会いたいのよ…。」
彼女はそう語った。彼女と『彼』の間には強い絆があるのだろう。でも、だからって体を譲るわけにはいかない。俺とコロンの間にだって彼女たちに負けない強い絆があるのだ。
利き手の紋章がより熱くなる。コロンが近づいてきているのだろう。それを確かに感じる事ができるのだ。
◇◆◇◆◇
私は走っています。ご主人様を探して、走っています。
「えっと…こっち、ですね。」
利き手の紋章を頼りにしながら走ります。ご主人様に確実に近づいているのを感じます。
「ご主人様は…ここですっ!」
私は利き手の紋章がものすごく熱くなったところで足を止めました。見ると目の前には廃墟になった建物がありました。
「ご主人様…今、行きますっ!」
そして私はその廃墟に足を踏み入れたのでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も読んでいただけたら嬉しいです。