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愛に飢えた俺と愛を振りまくメイド  作者: 読書家
平和な日常とリルとの遭遇
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第四章 同居生活三日目

今回もよろしくお願いします。

 「ご主人様、晩御飯の用意できましたよっ♪」


 コロンが料理を作り終えたようだ。コロンを見ながらすこしうたたねをしていたらしい。今日のメニューは炊き立てのご飯と、ハンバーグのデミグラスソース掛けだ。ハンバーグにはポテトが添えられている。


 「いただきます。」


 コロンと一緒に食事をとり始める。おいしい。いつも思うけど、コロンの料理は本当においしい。


 「本当にコロンは料理がうまいよなぁ。」


 つい顔をほころばせながらコロンにそう伝える。


 「あぅ…ご主人様に褒めてもらえるなんて嬉しいです…///」


 コロンは顔を赤くしてモジモジしている。今は本当にコロンの動作一つ一つがかわいく、愛らしく見える。そう感じるたびに俺は本当にコロンのことを愛しているんだなと自覚するのだ。


 「そういえばさ、コロンと契約を結んだけど、あれってどういうものなの?」


 「え…えっと…それは…その…。」


 ふと思い出した。あの契約とはいったいどういうものなのかという疑問が残っていた。それを問うと、コロンは少しうつむいてしまった。聞いてはまずかったのだろうか…?


 「ああ、ごめんごめん。ふと気になっただけだから、無理に答えなくてもいいよ。」


 俺はすぐにそう言った。いくら何でも聞くのが早すぎたと思ったから。だがコロンは、


 「いいえ、ちゃんと伝えないといけませんよね。」


 と、決意を固めたように顔を上げた。


 「えっと、あの契約っていうのは…愛し合う二人を『永遠』に繋ぐためのものなんです。それで…契約を交わした二人は、絶対に離れられないんです。」


 「つまり…?」


 俺はコロンに問い返した。


 「つまりですね、この契約の一番重要なところは…どちらかが死ぬと、もう片方も死ぬことになるんです…。」


 …は?思考が止まった。


 「つ、つまり…?」


 改めて聞き直す。


 「死ぬまで二人は離れられないんです。あと、この契約は一度結んだら、もう消すことはできません。」


 「………………。」


 俺は黙ってしまった。契約の内容がとても大きなものだったからだ。こんなとをいきなり言われて戸惑わないほうがおかしいだろう。


 「あの、あのあの…ご主人様…?」


 コロンがこちらを不安そうに見ている。コロンの不安そうな顔が見たくなくて、そんな顔をさせてしまった自分が情けない。


 コロンは覚悟を決めた上で契約を結んでくれたはずだ。なら、いまさら俺が動揺してもどうにかなるものでもない。それに、死ぬまで離れられないのなら、それまでは二人一緒にいられるということ…、死ぬ時も一緒なのだ。


 「大丈夫だよ、少し驚いたけど、俺はコロンのことが好きだから。いつまでも、二人でいような。」


 そう、それなら俺も覚悟を決めよう。コロンがそうしたように…。何よりそれはコロンが俺のことを想っていてくれているということだから。だから俺はコロンに対して微笑む。またコロンが笑ってくれるように…。


 「ホ、ホントにいいんですか?ご主人様は不安じゃないんですか?」


 「うん、コロンが覚悟を決めて契約をしてくれたんだろ?だったら俺もそれに応えるよ。だから、不安そうな顔なんてしないで、いつものように笑ってくれ。」


 そういって俺はコロンの頭をなでる。コロンは一瞬泣きそうな顔をして、そして、いつもの笑顔で


 「愛してます、ご主人様っ♪」


 そういって満面の笑顔を浮かべてくれた。俺はそれに満足して、食事を終える。


 「あ、ご主人様、お風呂湧いてますからね。今回は忘れませんでしたよっ!」


 「うん、ありがとう。この前みたいに背中流しに来るなよ?」


 「むぅ~、ご主人様、イジワルですぅ~。」


 コロンが頬を膨らませる。それがまた可愛くて、俺は微笑んだ。


 そして俺はいつものように風呂に入り、コロンがいるであろう、リビングに向かう。案の定コロンはリビングにいたので、


 「お風呂あがったよ、コロンも入っておいで。」


 と、そう声をかけた。コロンはそれにうなずいて、


 「はい、私もお風呂入ってきますね。ご主人様はもう寝ちゃうんですか?」


 「そうだね、そうしようかな。」


 そう。今日は本当にいろいろあったのだ。疲れているのも事実だし、もう休むことにしよう。


 「じゃあ、おやすみなさいですっ!ご主人様♪」


 「うん、おやすみ、コロン。」


 そう言って俺は自分の部屋に戻って、ベッドに入る。


 「ふぅ…契約の内容があんなものだったなんてなぁ…。でも、コロンとずっと一緒なら、俺はそれでいいや。」


 そう独り言を言いつつ、俺は眠りに落ちた。


               ◇◆◇


 夜空に月が輝き、冷たい風が吹いている。一人の少女が銀色の髪を風になびかせながら、街を歩いていた。


 背はごく一般的な女の子のものだ。155cmくらいだろうか。腰まで届く、艶やかな銀の髪を結ばずにおろしている。


 深夜に一人で出歩いていては誰かに襲われるのではないかというくらいに綺麗な少女だった。だが、彼女の周りには誰もいない…虫の音さえ聞こえない。そう、彼女の周りだけあらゆる生命が消えているかのように。


 「私が求める、『彼』はどこにいるのかしらねぇ…。」


 そう呟いて、彼女は夜の街へ消えた。 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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