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第二十九章 同居生活七日目 深夜

 今回もよろしくお願いします。

 「リル、起きてますか!」


 私はノックもせずにリルの部屋に飛びこびました。


 「ん、起きてるわよ?どうしたの、そんなに慌てて。」


 「ごっ、ご主人様が!ご主人様が攫われたんです!」


 「あらあら、じゃあ、追いましょう。先に外出てるわよ。」


 「はい!」


 リルの返事を聞きつつ、私は凛の返事を聞きつつ、凛がいるであろうキッチンへ向かいます。


 「凛!ご主人様が!攫われちゃいました!」


 「ふぇ?ええ!」


 「とにかくついてきてください!」


 私は凛の手を引いて、玄関に向かいます。


 玄関から外に出ると、リルが既に待機していました。


 「さぁ、行くわよ。コロン、雄我の居場所は?」


 「あっちです!行きましょう!」


 「ちょっと、コロンさん!」


 私が走り出すのに続いて、リルが続きます。


 「ま、待ってください…!」


 凛が後ろから付いて来ていますが、どんどん距離が開いていきます。


 「しょうがないわね…。来なさい、魔動人形オリジンドール。」


 リルが魔動人形オリジンドールを呼び出して、凛を抱えさせます。


 「その子に運んでもらいなさい。行くわよ、コロン。」


 「はい!」


 ご主人様を攫った少女が向かった方角に走りつつ、私は利き手の紋章に意識を集中してご主人様がいる場所を感じ取ります。


 「あっちですね…。待っててください、ご主人様…!」


 私はご主人様の居場所に見当をつけて、さらに加速して走ります。


              ◇◆◇◆◇


 俺は幸せな夢を見ていた。俺とコロンとリルと凛の四人が幸せに笑いあっている夢。その世界はとても平和だった。リルに攫われたり、神王と戦ったのが嘘だったかのように。


 『主よ、流石にに起きないと死ぬぞ。故に起きろ。』


 その幸せな夢は呪槍・黒竜の声が聞こえるのと同時に体に走った衝撃によって壊された。


 「ガハッ…」


 自分の口からうめき声が漏れる。どうやら地面に叩きつけられたようだ。


 『さっさとおれを構えろ。来るぞ。』


 俺は呪槍・黒竜の声を聞きつつ、それを手に構えた。


 呪槍・黒竜を持つ手に黒い文様が浮かび上がる。


 「っ…。」


 だが、コロンとリルの紋章がそれに反応するように光り、それと同時に黒い文様が小さくなっていく。


 『なかなか様になってきたな。おれを持つ痛みもマシになってきたと見える。』


 『そりゃ、どうも。』


 俺は呪槍・黒竜に適当な返事をする。その瞬間、構えていた呪槍・黒竜に衝撃がかかった。


 「ぐっ…。」


 それを何とか呪槍・黒竜で受け止める。重い。


 「……………。」


 呪槍・黒竜が受け止めていたのは大きな鎌の一撃だった。


 その鎌の先を見ると、そこにいたのは黒いフードパーカーのような服を着た少女だった。


 少女は無言のままこちらを見ている。少女の銀色の髪が風に揺れた。


 「っ…!」


 呪槍・黒竜にさらに衝撃がかかったのがわかる。また重い鎌の一撃が繰り出されたのだ。


 『主よ、こちらも反撃せねばならぬ。少女だからといって攻撃を防ぐだけでは死ぬぞ。』


 俺は呪槍・黒竜の言葉を聞きながらさらに繰り出された鎌の一撃を弾き、そのままの勢いで少女へと突き出した。


 「………!」


 少女は俺が反撃したのが意外だったのか、声を上げずに後ろに下がる。少し驚いた様子が目に取れた。


 「なんで俺を攻撃するんだ?」


 俺は少女に呼びかける。だが少女は答えることなく、


 「チェイン


 と呟き、少女の手から魔力のようなもので作られた鎖がこちらに向かって飛ばされる。


 『喰い潰そう。』


 呪槍・黒竜の声が聞こえると同時に、呪槍・黒竜から放たれた黒い衝撃波がその鎖を薙ぎ払った。


 「っ……!」


 それを見て少女が声を漏らした気がしたが、考える暇もなく鎌によって追撃が来る。


 「ぐぅっ…!」


 流石に捌き切れなくなくなってくる。そして鎌が俺の手にかすった。


 「っ!」


 やばい、その痛みで呪槍・黒竜を持つ手に込めていた力が緩んでしまった。


 その隙を狙うかのように少女の鎌が呪槍・黒竜を弾くような軌道で振るわれる。


 「うおっ!」


 その衝撃に耐え切れず、俺の手から呪槍・黒竜が離れてしまう。


 「チェイン


 そして、少女から放たれた鎖が俺の体を宙に縛り付ける。


 「かはっ…。」


 その衝撃によって口から血を吐き出してしまったのがわかる。口の中に鉄の味が広がった。


 「貴方の命を回収する。」


 少女は俺に向けて鎌を振るおうとする。俺は血を吐いた痛みのせいか、少し意識が朦朧としていたが、その鎌が振るわれるのを見た。


 「世話が焼けるわね。守護ガーディアン


 鎌が振るわれるのが見えたのと同時にどこからかそんな声が聞こえた。


 「っ…!」


 少女の顔に驚きが浮かぶ。鎌が俺の目の前で何かに阻まれて弾かれたからだ。


 「ご主人様!」


 「大丈夫?雄我。」


 「雄我さん!」


 聞き慣れた少女たちの声が聞こえた。俺はその声を聞いて安心したのか、意識が遠くなっていくのを感じた。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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