第十四章 同居生活五日目 昼~夕方
今回もよろしくお願いします。
「ふぅ~、やっと帰ってこれたな。ただいま。」
俺は家に入りながらそう家の中に声をかけた。まぁ、家の中には誰もいないのだが。
「ただいまです~。なんだか疲れましたね~。」
そして、俺に続いてコロンが家に入ってくる。その後ろから、
「今日からお世話になるわ。不束者ですが、よろしくお願いします。」
そう言いながら、リルが入ってくる。
「そんな堅い言い方しなくてもいいんだぞ。普通に『ただいま』でいいんだよ。今日からここがお前の帰る場所だ、リル。」
俺はリルにそう声をかけてやる。すると、リルは笑って、
「ふふっ…そうね。ただいま。」
そう言ってくれた。
「じゃあまぁ、こんな時間だけど今日は寝ようか。さすがに徹夜だしな・・・。リル、部屋に案内するからついてきてくれ。コロンも早く寝るようにな。おやすみ。」
「わかりました~。おやすみなさい、ご主人様。また明日。」
「ふふっ。おやすみなさい、コロン。」
「リルもおやすみなさいです~。」
「よし、じゃあ、行くぞ、リル。」
「はいはい。今行くわよ。」
そんな会話をしながらコロンと別れて、リルを部屋に案内した。
「ここが今日がお前の部屋だ。ゆっくりしてくれ。」
「ええ、ありがとう。じゃあ、また明日ね。」
「ああ、おやすみ。」
「ええ、おやすみなさい。」
リルと会話をそう交わして、俺は自分の部屋に戻った。
「うぅ~ん、疲れたな~。」
俺はそう言いながら伸びをして、布団に入った。すぐに睡魔が襲ってきて、俺は眠りに落ちた。
◆◇◆◇◆
「うぅん・・・。」
俺は目を覚ました。…なんだか布団の中に自分以外の体温を感じる。見ると、俺の隣にリルが寝ていた。
「うぅん?雄我、起きたの~?」
俺が目覚めたのがわかったかのようにリルが目を覚ます。
「なんでここで寝てるんだ?」
俺はリルにそう聞いてみる。
「ぅん?なんでって…寂しかったのよ。それじゃダメかしら?」
「いやいや、だったら俺じゃなくてコロンのところに行けばいいじゃないか。」
「嫌よ、私は貴方がいいの。私のこと、守ってくれるんじゃないの?」
「いや、あれはそういう意味じゃないだろ…。」
俺はそう返した。するとリルは
「むぅ~…」
と頬を膨らませる。可愛い。確かに可愛いが、
「いや、それでも、女子が男子の布団に潜り込むのはどうかと思うぞ?」
「あら?そうなの?私は毎晩レイスと寝てたけど?」
うん。すごいな、純粋に。どれだけ仲が良かったんだろう。
「そうなのか。ずいぶん仲が良かったんだな。」
「そうよ~?むしろ、なんで貴方はコロンと寝てないの?愛し合ってるなら、それくらい普通じゃない?」
…確かに。その意見には一理ある。だがなぁ・・・やっぱり一緒に寝るって言うのは…うん、ダメだな。
と、そこで部屋のドアが開かれた。
「ご主人様~♪おはようございますっ!」
そう言いながら部屋に入ってきたコロンの顔が凍りつく。
そう、俺とリルは今ベッドの上に二人なのだ。これは一緒に寝ていたということで…
「ご主人様?」
コロンの後ろになんだか黒いオーラが見えた気がした、まずい。
「いや、違うんだよ。リルが俺が寝てる間に布団に潜り込んできたんだ。俺は何もしてない!」
「ふぅん…そうなんですか、リル?」
よし、リルがちゃんと答えれば事は丸く収まるはずだ。
「ん~?雄我って布団の中だとすごいのね。私驚いたわよ?」
「いやいや!リル、ちゃんと本当のことを言えよ!その言い方は完全に誤解されるから!」
「ご主人様…ひどいです。私というものがありながら…。」
その後、しばらくコロンは口を利いてくれなかった…。
◆◇◆◇◆
「ほら、直ったぞ。」
そう言いながら、俺はリルにネックレスを手渡した。
「ふふっ。ありがとう。とっても嬉しいわ。」
そう言いながら、リルはネックレスを首にかける。
「ねぇ、このネックレス似合ってるかしら?」
唐突にリルがそう聞いてきた。
「ああ、似合ってると思うよ。」
俺は純粋な気持ちを返す。
「ふふ、ありがと。」
また、リルは俺に笑顔を見せてくれる。俺はその笑顔が好きだ。愛しているとか関係なく、純粋にリルに笑っていてほしい。ただ、そう思った。
「ご主人様!なんでリルといい感じの雰囲気になってるんですか!私ともイチャイチャしてください!」
そんなことを考えていたら、コロンが後ろから抱き着いてきた。
「あらあら?嫉妬かしら?ふふっ…」
リルはそれを見て悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「むぅ~!そ、そんなんじゃないですっ!私とご主人様がイチャイチャするのは当然なんです!」
「はいはい、いいから落ち着けよ。俺が愛してるのはコロンなんだからさ。」
そう言いながらコロンの頭をなでてやる。コロンは頬を赤くして、
「そ、そういう風にいきなり愛してるとか言うなんて…もう!」
そう言いながら、部屋を急ぎ足で出て行ってしまった。
「ふふっ…可愛いわよねぇ、あの子。」
「あんまりからかってやるなよ。」
俺は笑いながらリルにそう言う。
「ふふっ、ほどほどにしておくわ。それと…」
そう言いながらリルは俺に近づいてきて、俺の耳元で
「貴方のこと、あの子に独り占めなんてさせないから。」
そう呟いた。そしてリルも部屋を出て行く。
「………えっ?」
一瞬思考が止まった。だが、リルがああいう事を言うと言うことは、リルは俺のことが…。
「いや、それはないよな。うん。」
俺は頭に浮かんだその思考を捨てる。それはないだろう。まさか、いきなりそんなことは…。でも、もし、そうだとしたら…
「これから騒がしい日常になりそうだな。」
俺は笑いながら独り言を呟いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も読んでいただけると嬉しいです。




