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愛に飢えた俺と愛を振りまくメイド  作者: 読書家
帰ってきた日常
24/53

第二十三章 同居生活六日目 夕方

 今回もよろしくお願いします。

 「ん…んぅ…?」


 俺は目を覚ました。天界から帰ってきてからすぐに寝てしまったのだ。


 見るとコロンが俺の頬をつついていた。コロンは俺を見つめる。


 「ご主人様、お疲れですか?」


 コロンが心配そうな目でこちらを見ている。


 「あぁ、大丈夫だよ。コロンも疲れてるんじゃないか?」


 「私は大丈夫ですっ!ご主人様と一緒なら私は元気ですっ!」


 コロンは笑顔でそう言ってくれる。その笑顔を見ただけで疲れが消えていくような気がした。俺はコロンの頭をなでながら


 「リルと凛は?」


 と、そう聞いた。コロンは少しむっとした顔をして、


 「リルは部屋に戻りましたよ。凛さんはとりあえず私の部屋で寝てもらってますけど…。私が目の前にいるのに他の子のこと気にするなんて…。」


 最後のほうは小声だったのでよく聞き取れなかったが、リルはいいとして、凛のほうはあとで部屋に案内しなければならない。そんなことを考えながら、ふと時計を見ると時刻は六時を少し過ぎていた。


 「もうこんな時間か。ご飯の用意はどうしようかな。」


 「それなら私がやりますよ。ご主人様はゆっくりしててください。」


 「そうか。いつも悪いな。」


 そう言いながらコロンの頭をなでる。コロンは嬉しそうな顔をして、


 「じゃあ、用意してきますねっ!」


 そう言って、キッチンで夕飯の用意を始めた。


 「さてと、俺はどうしようかな…。」


 そう呟きながら、俺はキッチンで料理をしているコロンを眺める。


 考えることはたくさんあるが、なにから手をつければいいいかわからない。


 「あら、起きたのね、雄我。おはようさん。」


 そう言いながらコロンを眺めていた俺の頬をリルがプニプニしてきた。


 「リルか。体は大丈夫か?」


 「ええ。大丈夫よ。貴方こそ大丈夫なの?呪槍・黒竜の影響がまったくないわけじゃあないでしょう?」


 「そうだな…。実感がないからよくわからないけど問題ないと思う。」


 「そう、ならいいのよ。コロンはご飯の用意かしら?」


 「ああ、そうだけど…。」


 俺がそう答えるとリルは突然俺に顔を近づけてくる。


 「じゃあ、二人だけの話をしましょ?いいわよね?」


 そう言うや否や、リルは俺の腕を掴んで自分の部屋まで引っ張っていったのだった。


              ◇◆◇◆◇


 「い、いきなりどうしたんだよ?」


 リルは俺を部屋に押し込むや否やドアの鍵をかけた。


 「別にいいでしょう?私は貴方と二人きりで話したいの。適当に座って頂戴?」


 そういいながらリルは自分のベッドに腰掛ける。俺はリルの部屋の小さなテーブルをリルと自分の間に挟むようにして座った。


 「それで?話ってのはなんだ?」


 俺はリルにそう聞いた。するとリルは少し顔を赤くして


 「あ…えっと…。」


 と口ごもってしまった。なんだというのだろう?


 「なんだ?悩みならちゃんと聞くよ。俺はお前を守るって約束したんだ。何でも言ってくれていいんだぞ?」


 「そ、そう…じゃあ、いきなりだけど…。」


 「うん。」


 「私と…その…契約を結びましょう…?」


 リルはゆっくりと俺にそう告げてきた。


 俺は考える。契約というのはあれだろうか?俺とコロンが結んだ愛し合う二人をつなぐとか言う…。


 「って、ええ?!け、契約?契約ってあの契約か?!」


 俺がそう叫ぶと


 「ちょっと、どんな契約を考えてるのよ!」


 リルは俺を見ながら顔を真っ赤にする。


 「じゃ、じゃあ、どういう契約だよ…?」


 「コロンと貴方が結んだような契約じゃないわよ。私の魔力を強化するために契約して欲しいの。漫画とかでそう言うの見たことない?」


 「ああ、そう言う契約ね…。いきなりだからびっくりしたよ。」


 「もうっ…貴方の頭にはそう言う思考しかないわけ?まったく…。」


 「悪い悪い。でも、どうしてまたいきなり?」


 「………貴方のことをもっとしっかり守りたいからよ。今回みたいに誰かに貴方をさらわれてしまうような情けないことにならないように、ね。」


 「そうか…。」


 俺はそう言いながら考える。リルがそんな風に責任を感じていたとは…。いや、ありえないことではないだろう。俺の考えがそこまで及ばなかっただけだ。


 「い、嫌かしら?」


 リルが不安げにこちらを見てくる。


 「そういうわけじゃないよ。その契約にはどんな代償が必要なんだ?」


 俺は真剣な目をしてリルに問いかける。コロンの契約は内容が厳しいものだった。だからこれは大事なことだ。


 「そんなに怖い顔をしなくてもいいのよ。私が貴方の傍に居続ける…貴方という存在に縛られるだけのものだから。例えるならそうね…ペットの首輪に鎖をつないでおくようなものよ。」


 「それでお前の魔力が強化されるのか…?」


 「そうよ。って、今貴方首輪をつなぐってところで変なこと考えたでしょう?顔が赤くなってるわよ?そういう趣味なの~?」


 「ちっ、違う!失礼だなお前は!そんな趣味あるわけないだろう!?」


 「あらあら、動揺しちゃって…。やっぱり可愛いわね。ふふっ…。」


 「い、いいから、契約の話だろ?本当にそれだけなんだな?」


 「ええ、そうよ。私が貴方の傍に居たいから、貴方を守りたいから、だから契約して欲しい。ただそれだけよ。」


 「そうか。なら、いいよ。契約を結ぼうか。」


 「ふふっ、ありがとう。嬉しいわ。じゃあ、こっちに来て?」


 「ああ…。」


 俺は立ち上がって、ベッドに腰掛けているリルに近づいていく。


 「じゃあ、契約をしましょう。」


 そう言いながらリルは俺の袖を引っ張り、俺をベッドに押し倒す。


 って、え?


 「いやいや、何で押し倒したんだ!?」


 「あら、契約をするためには必要なのよ?」


 「いやいや、絶対押し倒す必要ないだろっ!?」


 「もう、うるさいわね…。いいから大人しくして、貴方は私のことだけ考えればいいのよ。」


 「わ、わかった…。」


 自分の鼓動が早くなるのを感じる。女の子に押し倒されてドキドキしない男子など居るだろうか?いや、居るはずがないだろう。


 「いい?動いちゃダメよ?」


 「そ、それはいいけど、どうやって契約するんだよ?」


 「コロンと同じよ。」


 「えっ…。」


 俺はリルの言葉を聞いて動揺する。コロンと同じ方法…それって…。


 「いやいや、そ、それって…キ、キスか?」


 俺がそう言うとリルは急に恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にする。


 「そ、そうよっ!し、仕方ないでしょう、そういうものなんだから…。そ、それとも…私とするのは、嫌?」


 「そ、そういうわけじゃない。俺なんかでいいのかってことだよ。」


 「いいの!私は貴方の傍に居る。そう言ったでしょう?じゃ、じゃあ、いいわね?」


 「わ、わかったよ。」


 そう言うとリルが俺に顔を近づけてくる。もう少しで唇が触れる。俺はその瞬間に目を閉じた。唇にやわらかいものが触れた。


 利き手の左手ではなく、右手の甲が熱くなった。コロンのときは左手に紋章が左手に刻まれたから、今度は右なのだろう。


 「ん…。ほら、できたわよ…。」


 唇から感触が消え、リルがそう言ってくる。目を開けると、リルは真っ赤な顔をしてこちらを見ていた。目が合うと、リルはすぐに視線を逸らしてしまう。


 「とっ、とにかくこれで私は貴方の傍にいる…貴方に縛られる存在になったわ。いいわねっ!」


 「ああ、わかったよ。」


 俺も頬が熱い。リルの意図はわからなかったけれど、契約を結ぶことになった。右手にはコロンのものとは違う文章が確かに刻まれている。


 「ね、ねぇ…雄我…?」


 「ん…?なんだ?」


 「これからはずっと一緒よ?契約もしたんだから…責任、とってくれるわよね?」


 「わ、わかったよ。」


 そう言いながら俺はリルの頭をなでる。リルは顔を赤くして俯く。


 「好きよ、雄我…。」


 「ん?なにか言ったか?」


 「な、なんでもないっ!早くコロンのところにでも戻りなさい!」


 リルがなにか呟いたような気がしたがよく聞き取れなかった。まぁいいだろう。


 「じゃあ、契約もしたわけだし、改めてよろしくな、リル。」


 「ええ、よろしくね、ご主人様。」


 「ちょっ、ご主人様はやめろって。今までどおりでいいから。」


 「ふふっ、赤くなってるわよ?可愛いんだから。」


 「ったく、からかいやがって…。」


 「ほらほら、リビングに戻ったら?コロンにまたなにか言われちゃうわよ?」


 「わかったよ。また夕飯のときにな。」


 「ええ、またね。」


 俺はそう言って、リルの部屋をあとにしたのだった。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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