第二章 同居生活初日 夜
久しぶりの投稿になります。よろしくお願いします。
「ご主人様、お皿洗い終わりましたっ♪」
「おう、お疲れ。」
そう言って俺は椅子から腰を持ち上げる。さて、これからどうしようか。そんなことを考えていると、コロンがなんだかもじもじしている。
「ん?どうした?」
俺はそう問いかけた。するとコロンはさらにもじもじしながら
「あの…えっと…頭を撫でてくれませんか…?」
………は?理解できない。どこからそんな唐突なことを言い出すに至ったんだ?ああ、あれだろうか?料理がうまくできたからそのご褒美に撫でて欲しい的なあれか。ふむ、まぁその程度ならいいか。
「はぁ…仕方ないな。」
そう言って俺はコロンの頭に手を載せて軽く撫でてあげる。
「あうぅ…ご主人様の手大きいですぅ…それに、とってもあったかいです///」
コロンは顔を真っ赤にして撫でられている。相当嬉しいようだ。なんだかこっちも頬が熱くなってきたような…いや、それは気のせい、気の迷いだろう。俺はまだ彼女を愛していないし、愛する気もない。そう思ってコロンの頭から手を放す。さて、掃除でも始めるとしよう。
「俺は今から掃除を始めるけど、コロンはどうしてる?」
「えっと、ご主人様が寝てる間に掃除は済ませましたよ。メイドとしてご主人様の役に立ちたいので、このくらいは当然ですっ!」
ふむ…このメイドもなかなかできる子のようだ。ではどうしようか。まだ全然時間はある気がする。ふと時計を見ると意外にももうすぐ午後3時といったところだった。となると今から買い出しに行くのは無理があるだろう。そもそもまだ外に出たい気分ではないのだ。ではどうしようか…。まぁとりあえず風呂掃除でもしておくか、あれはあれで時間がかかるし、割と面倒くさいのだ。そう思考をまとめて、俺はコロンに尋ねる。
「お前、風呂掃除はしてくれたか?」
「えっ…あうぅ、忘れてました…今すぐやってきますね!」
「いや、いいよ。俺がやるよ。コロンは休んでてくれ。」
「えっ、でもそれじゃあメイドとして…」
「いいから、少しは休めよ。俺より早起きだったんだろ。」
「うぅ…了解です。お言葉に甘えておくです。」
そう言ってコロンはおとなしく引き下がってくれた。さて、風呂掃除を始めるとしよう。
1時間くらいかかってしまった。時間があるとつい熱中してしまう。案外自分は几帳面なのかもしれない。リビングに戻るとコロンはテレビの前にあるソファーの上で寝ていた。その寝顔は純粋な少女のままのもので、彼女がメイドである以前に一人の少女であることをしっかりと思い出させてくれる。俺はコロンにタオルケットをかけてあげ、自室に戻って少し休むことにする。時刻は午後4時前だった。
「ん…。」
目が覚める。一時間程度うたた寝していたようだ。時刻は午後6時を少し過ぎていた。
「そろそろ風呂に入るとしようか。」
そう独り言を漏らして、俺は着替えを取り出し、風呂場へと向かった。
風呂場につき、服を脱ぐ。毎度のことだが、自分で掃除した風呂に自分で入れるというのはなんだか幸せに感じる。こんなことを思うのはひきこもっている俺位のものだろう。自分で掃除した分、達成感のようなものがあるのだ。
湯船にゆっくりと体を沈め、体の力を抜いてリラックスする。一度湯船から出て髪と体を洗おうと、風呂椅子にすわる。その時だった。
「ご主人様~、お背中お流ししますよ~♪」
後ろでガララッと浴室の扉が空く音がする。まさか、ここまでするのかこのメイドは…。
「コロン、今なら間に合う。おとなしく出ていきなさい。」
そう言って出て行かせようとするがコロンはなんとすり寄ってきた。
「遠慮しないでくださいっ!これも仕事ですからっ!」
そう言ってコロンが背中にくっついてくる。いや待てマジでまずいからやめてくれ。
「いいから離れろっ!」
そう言ってコロンを突き飛ばしてしまった。これがいけなかった。
「きゃっ!」
そう声を上げて突き飛ばされたコロンが巻いていたタオルがはがれてしまった。コロンの白くてつややかな肌が露わになる。ほんの少し、しかししっかりとふくらみのある胸…。ってまずい!
「ああっ!すまん!」
そう言って目をそらす。何をまじまじと見ようとしてるんだ俺は。やはり男としての本能には逆らえないようである。
「あっ、えっ、ええええっ!」
コロンはすぐに自分の体にタオルを巻きなおした。見なくても分かるほどに、きっとその顔は真っ赤になっているであろう。
「えっと、見ましたよね…?」
「いやいやいやいや、見てない見てない!ちょっと目に入っただけだから!」
そう言って誤魔化す。ここで正直に言う度胸なんて俺にはないし、そもそも完全に見えたわけではない。浴室が湯気であふれていてよかった。
「あううぅ…ご主人様に裸見られちゃったよぅ…恥ずかしいですぅ…でも、ご主人様だし…ああっ、でもでも~…」
彼女も混乱しているようだ。そりゃあそうだろう。まさかタオルがはがれるとは思っていなかったろうから。
「とにかく、早く出ていってくれ。それと、これからの生活において俺の背中を流そうとすることは許さない。これは絶対だからな!いいな!」
「はっ、はいっ!こちらこそごめんなさいっ!」
そう言ってコロンはそそくさと浴室から出て行った。やれやれだ。とにかく湯船につかりなおすとしよう。
はぁ…疲れが抜けてくれるといいのだが…
風呂から出るとコロンの姿はなかった。部屋に籠ってしまったらしい。相当恥ずかしかったのだろう。俺も寝るとしよう。
「はぁ…明日顔合わせにくいな…」
そう独り言を漏らして、今日は寝ることにした。
今回もありがとうございました。