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追跡

苅部渉、高校2年生。バイト禁止の高校で絶賛バイト中。「何でも屋ツインクルでーーーーーす!!!」彼は何でも屋のバイトをしており今日も店の前でチラシを配っていた。彼は学業、部活、バイトの三刀流をこなしており毎日全てを全力でこなしている。最初は迷惑がられていたが今では町内のマスコット的存在になっており差し入れも貰う。「今日も頑張ってるねぇ」「ありがとうございます!!」「ほらよ!これ食いなにーちゃん!」「柿ですか!ありがとうございます!」苅部はとにかく人柄が良く弱音や悪口を吐いている様子を誰も見たことがない。毎日前向きで明るく振る舞っており、雨の日もここは毎日晴れていると言われている。そんな彼には能力がある。それは追跡と波動と燃焼。彼が生まれながらにして持っていた能力は追跡と燃焼だけ。波動はひたすらに修行を重ねて身に付けた。この力を使ってよく猫探しや屋台の手伝いをしている。悪用もしておらずその予兆もないため、国家安全保障係も監視の目を外している。彼には家族がおり父親は街の整備工場で働いており母親は病気で寝ている。後は小学3年生と4年生の妹がおり仕事以外の日はよく遊びに付き合っている。そんな彼を尊は気に入りスカウトしようと考えた。次の日苅部の下に高そうなスーツの男が現れた。「苅部玄太郎様ですね?」「はい!そうです!」「今日はお話があって伺わせていただきました」「はい!なんでしょうか!」「我々の尊様と共にこの国を守っていただきたいのです」「宗教なら間に合ってます!」「いえ宗教ではなくてですね・・・そうだ何かあったらこの名刺に書かれている電話番号にお電話ください」「わかりました!」そのまま男は去っていった。「なんだろうあの人は・・・・まぁでもこの名刺を捨てるわけにもいかないし持っておくか」苅部は名刺をポケットに入れチラシ配りを再開させた。3時間後業務を終え自宅アパートへ帰ると母親と妹達の夕飯の準備を始めた。「母さん!今日はオムライスだよ!」「あぁ・・・ありがとうね」「もえ!なつき!母さん起こしてあげて!」「はーい!」「はーい!」妹二人は母親の事を起こすと水を飲ませた。「もえ・・・なつき・・・ありがとうね」母親は二人の頭を撫でると水を飲み座椅子へ座った。「そうだ!今日柿を貰ったんだよ!おやつに食べよう!」「わーい!」「やったー!」「ふふふ・・・玄ちゃんは頑張ってるわね」「当たり前だよ!母さんともえとなつき、そして頑張ってる父さんのためならいくらでも頑張れるんだ!」「ほんと・・・お父さんの若い頃そっくり」「そうかなぁ?何だか嬉しいよ!」「もえもお母さんみたいになる!」「なつきも!」「あらぁ嬉しいこと言ってくれるわね」「もえ!右の棚から大きいお皿3枚出して!なつき!左の引き出しからスプーン3本とって!」「はーい!」「はーい!」彼らの生活は助け合いによって形成されており、お互いがお互いを支え合って生きている。まさに彼らの生活は平和そのものである。苅部は出来上がったオムライスを更に乗せると机に運んで行った。ケチャップとソースを机に置くと、三人でいただきますの挨拶をし苅部はソースをかけ、もえとなつきはケチャップをかけ母親はソースとケチャップをかけた。家族ではソース派とケチャップ派で分かれている。ちなみに父親は何もかけない。食事の際にはテレビを見ながら食べている。つける番組は大体バラエティ番組でよく見るのはクイズ番組。「もえわかった!Aだよ!」「違うよ!Bだもん!」「お兄ちゃんはCだなぁ」「お母さんはAだと思うなぁ」このような会話をしながら夕飯を食べている。それが普通であり何も特別でもない何気ない日常なのだ。父親は大体夕飯を食べている途中で帰ってくる。父親が帰ってきたら苅部は父親の分を作り始める。「いつもごめんな」「いいんだよ父さん!」「ほんとあれこれやらしちまってすまねぇな」「やめてくれよ父さん!ほら!そろそろ出来るから!早く支度して!」「ありがとな、今日はオムライスかぁ!良く出来てるな!」「だろぉ?早くたべようぜ!」「あぁ」父親は部屋着に着替え食卓の場に座ると苅部がオムライスを運び食べ始めようとした。「お父さんいただきますは!」「いただきますは!」「あらあらお父さんいわれちゃってますよ」「つい美味しそうで忘れてたよ、いただきます!」この家族は本当に理想的な家族である。いつも仲良く喧嘩もするがすぐに仲直りし家族の絆がさらに強くなる。こんな家族がこの国にいくつ存在しているのだろうか。そんな彼らの家族の絆は3日後に揺らいだ。母の容態が悪化し予断を許さない状況になったのだ。苅部は医者から母の余命は多く見積もっても2ヶ月だと宣告され心の中に底知れぬ恐怖が押し寄せた。このことは父には伝えたが妹達には伝えなかった。伝えられなかった。父は今まで以上に仕事に励み苅部は仕事を休み、毎日のように母親のお見舞いに行っていた。毎回扉を開くたびに手が震え逃げ出したくなる気持ちがありそれらを必死に押し殺し扉を開けて弱っていく母親に会っていた。苅部は帰り道毎回倒れこんでしまいそうになる立ち眩みに襲われる。それは己の無力さといつ来るかわからない母親の死によるものだった。苅部はあの電話番号に電話をかけた。少しでも話を聞いてほしい人が欲しかった。誰でもよかった。その電話番号にかけるとすぐに応答があり経緯を話し対話を申し込んだ。電話の向こうの人物はそれを承諾し明日館で話をする事になった。翌日館へと向かった。館は警視庁のすぐそばにあり暁一の敷地面積を誇っている。苅部は門の前にいた警備員に名前と用件を伝えると、巨大な木製の門が開き中へと進んでいった。中は都心とは思えないほど自然に囲まれており空気が綺麗に感じた。館は中世の貴族が住む立派な館で、その迫力に圧倒されつつもゆっくりと扉を開いた。扉を開いた瞬間冷たい風が流れてきた。中へ入り4階へ上がっていくと扉が開いた部屋が一つだけあった。そこに入ると尊が座って待っていた。「こんにちは苅部玄太郎さん」「こんにちは・・・・!」「どうぞおかけになってください」「失礼します!」苅部は高級そうなソファに座ると温かいハーブティーを出された。「どうぞ、自家製のハーブティーです」「ではいただきます!」苅部はハーブティーを飲み干し一息ついた。「では・・・本題に入りましょう」「はい・・・!」「貴方の力を貸してほしいのです」「自分のですか・・・?」「えぇ」「でもどうしてですか・・・?」「君の力はこの国を守るきっかけになる・・・私はそう信じています」「でも自分の力に戦闘力は・・・」「何も戦闘のために使ってほしいというわけじゃないです」「では・・?」「貴方のその卓越した追跡能力と自らで身に付けた波動はこれから襲い掛かる脅威の予兆を察知するのに非常に役立ちます」「・・・・」「しかし貴方には今やるべきことがあるのでしょう?」「はい・・・」「私は貴方のお母さまを完治させられる能力者を知っています」「本当ですか!」「ですがその人物がどこにいるか私でもわかりません。その人物は完全に気配を消しています」「じゃあどうやって・・・」「貴方の追跡能力を使うのです」「俺の・・・追跡を・・」「貴方の力があればその人物を探し出せるはず・・・是非ともお願いしたいのです」「・・・・」「本来なら私が貴方をスカウトする予定でしたが・・・今回は私から貴方にお願いをしたいのです・・・私に力を貸して頂けないでしょうか?」「・・・はい!」「ありがとうございます」「ところで・・・その人物の情報などはありますか?」「えぇ・・・その人物は能力を他の人物に転移させたようで・・・その人物は貴方の街にいます」「俺の住んでいる街に・・・!」尊はその人物の情報や前の能力者の情報を提供した「ありがとうございます・・・」「少ない情報ですが・・・」「いえ、かなり有益な情報ですよ・・・絶対に探して見せます・・・!」「お願いいたします・・・」帰り際に尊はクッキーを渡し苅部は尊に礼を言って館を出て街へ戻った。苅部は家へ戻ると荷物を置き情報を見始めた。苅部は貰った資料を並べ始めると一枚一枚を重ねて束にし、包丁で突き刺すと刺した部分から光が漏れ出し苅部の頭の中に入っていった。「なるほど・・・・」苅部は能力で転移先が小学校にいるとわかりすぐさまその小学校へと向かった。「この時間なら丁度下校時間だから・・・見つけられる!」小学校付近へ行くと小学生がぞろぞろと下校している様子が見えたので急いで探し始めた。苅部は周りの小学生達とは違う方向へ帰る少年を見つけその少年に声を掛けた。「君!すまないがこの近くの・・・」苅部が帽子で隠された少年の顔を見た瞬間、その子が転移先の人物だとわかった。「君・・・能力もってるだろ?」少年は戸惑い逃げようとしたが苅部は土下座をして懇願した「俺の母親を助けてくれ!お願いだ!」少年は更に戸惑っていたが苅部の方へ行き年齢には見合わない低い声で話し始めた「俺の力が必要か」「!?」「ならこの街に潜む連続誘拐犯を見つけ出せ・・そしてそいつを倒せ」「連続誘拐犯・・・・?」「この街全体の行方不明者数は周辺の街の2倍だ」「それは知っている・・・」「その行方不明事件は一人の男によって行われている」「男・・・?」「その男をこの街・・・いやこの国から追い出しこの街の平和を取り戻すことができたなら俺の力を貸してやる。それまでは俺はこの少年からは出ないし力も貸すことはない」「わかった・・・いやわかりました・・・!」「では期限は5日だ」「5日!?」「貴様の能力ならその程度で十分だろ」「・・・わかりました」「ではな・・あとこのことを暁の尊に伝えるな」「わかりました・・・誰にも言いません」「・・・では貴様の武運を祈っているぞ」そう言うと少年は我に返りそのまま走って逃げてしまった。苅部は少年の中にいる謎の人物から課されたお題を、5日以内に速やかに解決しなければいけない。この街と母親のために苅部は一人走り出した。

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