第七章 同居生活五日目 早朝
今回もよろしくお願いします。
「うう…ん…。」
俺は目を覚ました。体が動かない。目を開けて自分の体を見ると、椅子にロープで縛り付けられていた。
「なんだこれ…?どうしてこんなことになっているんだ…?」
俺は周りを見回す。ここは廃墟…のような場所だろうか…。周りに人気はない。気味が悪いほど静かな場所だった。
「ここはどこなんだ…」
「あら?目が覚めたの?ふふっ…寝ててもよかったのに…」
俺は声が聞こえてきたほうに目を向ける。視線の先には、昨日の夜家を訪ねてきた銀髪の少女の姿があった。
「どうして俺にこんなことをするんだ?」
とりあえず質問をする。いきなり殺されることはないと思うが、気絶させられた訳だし、念のため刺激しないようにすることを意識する。
「ふふっ…あなたに教える必要もないと思うんだけどなぁ…?聞きたい?ねぇねぇ、聞きたい?」
ちょっとウザイな…。そう思ったが顔に出さないようにして、俺は
「ああ、とっても聞きたいよ。」
と返した。
「ふふっ…じゃあ、教えてあげる…。私ね、とっても大好きな人がいたの。でも、その『彼』は突然いなくなっちゃったのよ…。私は『彼』を探したわ。でもね、いつまでたっても見つからなかったのよ…。」
「…?その『彼』と俺に何の関係があるんだ?」
「まだ、話は終わってないわよ?黙って聞いて、ね?」
つい余計な口を挟んでしまった。彼女の目が光る。ここは大人しく黙って聞くべきだろう。
「それでね、探しているうちに『彼』のような気配を感じたの。その気配の発信源があなたってわけ。でね、私は思ったの。『彼』はもういないんだなって。『彼』があなたに生まれ変わったとかいうわけじゃないのよ?でも、あなたを見つけてなんとなくそう思ったの。」
「………………………………。」
俺は黙って彼女の話を聞く。よくわからないが、俺とその『彼』とやらに何か通じるものがあった、ということだろうか?でも、それで俺を誘拐してどうしようというんだろう?
「でね、私は考えたの。あなたの体に『彼』の魂を入れて、もとあったあなたの魂を消せば、『彼』が戻ってくるんじゃないかって、ね。別に見た目なんて気にしないわ。魂が大事なのよ。『彼』と同じ気配のするあなたなら魂を受け入れやすいと思うのよね。」
そう言いながら、彼女は俺に近づいてくる。まずい。今俺は縛られていて動けないから抵抗できない…。
「だから、お願い。『彼』のためにあなたの体、譲ってもらえないかしら?ああ、喋っていいわよ?素直に黙ってくれるなんていい子なのね?」
そう言いながら彼女は俺の顎をなでてくる。ここは答えないとまずいのだろう。だから俺は当然…
「そんな話を聞かされても、答えはNOだ。それに魂の移し替えなんてできるわけないだろう?魔法が使えるわけでもあるまいし…。」
そう答えた。だが彼女はさらっと
「大丈夫よ?私、魔法が使えるもの。」
と、そう言い放った。
「私はこの世界の人間じゃないわ。私は魔法の国って言う異世界からきたの。あなたが連れてた女の子もどこかの異世界の子でしょう?」
俺はそれを聞いて、驚いた。コロンがいた異世界以外にも異世界があるなんて…。いやいや、今はそんなことはどうでもいい。とにかく彼女は俺の魂を消そうとしている。それはつまり、俺が消えてしまうということ。コロンが愛してくれた俺が、だ。それに、コロンとの契約のこともある。どちらかが死ぬと、もう片方も死ぬ…と言うあれだ。魂だけが消えるわけだから、どうなるかわからないが、とにかく魂を消されるのはまずい。
「落ち着け。その『彼』とやらはそんなことをされて、本当に喜ぶのか?自分と違う体で生きていくことになるんだぞ?」
俺は彼女に言葉を投げかける。とにかく時間を稼ごう。コロンが助けに来てくれる気がするのだ。コロンと契約したときに刻まれた利き手の紋章が熱くなっているから…。
今回も話の切れ目が悪くて申し訳ないです。次回も読んでいただけると嬉しいです。




