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愛に飢えた俺と愛を振りまくメイド  作者: 読書家
凛との出会い・神王との戦い
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第十九章 同居生活六日目 朝(三)

 今回もよろしくお願いします。

 「ぅ…んぅ…?」


 私は目を覚ましました。突然家に侵入してきた男の攻撃によって気絶してしまったのです。


 「えっと…ご主人様は…?」


 私は周りを見回しました。ご主人様と凛の姿がありません。おそらく捕まってしまったのでしょう。


 「リル?リルッ!」


 そこで私はリルが倒れていることに気づきました。


 「うぅん…騒がしいわね…。」


 リルも気絶していただけのようです。私はほっとしながら


 「リル、ご主人様と凛さんが…。」


 「そうね。捕まってしまったようね。でも、助けに行けばいい話だわ。さっさと取り返しに行きましょう。」


 「でも、ご主人様と凛は天界ですよ?どうすればいいんでしょうか…。」


 「そんなの、貴方の紋章で雄我の居場所はわかるでしょう?」


 「それはそうですけど…。天界にどうやって行けばいいんですかね?」

 

 「……………………。」


 リルが黙ってしまいます。


 「えっと、リル?」


 「と、とにかく雄我の居場所を突き止めなさい。話はそれからよ。」


 「わ、わかりました…。」


 私はご主人様のことを頭の中に強くイメージします。そうすることで紋章が熱くなっていくのです。ご主人様に近づけば近づくほど、紋章の熱さは強くなっていきます。


 「私も紋章で契約したいなぁ…。」


 リルが小声で何か言っていましたが、よく聞き取れませんでした。ご主人様のことをイメージするのは、こんなときでもドキドキするのです…。


 「リル、用意できましたよ~。」


 「早いわね…。ってそれ、居場所がわかるわけじゃないのね…。センサーみたいなものかしら?近づくと反応するのね?」


 「そうです。なので、天界まで行ければ…。」


 「…どうやっていきましょうか?天界まで。」


 「そもそも何処にあるんでしょうか…?」


 「………………。」


 「………………。」


 私とリルとの間を沈黙が支配し始めます。その時、



           カツン…カツン…。


 家の中に高い音が響きました。音がしたほうを見ると、そこには赤い髪の背の高い女性が立っています。彼女が履いているハイヒールが音の原因のようですが…。


 「貴方、誰?」


 リルが警戒しながら女性に話しかけました。


 「アタシ?アタシはそうね…通りすがりのお姉さんよ?」


 「ふざけてるのかしら…。じゃあ、質問を変えるわ。貴方、どうして家に入ってきたの?」


 「ははっ…、天界に行きたいんでしょう?力を貸してあげようと思っただけよ。」


 「なっ…行き方を知ってるの!?」


 「ふふっ、知りたいでしょう?その代わり、私の正体については言及しないで。それでいいわよね?」


 リルが私に視線を向けてきました。私は無言で頷きます。突然現れた女性の言葉を信じるのはどうかと思いますが、この女性には自分の言葉を信じさせるだけの威圧感と言うか、雰囲気がありました。


 「よろしい。じゃあ、いくわよ?」


 そう言うと、女性の周りに魔法陣のような物が現れます。


 「二人を天界に送ります。転送トランスミット…。」


 女性が呟くと、私たちは光に包まれ、意識が離れていきました…。


              ◇◆◇◆◇


 「ところで、俺たちはどうなるんだ?」


 「わかりません。とりあえず、このままの状態が続くと思います。私のせいですね…皆さんを巻き込んでしまいました…。」


 「気にするなよ。困ってる人がいるなら、助けるのは当然だろ ?」


 「皆さんは…雄我さんはお優しいんですね。」


 「そうか?普通のことだと思うけど…。」


 「普通のことを普通に行える。そういう人間が実は一番すごいんですよ?少なくとも私には真似できないです。雄我さん、あなたはいつまでも、そのままであり続けてくださいね。」


 凛は俺にそう言った。その瞳にはなんというか…寂しさのようなものが感じられた…。


 「ん…。来たか…。」


 そこで、俺の利き手の紋章が熱くなり始めた。これは、コロンが近づいているということだろう。


 「雄我さん?」


 「ああ、今、この利き手の紋章が熱くなってきたんだ。これが熱くなるってことはコロンが俺のところに向かってるって事さ。」


 「なるほど…。お二人には強い絆があるわけですね…。少し、羨ましいです…。」


 「そうか?凛もあるだろ?人との絆くらい。」


 「私は…自分の力のせいで、あまり人が寄り付かないので…。」


 「あ…悪い。嫌なこと聞いちまったな…。」


 「いえ、気にしないでください。私は大丈夫ですから…。」


 「じゃあさ、俺がお前との絆を作るよ。どうだ?」


 「ほ、本当ですか?…ありがとうございます…。」


 そう言って凛は笑った。こんなときでも、彼女の笑顔は美しかった。


 そんな風に、凛の笑顔を見ながら、少し話していると、部屋にいきなり光の塊が現れた。それと同時に利き手の紋章がものすごく熱くなる。


 「なっ、なんだなんだ?」


 「これは…なんでしょうか…。」


 光が収まるとそこには、コロンとリルが立っていた。


 「ご主人様っ!」


 「雄我、凛、大丈夫?」


 二人が駆け寄ってくる。


 「ああ、大丈夫だ。」


 そう言いながら、俺は抱きついてきたコロンの頭を撫でてやる。


 「えへへ、無事でよかったです、ご主人様!」


 「むぅ…コロンだけずるいわ…。」


 それを見て、リルが頬を膨らませる。


 「はいはい、可愛いやつだな、リルは。」


 そう言いながら、リルの頭を撫でる。


 「なっ!か、可愛いなんて…、もう!」


 そう言いながら、リルは顔を赤くする。本当に可愛いやつである。


 そんな感じで、合流できたことを嬉しく思いつつ、俺は凛に言葉をかける。


 「じゃあ、脱出しようか。凛、天界から地上に帰れるか?」


 「はい。地上に続く道があります。行きましょう。」


 「よし、コロン、リル、行こう!凛を連れて家に帰るぞ!」


 「はいっ、ご主人様!」


 「ええ、行くとしましょう。」


 二人が俺の言葉に答える。


 そして俺たちは、天界から脱出するために動き出すのだった。



 

  

 


 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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